「新型コロナでこれからの働き方はどうなるのよ?」に関するアダム・グラント先生の見解とか
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新型コロナで働き方が変わる!みたいな話をよく聞くようになった昨今。「GIVE & TAKE」や「ORIGINALS」で名高い天才アダム・グラント先生が、毎度おなじみ「The Economist」で「新型コロナ危機後の仕事ってどうなの?」みたいな話(R)をしてたんでメモっときます。
簡単に言えば、グラント先生が過去の不況や危機に関する研究をベースに「新型コロナと今後の仕事」についてまとめたもので、
- 仕事への満足度
- リーダーシップ
- 人と人の間の信頼
に変化が起きるんじゃないの?と指摘しておられます。
まぁ細かいところは「The Economist」を読んでもらうのが早いんで、ここは個人的に「なるほどなー」と思ったとこだけリスト化しときます。
1. 仕事への満足度の変化
- 複数の研究により、失業率が高ければ高くなるほど、10年後から15年後も仕事への満足度は高止まりすることがわかっている。つまり、今後の不況でキャリアを始めた場合は、今後の仕事への満足度も高くなる
- 新型コロナで不況が加速すると、全体的に感謝の気持ちは高まる。これは仕事の満足度を高めてくれるが、一方でブラック企業による「やりがい搾取」の被害にもあいやすくなる
2. リーダーシップの変化
- ストレスが多い時期には、人間の基本的な本能があらわになりやすい。そのため、新型コロナ後のリーダーは、とても寛容になるかとても非情になるかの両極にふれがちとなる。
- 新型コロナの危機では人材の流動性が高まるため、より倫理的で思いやりのあるリーダーシップが求められやすくなる(スター人材を引き止めなきゃなんないから)。そのため、積極的に雇用を保護したり、職を失った人のためにセーフティネットを提供する企業の人気が高まる可能性がある。
- 2,000人以上の公開企業のCEOを対象にした調査では、失業率が高い時期に成人期を迎えた人たちは、給料を低く抑える傾向があった。また、失業率が高い時期にはナルシシズムや権利意識も減りやすく、これもまた謙虚なリーダーシップの重要性につながっていく。
3. 信頼の変化
- 新型コロナの危機により、私たちが同僚や会社に対して抱く信頼のレベルは両極端にふれる可能性が高い。もともと団結していた企業は危機のおかげでさらに結びつきが強くなるが、元から信頼がない組織は新型コロナのせいでさらにグズグズになるかもしれない
- 危機が起きると、多くの経営者は「マイクロマネージメント」に走りがちになる(部下のリモートワークを監視したりとか)。が、基本的にマイクロマネージメントは悪影響しか生まないので注意したい
- 多くの人は、今回の危機で「職場がなくても仕事ができる!」と気づき始めた。そのため、今後は組織には全く所属せず、「ギルド」のような仕事形態が加速するかもしれない
- ただし、多くの研究によると、サラリーマンは週の半分以上はオフィスにいないと同僚との関係が悪化し、コラボレーションが損なわれる可能性がある。個人的な交流が不足すると社員の昇進率が低下するエビデンスもあるので、完全に仕事をリモート化するのは危険。リモートの頻度は週に1日か2日ぐらいがいいのかも
ってことで、さらにざっくりと要点をまとめておくと、
- 不況期は「仕事があるだけありがたい!」って気分になるので、逆に仕事への満足度は高まる。ただしそれだけ「やりがい搾取」も起きやすい
- 不況期においては旧来のグイグイ引っ張るタイプのリーダーシップは通じにくい。「謙虚なリーダーシップ」が必要かも
- 不況期は助け合いの精神が高まるため、親密度が高い組織は信頼感がブーストしやすい
みたいな感じですかね。全体的には「不況におけるマインドの変化が大事!」ってとこに焦点が置かれていて、新型コロナに特有の変化ってわけでもなさそうではあります。まぁリモートワークなんかも新型コロナ前からずーっと言われてたことがちょっと加速しただけですもんね。
「不況になると人間の信頼感は高まる」ってのも昔からよく言われることなんで、そうすると経済が復活した際には、また「現代では人間の信頼が失われてうんぬん」みたいな議論がもどってきたりもするんでしょうな。いずれにせよ、個人的には「新型コロナっていうか不況マインドに備えよう!」ってのをメインのメッセージとして受け取った次第です。