今週末の小ネタ:プロバイオティクスとメタボ、沈んだ人の共感力、好きな音楽は10歳から30歳までで決まる
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
プロバイオティクス入りチーズがメタボに効く?
プロバイオティクスがダイエットと心疾患リスクに効くかも?って研究(R)が発表されておりました。これは70人の過体重または肥満の女性を対象にしたRCTで、全体を2つのグループに分けてます。
- 50グラムのプロバイオティクス入りチーズを食べる
- チーズは食べない
実験期間は8週間で、両グループには、体重を減らすために低カロリー&高タンパク質の食事を与えたそうな。
すると、チーズを食べたグループは、
- LDLコレステロール、中性脂肪、収縮期血圧、体脂肪率、ウエスト周り、BMIが下がった!
だったそうで、わりといい感じの結果が出てますね。まぁこの実験では両グループととも低カロリーで高タンパクな食事をしてるんで、プロバイオティクスチーズ単体でどこまでのメリットが得られるかは不明ではあります。
が、プロバイオティクス入りチーズを50g追加するぐらいなら大した問題もなさそうですし、試してもいいかもっすね。ちなみに、この実験では中央アジアでよく使われるクルトっていうチーズを使ってまして、日本では手に入りにくのが難点。まぁヨーグルトでもいいのかもしれませんが。
沈んだ人は共感力が高まっている
クイーンズ大学が「軽いうつ状態の人は他人の感情を察知する能力が高くなってるぞ!」ってデータ(R)を発表しておりました。
実験内容はシンプルで、
- 軽いうつの学生とうつじゃない学生43人を集める
- みんなに「目線だけが写っている写真」を見せて、感情を推測するように指示する
みたいになってます。すると、軽度から中等度のうつ病に分類された16人の学生は、うつ病じゃない学生27人より有意に成績が良かったんだそうな(正解率78% vs. 69%)。
さらにもうひとつの実験では81人の学生にも同じテストをしていて、こちらでも軽いうつ病の人ほど目線だけから感情を読むのがうまかったらしい。どうやら気分が沈んだ人ってのは、他人の感情を検出する能力が高まるみたいなんですな。
まぁ他人の気持ちに敏感になるのが必ずしもいいわけではなく、そのぶんだけ周囲のネガティブな感情に巻き込まれる可能性も高まっちゃうのが難しいところではあります。とりあえず気持ちが沈んだ時は「自分はいま共感が高まってるんだ!」てのを意識しとくのは大事かもしれませんな。
好きな音楽は10歳から30歳までで決まる
音楽の好みは10歳から30歳までの間に何を聴くかで決まる!みたいなデータ(R)が出ておりました。
この研究は、「デザート・アイランド・ディスク」っていうイギリスの有名ラジオ番組から協力を得たもの。この番組ではゲストに「無人島に持ち帰るならどのアルバムを選びますか?」と尋ねるコーナーをやってまして、ここに参加した80人のゲストがどの作品を選んだのかを分析したんだそうな。
そこで何がわかったかと言いますと、
- たいていの人は、10歳から30歳までによく聞いた1枚を選んでいた
- その曲を選んだ理由としてもっとも多かったのは「親や友人などのことを思い出す」だった
-
2番目に多かった理由は、「人生の特定の時期を思い出させてくれる」だった
-
3番目に多かった理由は、「その曲が人生を変えた瞬間を思い出させる」だった
みたいな感じだったそうです。とにかく人間が音楽を好きになるのは「思い出」の要素が強いんだ、と。
研究チームいわく、
ゲストが選んだ曲には、10代の頃に起こった重要な思い出に関連していた。
過去の研究でも、10代のこの時期は人生の重要な記憶に関連していることがわかっている。この時期に聞いた音楽が特定の意味を持つのは、従来の知見と整合性がある。
ってことで、10〜30代は自己を定義する期間なので、その時期に聞いた音楽はアイデンティティに結びつくんだってことですね。確かに自分もいまだにモグワイとかレディオヘッドの昔のやつはよく聞き直しますんで、そうですよねーって感じでした。