ダークチョコレートで抑うつ症状がやわらぐ!……かもしれないなぁという観察研究の話
チョコレートは体にいいよなーって話は昔からよくあって、
といった可能性がガンガンに指摘されております。これはチョコにふくまれるカカオフラバノールのおかげで、こいつが身体の炎症をおさえてくれるみたいなんすよね。
でもって今回のデータ(R)はまた新しい切り口で、
- チョコレートがメンタルに良い!
みたいな結論になってました。なんでもチョコレートをよく食べると鬱の諸症状がやわらぐ傾向があるというんですよ。
これはロンドン大学などの調査で、アメリカの成人13,626 人を調べた横断研究になってます。具体的には、アメリカの疾病予防管理センターが実施してる「国民健康・栄養検査調査」のデータを分析してまして、データセットの信頼性はわりと高めっすね。
このデータを使って研究チームは、
- 参加者の1日あたりのチョコレート消費量
- うつ病の症状レベル(PHQ-9を使用)
という2つを抜き出して、両者のあいだに相関がないかをチェック。そこでどんな結果が出たかと言いますと、
- ダークチョコレートをよく食べる人は、抑うつ症状が低い傾向があった(OR = 0.30)
- ダークチョコレート以外を食べる人には、抑うつ症状が低い傾向が見られなかった
- チョコをまったく食べない人に比べて、1日あたり104〜454gのダークチョコを食べる人は抑うつ症状のオッズが57%ほど低かった
という感じだったそうです。そこそこ良い数字が出てますねー。
ただ、これはあくまで参加者の人生の一瞬を切り取ったスナップショットみたいな研究なんで、基本的に精度は低いものとお考えください。そもそもダークチョコレートをよく食べてる人なんて、いかにも健康意識が高そうですからねぇ。ここらへんは、もっと厳密な実験デザインで長期の研究をしてみないと、因果関係はよくわからんところです。
研究チームいわく、
因果関係の方向を明らかにするためには、さらなる研究が必要だ。うつ病が原因でチョコレートを食べることへの興味を失っている可能性もあルシ、ダークチョコレートの消費低下とうつ病を結びつける他の要因があるのかもしれない。
もしチョコレートでがうつ病の症状がやわらぐなら、最適な予防と管理のために生物学的メカニズムを理解する必要がある。
ってことで、研究としてはもうちょい様子見ってとこでしょうね。
もっとも、「チョコレートで脳機能や気分が上がるのでは?」って話が出たのは初めてではなくて、
- 8件をまとめた2013年の系統的レビュー(R)では、5件でチョコによる気分の改善と報告されていた(2件は否定的な結論だったものの、脳が活性する可能性は示された)
- 2018年のテスト(R)ではカカオ70%のダークチョコレートを48g食べたグループは認知機能に改善が見られた
といった報告が出てたりはします。まぁ全体的には「チョコの香りが効いてるのかもしれないし、他の成分が効いてるのかもしれないし、そこらへんはまったくわからん!」って結論なんで、もし本当にダークチョコが脳に良いとしても具体的なメカニズムは謎のままっすね。
なので、個人的には「まだ本当にチョコで気分が改善するかはわからん!」ぐらいの印象ですけど、体に良い成分が豊富な優良食品なのは間違いないので、定期的に食べてみるのは良いかと存じます。