中年の炎症は記憶力と思考力の低下を起こす!では、我々おっさんはどうすればいいのか?
「炎症は良くないよ!」とはこのブログでさんざん申し上げていることですが、あらためて「特に中年の炎症はマズそうだぞ!」と思わせるデータ(R)が出ておりました。炎症って何?という方は、「体内に火事を起こして、あらゆる不調を引き起こす「慢性炎症」の話」などをどーぞ。
で、まずはいきなり結論から引用しちゃうと、
慢性炎症は体への負担が大きく、関節や内臓、組織、細胞にダメージを与える。その結果、心臓病や脳卒中、癌などの病態を引き起こす可能性がある。
慢性炎症と高齢者の脳について調べたその他の研究も存在するが、今回の研究は中年期に始まる慢性炎症を調べ、これが数十年におよぶ認知の低下に関わる事実を示した。
みたいになってます。慢性的な炎症、たとえば関節痛や疲労や消化機能のトラブルなどが原因で、「数十年をかけて脳の働きが落ちていっちゃうんじゃないの?」ってところを主張してるわけですね。
これはジョンズホプキンス大学などの研究で、12,336人の男女を対象にしたものです。ベースラインの年齢は56.8歳で、そのうち56%が女性だったとのこと。
具体的にどんな研究だったかと言いますと、
- 全員の血液サンプルを採取して炎症マーカーを調べる(フィブリノゲン、白血球数、ヴォン・ヴィレブランド因子、第VIII因子の4つ)
- 3年後にさらにC反応性タンパク(CRP)の数値も調べる
- 6〜9年後に全員の思考と記憶力のスキルをチェック
- さらに調査スタートから20年後に再び思考と記憶力のスキルをチェック
みたいになってます。体内の炎症レベルを定期的に調べたうえで、頭の働き方とどんな相関があるかを見たわけですね。
でもって、どのような結果が確認されたかと言いますと、
- 炎症スコアがもっとも高いグループは、炎症スコアがもっとも低いグループにくらべて思考力と記憶力の低下スピードが8%も早かった!
- 特にCRPの数値がもっとも高かったグループは、もっとも低いグループにくらべて思考力と記憶力の低下スピードが12%も早かった!
だったそうです。CRPってのはかなり定番の炎症マーカーでして、これと脳機能の低下がかなり相関してますね。
この脳の低下スピードがどんなものかと言いますと、
慢性炎症にともなう思考と記憶スキルの変化は、それほど大きなものではない。しかし、これまでの研究でわかった中年期の高血圧がもたらす悪影響よりは大きい。
とのことで、個人的に思ったほどの影響ではないものの、高血圧よりは悪影響があるのかもしれないんだ、と。まぁデータを見てると、調査が始まった直後から慢性炎症のレベルが高い人ほどドロップアウトしちゃってるので、そこらへんもふくめるともうちょい数値がズレそうな気もしますが。
研究チームいわく、
思考力と記憶力のスキルの低下につながるプロセスの多くは、中年期からスタートすると信じられている。そして、この中年期こそが、もっとも改善策に反応しやすいタイミングでもあるのだ。
そして今回の結果は、慢性的な炎症が改善策の重要なターゲットになり得るという点を示している。しかしながら、慢性炎症が原因なのではなく、認知の低下をもたらす脳組織の神経変性へのマーカーや反応である可能性もいまだ残っている。
というわけで、もちろん観察研究なので因果関係はよくわからないながらも、私と同じように40代に入った方は脳の低下が起きやすくなる可能性を肝に銘じつつ、この時期から改善を狙っていくと良さげです。では具体的にどんなことをすればいいのかと言いますと、
- 十分な睡眠をとる
- 定期的に運動をする
の3つがもっとも脳機能低下の予防と相関があったそうです。うわー、普通! でもこれしかないのも確かなんでしょうなぁ……。
というわけで、私とご同輩のみなさまにおかれましてはまだ全然遅くありませんので、ぜひライフスタイルの改善に取り組んでいただければと思う次第です。