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やっぱ体を動かしながら勉強すると内容が身につきやすくなるぞ!というメタ分析の話



近年では「運動すると勉強の効率が上がる!」ってデータが非常に増えていて、たとえば「勉強の後に5分の軽いウォーキングをすると記憶が定着した!」なんて話があったりとか。まぁ運動すれば脳に血もまわるしBDNFも増えるしで、それも当然かなーとか思うわけです。


で、新しいデータ(R)では、「体を動かしながら授業をしたらどうなるの?勉強の効率って上がるの?」ってところをガッツリ調べてくれておりました。


これはロンドン大学などが行なったメタ分析で、過去に行われた「アクティブレッスン」のデータから質がいい42件をまとめた内容になっております。アクティブレッスンはその名のとおり活動的な授業のことで、たとえば当ブログでかつて取り上げたロンドン大学の実験の例(今回のメタ分析にも採用されている)でいうと、

  1. 生徒たちにGoogle Eaerthの動画で世界を旅してもらう
  2. 世界各地で、数学と英語に関するクイズが出る
  3. バーチャルトラベルの間は、生徒たちはその場で足踏みをする
  4. クイズの正解が「◯」だったらジャンピングジャック、「×」だったらフットボールキックでアピール

みたいな内容になってます。さらに過去にジョンズホプキンス大学が行なった例(R)で言いますと、

  1. エクササイズを取り入れた算数の授業を行う(例えば、先生が「2かける4は?」と質問したら、生徒はその場で8回ジャンプする)
  2. 1回のアクティブレッスンは20〜30分で、これを週に3回ずつ行う
  3. 普通の授業とアクティブレッスンの違いをくらべる

といったデザインで実験したところ、アクティブレッスンをした生徒は算数テストの成績が有意に上がったんだそうな。この結果について研究チームは「これは追加の授業を4ヶ月分やったのに相当するよ!」と言ってたりします。


こうなると「アクティブレッスンはどれぐらいの実力があるの?」ってのが気になるわけで、今回のメタ分析では12,663 人の生徒(年齢は3〜14歳)のデータを集めて、大きな結論を出してくれております。サンプルを集めた地域も欧米からアジア圏をふくんでいて、なかなかよろしいのではないでしょうか。


さて、それでどのような結果が出たかと言いますと、以下に大きな結果を並べてみます。

  • レッスン中の活動量が効果量d=2.33で増える(まぁこれは当たり前ですな)
  • 授業以外もふくめた運動量もまぁまぁ増える(効果量d=0.32)
  • アクティブレッスンで学んだことはかなり身につく(効果量d=0.81)
  • 全体的な学習の成果もそこそこ上がる(効果量d=0.36)
  • 認知機能と健康レベルには影響が確認されなかった

だったそうで、研究チームいわく、

この研究でわかるのは、身体的にアクティブな授業は、カリキュラム作りに役立つということだ。アクティブレッスンは記憶に残る学習体験を作り出し、生徒たちの学習を手助けする。

とのこと。確かに、効果量0.81ぐらいのレベルで学習が身につくというなら、これはやっても良さげですね。ついでにアクティブレッスン以外の勉強効率もちょっとだけ上がるみたいですし。


もちろんこれは子供だけを対象にした研究なので大人でも似たような結果が出るかはわからんのですが、普通に考えれば、同じようなメリットが得られるんじゃないかなーと思っております。とりあえず個人的にも歩きながら本を読んだ方が頭に残りやすい気がしてますし。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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