「とりあえず寝てから考えよう!」の効果をさらに高める方法が発見される
「とりあえず寝てから考えよう!」みたいなアドバイスはよく聞くところでしょう。なんか難しい問題が起きたときは、そのままウンウン考えるよりも、とりあえず寝ちゃったほうがいいんじゃない?という考え方っすね。
このアドバイスが正しいことは過去のデータでも何度か確認されていて、たとえば2013年論文(R)なんかでも、一晩寝てから難しい問題に取り組んだグループは、休憩をしなかったグループよりも良い解決策を思いつく確率が高かったとか。個人的にもこの発想には共鳴してまして、原稿に行き詰まったときなんかは、いったん寝床に入ったほうが打開策が見つかりやすいなーと思うケースがしばしばなんですよね。
で、新たにノースウエスタン大学が行った実験(R)では、「『とりあえず寝てから考えよう!』の効果をさらに高める方法が見つかったよ!」というおもしろい内容になっておりました。
これは61人の学生を対象にした研究で、以下のようなデザインになってます。
- 全員に超難しいパズルに取り組んでもらう(「なぞなぞ」や「立体パズル」みたいな問題を解いてもらったらしい)
- その際、半分のパズルを解いている間には特定の音楽(クラシック音楽など)を流し、残り半分のパズルは無音の状態で解いてもらう
- パズルを2分以内に解けなかった場合は、いったんあきらめて翌日に回す
というわけで、「難しい問題を解きながら音楽を聞く!」ってのが今回の実験のポイントになってるわけですね。
その後、いったんパズルをあきらめた参加者たちは一晩ぐっすり眠ったわけですが、そこでさらに以下のような介入を行っております。
- 寝ているあいだに、パズルを解く最中に聞いてた音楽を流す!
パズルの最中にクラシック音楽を聴いていたなら睡眠中にクラシック音楽を聴き、パズルの最中にロックを聴いていたなら睡眠中にロックを聴くようにセッティングしたわけですね。
でもって、翌日にパズルに再チャレンジしてもらったところ、こんな違いが確認されました。
- 音楽を聴きながら寝た場合、難しい問題を解ける確率が55%アップした!
たんに一晩寝てから問題を解き直すのではなく、日中に聞いた音楽と睡眠をセットにしたほうが解決に近づきやすくなるのではないか、と。おもしろいもんですねぇ。
研究チームいわく、
ヒトが睡眠中に記憶のリハーサルや統合を行うことはよく知られている。そのおかげで私たちの記憶は強化され、整理整頓されるわけだ。さらに、このプロセスは、問題と結びついたキューと組み合わせることでブーストされる。
とのこと。これがどういう流れかと言いますと、
- 難しい問題を解きながら音楽を聴く
- 脳が「難しい問題と音楽はセットなのだな」と思い込む
- 寝ながら音楽を聞くと、脳が「難しい問題」の記憶を優先的に処理し始める
- 翌日の問題解決力があがる!
みたいになってます。あらかじめ問題と音楽をタグづけしておくことで、そちらに脳のリソースを回しやすくなるわけですな。
問題解決は人間にとって日常的な営みだ。今回の実験では難しいパズルを使ったが、私たちの脳の無意識の働きは、どのようなタイプの問題を解く際にも適用できるはずだ。