今週の小ネタ:記憶力と学習能力が上がるビタミン、不眠症と遺伝、オメガ3と目の健康
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
あのビタミンで記憶力と学習能力が上がる?
まずはラトガース大学などの研究(R)で、結論から言うと「ビタミンDで女性の記憶と学習力が上がったよ!」みたいな内容になってます。このブログではおなじみのビタミンDが脳に効くのではないか、と。
具体的にはBMIが30前後の肥満体型な女性(年齢は58 ± 6歳)を対象にしてまして、全体を3つのグループに分けてます。
- 1日600IUのビタミンDを飲む
- 1日2000IUのビタミンDを飲む
- 1日4000IUのビタミンDを飲む
以上の作業を1年ほど続けてもらった上で、記憶力と学習力のテストをしたところ、こんな結果になりました。
- 1日2000IUのビタミンDを飲んだグループは、記憶力と学習力が向上していた!(情報への反応スピードも向上した)
- が、1日4000IUのビタミンDを飲んだグループには何の変化も見られなかった
ビタミンDが脳の働きに欠かせないことは以前から知られてましたが、1日2000IUで記憶と学習力が上がったってのはおもしろいもんですねぇ。
が、当たり前の話ですが、これは肥満体型の女性しか対象にしてないので、普通体型の人が同じ量を飲んでメリットを得られるかと言えば疑問ではあります。肥満体型だとどうしても体内の炎症が起きやすいんで、その分だけビタミンDが効きやすくなるでしょうからね。
まぁいずれにしてもビタミンDが脳に必須なのは確実なんで、切らさないようにしておきたいところです。
不眠症はメンタルだけじゃなくて遺伝の問題もあるよね!という話
続いてはカリフォルニア大学などの研究(R)で、「なんだかんだで不眠症って遺伝の要素も大きいよなぁ……」って内容になってます。
これは33,000以上のDNAサンプルを解析してわかった話で、どんなことがわかったかと言いますと、
- 不眠症にかかるかどうかの一部は遺伝的な影響が大きい
- 不眠症の遺伝は、大うつ病や二型糖尿病の発生とも関係している
だったそうです。研究チームいわく、
不眠に関係する遺伝子は、体内時計に関する経路に関わっていた。そのため、不眠症が起こす遺伝リスクの範囲は、精神病からメタボリック症候群まで多岐にわたる。
ってことで、不眠症の発言にはある程度まで遺伝が関わり、そのせいでメンタルと体調まで崩す原因になるのだ、と。
ちなみに、不眠症に関わる遺伝以外の要素は、
- ストレス
- 睡眠環境
- 夜間の食事
- アルコール
- 加齢
- 運動不足
- 投薬治療
などがありますんで、心当たりのある方はお気をつけください。
オメガ3が足りないと目が悪くなるぞ!
最後はメルボルン大学などの研究(R)で、「オメガ3は目の健康にも必須!」って結論を出したメタ分析になっております。
具体的には「オメガ3と加齢黄斑変性」について調べた過去の研究から質が高めな9件をまとめていて、 88,974人分のデータをまとめてくれております。その結果、どんな傾向が確認されたのかと言いますと、
- 日常的に食事からたくさんオメガ3を摂っている人は、加齢黄斑変性のリスクが38%下がる!
だったそうです。普段から魚を食べてる人ほど歳を取っても目が老化しづらいわけっすね。
ただし、このデータはあくまで「食事からオメガ3を取った場合の効果」でして、フィッシュオイルサプリを使っても同じような変化があるのかは不明であります。まぁコクランのレビュー(R)なんかを見てますと、「いったん加齢黄斑変性が進行しちゃったら、食事だろうがサプリだろうがオメガ3は無益だよ!」って結論なんで、症状が出る前から予防として魚を食べておくのが大事なのだろうとは思いますが。