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今週半ばの小ネタ:認知症の早期警告サイン、リスクを取る人が好きな飲み物、男性学生知性に自信ありすぎ

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

    

 

 

認知症の早期警告サインとは?

その昔、「笑いのツボが変わったら頭がボケてきた証拠かもしれない」なんて話を書いたんですが、新たに認知症の早期警告サインを示すデータ(R)が出ておりました。

 

 

これは英国とオランダで暮らす450人以上を数年にわたって追跡したもので、まず結論から言っちゃうとこんな感じになります。

 

  • 時間の経過とともに無気力感が増えた人は、認知症を発症しやすい!

 

ってことで、新しい趣味に興味がなくなってしまったり、世の中のできごとへの関心が消えちゃった人は、その数年後にアルツハイマーや血管性認知症になる可能性が大きいみたいなんですよ。

 

 

研究者いわく、

 

無気力感を続けてモニタリングしておくと、認知症リスクの評価と診断に役立てることができるかもしれない。時間の経過とともに無気力感が増えている人は、くわしい検査や治療を勧めてもよいかもしれない。

 

無気力はそれ自体が認知症の危険因子ではなく、むしろ白質ネットワークの損傷の初期症状である可能性が高い。両者の関係をよりよく理解することは、将来的に患者の診断や治療に大きな意味を持つ。

 

とのことで、脳がダメージを受けたせいで無気力が起きる可能性を指摘されておりました。好奇心が脳の指標ってのはよくわかる話ですなぁ……。

 

 

 

リスクを取る人が好きな飲み物とは?

次は「リスクを好む人はこんな飲み物が好き!」ってなデータ(R)です。ビジネスでも私生活でもをリスクをがっつり取れる人に特有の飲み物があるというんですな。

 

 

具体的には109人の男女を対象にした研究で、全員の性格テストをした上で、ペールエール2種とラガー1種の好き嫌いを評価してもらったんだそうな。すると、ビールの苦味と性格には一定の関係性が見られまして、

 

  • リスクを求める人ほど苦い飲み物が好き!(ラガーよりペールエールが好き)
  • 逆に、苦味を避ける人は好意的な性格であることが多い

 

って傾向がハッキリ出たらしいんですね。研究者いわく、

 

かつて「苦味」は単に摂取量を制限するための忌避的な感覚に過ぎないと言われていた。しかし、我々のデータは、この古典的な見解と矛盾する。

 

苦味の増加は必ずしも嗜好性や摂取量の減少につながるわけではなく、一部の消費者にとってはむしろポジティブな属性なのだろう。

 

とのこと。要するに、リスクを求める人は感覚的な刺激を好むので、苦味のような嫌な感覚でも好ましく受け入れるんだそうな。

 

 

ちなみに、私は基本的にリスクを好まない人間ながら、ゴーヤとかアブラナ科野菜とかは大好きだったりします(ビールはそもそも飲めない)。こりゃどういうことなんだろう?と思ってちょっと考えたところ、「苦い食品は体にいいんだから好きになれ!」と長年にわたって自己洗脳をしてきたという結論に達しました。まぁこういう例外もあるということで(笑

 

 

 

男性学生、自分の知性に自信ありすぎ問題

男子学生は自信過剰すぎないか?」ってデータ(R)が出ておりました。これはアリゾナ州立大学などのチームによる調査で、生物学の学部生244人を対象にしてます。

 

 

調査の中身はシンプルで、

 

  1. みんなに「自分は平均よりも頭がいいか?」や「クラスメイトより頭がいいと思うか?」を尋ねる
  2. みんなの返事をくらべて男女比がないかをチェックする

 

みたいになってます。なんでこんな調査をしたかというと、現代では世界的に科学や数学が「男の世界」になってるんですが、一方では昔から「男女の数理能力には差がない」って知見がどんどん出てるからです。なのに科学や数学の世界が男だらけなのは、ひとえに「男が自信過剰だからじゃないのか?」と予測したんですよ。

 

 

すると、結果はチームの予想どおりでして、

 

  • 男子学生は「自分はクラスの66パーセントよりも頭が良い!」と思っていたのに対し、女子学生は54パーセントだった
  • 「自分はクラスメイトより頭がいい!」と思う男子学生の数は、女子学生のおよそ3倍だった

 

みたいな感じだったそうです。やはり全体的に男は自分の能力を過剰に見積もりがちなんだ、と。

 

 

研究チームいわく、

 

英語ネイティブな男子学生は、女子学生または非ネイティブな学生に比べて、自分を他より頭がいいと思う傾向があるようだ。

 

女性は科学に向いていないわけではない、ただ男性よりも積極的に参加しないだけだ。

 

とのこと。女性のほうが自分の成績に自信がないケースが多く、そのせいで科学の世界で遅れを取っちゃうのではないか?ってことですね。あくまでアメリカの研究ですけど、日本でも東京医科大学の事件とかありましたし、似たような傾向は見られるかもですな。

 

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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