不安撃退エクササイズ「エクスプレッシブ・ライティング」の効果を高めるかもな書き方とは?
みんな大好き「エクスプレッシブ・ライティング」のお話です。「自分が体験したネガティブな経験を、感情や思考を包み隠さず書き記す」という定番のメンタル改善テクニックですね。
でもって、新しいデータ(R)では、「エクスプレッシブ・ライティングが若者の不安軽減に役立つか?」ってのがテーマでして、20代の方には役立つんじゃないでしょうか(私のようなおっさんへの効果は不明)。
さて、この研究で対象になったのは、大学1年生の男女90名です。なんで大学1年生だけにしぼったかと言いますと、高校から大学への移行期にある若者ってのは、
- 家族や友人との離別
- 自立した共同生活
- 新たな社会的プレッシャー
- 新たな経済的責任
- 学業上の要求の増加
といったストレスを抱えているケースが多いからだそうな。実際、先行研究でも、大学一年生は体力の低下や睡眠障害に悩まされる事例が多く報告されていて、エクスプレッシブ・ライティングの効果を検証するにはうってつけではないか?と研究チームは考えたわけっすね。
実験では、全体を2つのグループに分けまして、
- エクスプレッシブ・ライティング・グループ:大学生活の不安や思考をガンガンに書き殴る
- 対照グループ:自分の感情は書き出さず、任意の出来事や対象物について紙に書き出す
って感じ。参加者には「3日続けてエクスプレッシブ・ライティングをしてくださいねー」と指示して、1ヶ月後と6ヶ月後の2回のフォローアップを実施。両方のタイミングで不安レベルをチェックし、さらには文章サンプルの言語的特徴(一人称代名詞の使用など)も調べたそうな。エクスプレッシブ・ライティングの研究で、言葉づかいまで調べたパターンは珍しいですね。
で、結果はこんな感じになります。
- 時間の経過とともに不安感は全参加者で減少し、 エクスプレッシブ・ライティングを行ったグループのほうが不安が減ったわけではなかった
- ただし、エクスプレッシブ・ライティングを行ったグループを見てみると、一人称単数代名詞(例:"I", "me")を多く使用し、感情語(例:"sad "や "anxious")を少なく使用した参加者ほど不安が減りやすい傾向があった
ってことで、そこまで劇的に不安が減ったわけじゃないのは残念ながら、「私」って言葉を多く使い、同時に「悲しい」や「虚しい」みたいな表現が少ない方が良かったってのは新しい知見ですね。感情語が少ないほうが自己を客観的に見てるってことなんでしょうかねぇ。
ちなみに、このテストでは「エクスプレッシブ・ライティング」の効果が低めに出てますけど、過去のメタ分析などを見てますと、
- エクスプレッシブ・ライティングは1回20分
- 最低でも4回のエクスプレッシブ・ライティングを行う
って条件を満たしたほうがストレス解消のメリットが得やすいと報告されてたりします。今回の実験では以上の条件を満たしてないのも大きかったのかな?とか愚考しております。
ちなみに、一般的なエクスプレッシブ・ライティングのテストでは、以下のような指示が使われてたりします。自分でもエクスプレッシブ・ライティングを試したい方は、この指示を参考にしてみるといいっすね。
これからの4回のセッションでは、過去5年間であなたが経験したもっともストレスの多い出来事、またはトラウマになった体験です。その経験について、あなたの心の奥底にある感情や考えを解き放ち、文章で表現してください。
ライティングの期間は全部で4日間です。ライティングの際は、その体験を書くだけでなく、過去の人生体験と結びつけても構いません。その経験は、あなたの子供時代、両親、大切な人、いまの自分、なりたい自分などと、どのように関連しているでしょうか?
ライティングの間は、文法や書き間違いを気にしないでください。