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なぜアレルギー鼻炎薬を飲むと「悪夢」を見やすくなるのか?

Baby 20339

アレルギー薬と「悪夢」の関係についてご質問をいただきました。

アレルギー鼻炎薬を買ったら副作用に「悪夢」って書いてあるんだが(笑)!」という記事を読んで不安になりました。メラトニンにも同様の副作用があると聞きました。どうして悪夢を見るのでしょうか。

とのこと。 有名な鼻炎薬「アレグラ」の副作用欄に「悪夢」と書いてあった!ってな話でして、なんか怖くなった人が少なからずいらっしゃるみたいで。




副作用で「悪夢」が起きる薬はめずらしくない
といっても、クスリの副作用に「悪夢」が入っているのは、そんな珍しいことじゃないんですよ。「アレグラ」のほかにも、

  • アンチヒスタミン系のアレルギー薬
  • 抗不安薬
  • 抗生物質
  • 高血圧のクスリ
  • コレステロールを下げるクスリ
  • βブロッカー(心臓系のクスリ)

などなど、悪夢を引き起こす商品は山ほどあるんですな。


そのメカニズムは完全にはわかってないものの、基本的には睡眠の正常なパターンが崩れるのが原因と考えられています(1)。具体的な流れを申しますと、

  1. クスリが神経伝達物質へ影響をあたえる
  2. 睡眠のリズムが崩れる
  3. レム睡眠の時間が長くなるため、体は休んでも脳が働き続ける
  4. 脳が活発なので濃い夢を見やすくなる
  5. 悪夢!

って感じです。いつもよりレム睡眠の時間が長くなったせいで、夢を記憶しやすい状態になってるわけですね。これは、睡眠のリズムをいじるクスリにはつきものなので、当然ながらメラトニンでも同じ現象は起こりえます。


クスリで良い夢を見るケースもある
もっとも、これはあくまで濃い夢を見やすくなるって話でして、つねに「悪夢だけ」が現れるってわけじゃありません。実際、アレグラの臨床実験では、逆に「良い夢を見るようになった」と報告する人もいるそうな。ただし、アレルギー薬や抗不安薬が必要な場面では、本人は体調を崩しているケースが多いわけで、それが自然と悪夢の発生につながっていくのかなー、と。


そんなわけで、「悪夢が起きる!」と言われるとビビっちゃいますが、つまりは眠りの深さが変わったぐらいの話なんで、そこまで心配しなくてもよいかと。とくに「アレグラ」は他のアレルギー薬にくらべて眠気が起きにくい商品ですし、メラトニンも「そろそろ寝る時間ですよ」と体に教える作用がメインなので、効き目はマイルドですしね。


その点では、市販薬よりも「アルコール」のほうが睡眠のリズムを崩しやすく、より悪夢を見やすいのではないかとも思います。いずれにせよ、特に変わったメカニズムがあるわけじゃないんで、そんなに心配しなくても大丈夫ですよーってことで。
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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。