人間はいつだって「今が一番不幸せ」
「人間はいつだって『今が一番不幸せ』なんだ!」ってコラム(1)がおもしろかったんでメモしておきます。
人間は幸福にならないようにプログラムされている
これはノックス大学のフランク・マックアンドルー博士による記事で、「こんだけポジティブ心理学とかの研究が進んでるのに、いっこうに人間が幸福にならないのはなぜ?」みたいな問題について考えたもの。
確かに、いまのところポジティブ心理学の成果はパッとしておらず、わたしも似たようなことを考えておりました。
で、博士の結論をざっくりまとめると、「人間は幸福にならないようにプログラムされているからだ!」みたいな感じ。
どういうことかと言いますと、そもそも多くの心理実験で、人間には3つの心理プログラムが備わっていることがわかっております。
- 楽観バイアス:なんの根拠もないけど「未来は今より良くなる!」と考えてしまう傾向。
- ポリアンナ効果:過去の嫌な記憶を少なめに見積もり、「昔は良かったなぁ…」と考えてしまう状態。
- 快楽の踏み車:どんなにいいことがあっても、すぐに慣れて「もっといいことはないか…」と思い始める傾向。
要するに、たいていの人は幸せにすぐに慣れちゃうし、いっぽうでワケもなく未来に期待して、過去をやたらと美化しがちなわけですね。その結果、もっとも大事な「現在」が一番不幸になりやすいんだ、と。わかるなぁ…。
人間を不幸にしたほうが遺伝子の生存率があがる
もちろん、こういったプログラムが備わったのには、ちゃんとした進化上の理由があったりします。具体的には、
- 楽観バイアス:「未来は今より良くなる!」と思い込むことで、生き残るために頑張るようになり、遺伝子を次世代に残す確率があがる
- ポリアンナ効果:「昔は良かったなぁ…」と思い込むことで、現在の問題点を修正する気持ちが生まれ、やはり遺伝子を次世代に残す確率があがる
- 快楽の踏み車:幸せに慣れちゃうことで、未来をもっと良くしていくモチベーションが生まれ、やはり遺伝子が残りやすくなる
みたいな感じ。遺伝子は人間の幸福なんか知ったこっちゃないないので、どっちかといえば人間を不幸にしたほうが生存の確率があがるわけですね。
もちろん、短期的には「今が一番幸せだ!」と思うケースもありましょうが、長期的にみれば人間は不幸せな状態がデフォルト。この性質は、どんなにイケメンだろうが大金持ちだろうが同じであります。なんだか、お釈迦さんの教えとよく似た話になってきましたが。
この問題については明確な処方箋があるわけじゃないものの、マックアンドルー博士いわく、とりあえず「人間はそういうもんだ」と認識するのが第一歩。個人的にも、下手に「自分は幸福かどうか…」とか考えず、たまに訪れてくる良い瞬間を普通に楽しむのがよさそうだなーと思う次第です。
とりあえず、そこさえ押さえておけば、インチキな宗教や自己啓発にはハマりにくくなるんじゃないでしょうか(笑)