会社を働きやすくしたけりゃとにかく同僚に「親切」を!嫌な同僚でも親切を!という実験
つい最近も「「親切」にするとホルモンバランスが整って長生きできる!」ってシカゴ大学の研究が出てたり、ちょっと前のデータでも幸福感アップや快眠の効果が確認されてたりするわけです。どうも「親切」ってのは単なるきれいごとではなく、現実的なメリットがとても大きいみたいなんですな。
が、ここで問題になるのが、「親切」に関する研究の大半が実験室で行われてるってとこですね。あくまで人工的な環境で行われてるんで、どこまで現実的に影響力があるのか?ってとこは判断しづらいわけです。
といった状況下で、「現実の環境で『親切』がどれぐらいインパクトがあるかを調べたよ!」ってデータ(1)が出まして、かなーり参考になりました。
これはカリフォルニア大学の実験で、コカコーラ社の従業員を対象にしております。全員には「これは幸福に関する研究です」とボンヤリしたことだけを伝えて、週に1回のペースで以下の内容を記録してもらったらしい。
- いまどのような感情を持っているか?
- その週にどんなポジティブ/ネガティブな体験をしたか?
- 仕事の満足度はどれぐらいか?
でもって、4週間後にすべてのデータをまとめたんですが、この際に「ひとひねり」しております。実は、全従業員のうち19人には事前に研究者から協力をお願いして、「意識して同僚に親切をしてあげてください」と頼んでおいたんだそうな。会社全体の「親切」の総量を増やしたら、どんな変化が出るかをみたわけですねー。
ここで指示された「親切」はなんでもよくて、隣の人にドリンクをおごるとか、メールで「こないだはありがとう!」みたいなメッセージを送るとか、それぐらいのレベル。本当にちょっとした親切っすね。
あと、当然ながら、この実験では「コントロール群」も存在してまして、「実験期間中になんの親切も受けなかったグループ」も全体の半数ほどいたらしい。このグループと「親切」を受けたグループの違いをチェックしたわけです。
さて、1か月でどんな違いが出たかと言いますと、
- 親切にされた側もした側も、同じぐらい「オートノミー」が向上(仕事への自信がついたってことですな)
- 親切にした側は人生と仕事の満足度が向上し、気分の落ち込みが減少
ってことで、ここらへんは従来の実験でも確認されてた話。実際のビジネスの場面でも、やはり「親切」のパワーは再現できたんだ、と。
でもって、さらにこの研究で新たに確認された事実としては、
- 他人から親切にされた人は、そのあとで他人に親切にする確率が、コントロール群の3倍も高くなった
ってあたりはナイスなポイントっすね。「親切」はその場かぎりのものではなくて、どんどん組織全体の幸福の総量を増す作用があるんだ、と。
研究者いわく、
親切な行為を毎日のように実践することは、お互いの感情に良い影響をもたらすだけではなく、感情の感染をも引き起こす。
とのこと。良くも悪くもヒトは他人の感情に影響を受けるんで、これも当然の結果かもしれませんなぁ。
そんなわけで、とりあえず身近な人にはガンガンに親切にしといたほうが吉。偽善的な印象を受ける方もいるかもしれませんが、それで幸福の総量が上がるんなら別に問題もないかと思うわけです。