「ソイプロテイン vs ホエイプロテイン」筋肉に良いのはどっちだ?というメタ分析
「ソイプロテインってどうなの?」って問題が昔からあるわけです。いわゆる大豆から取れたプロテインですな。
当然ながら、ホエイプロテインのようにアレルギーの問題が少ないので、乳製品が苦手な人にも安心なのがナイスなポイント。価格もホエイよりちょっと安い傾向がありまして、そのへんもうれしいポイントかと。
が、いっぽうではソイプロテインは成分のバランスが違ってまして、ホエイプロテインよりも必須アミノ酸が少ないことも有名な話。ご存じのとおり、筋肉の発達に必要なのは必須アミノ酸なんで、そう考えると「ソイプロテインって筋肉がつきにくいんじゃない?」とも思えるわけです。
実はこの問題については2015年に軽く書いたんですけど、この時点ではデータが少なくて、「ソイプロテインが本当に良くないかどうかは決め手にかける」という結論だったんですな。なにせソイプロテインについては、真反対の結論が出た実験が多かったもんで。
そんな状況下、「ソイプロテインでちゃんと筋肉が育つかをガッツリ調べたぞ!」って論文(1)が出まして、非常に参考になりました。
これはエセックス大学などによる研究で、過去のプロテイン研究から質が高い9件のデータをまとめたメタ分析になっております。サンプル数が266人なのでやや少なめですが、この手の研究は意外と少ないのでありがたいもんです。
この研究が何を調べてくれたのかと言いますと、
- ソイプロテインとホエイプロテインに筋肉のつき方の差はあるのか?
- ソイプロテインとホエイプロテインによる体型の変化には差があるのか?
みたいな感じ。参加者は18〜58歳の男女で、実験に使われたプロテインの量は1日12〜86gぐらい。実験期間は6〜36週間となっております。
さて、すべてのデータをまとめたら何がわかったかと言いますと、
- ソイとホエイのあいだに目立った違いはなし!
だったそうな。筋力と筋肉量のどちらとも、ソイプロテインでホエイと同じぐらい発達するんだそうな(細かく見るとちょっとホエイの方が筋肉が増えるかも……って感じだけど、それでも大した差じゃない)。
ってことで、ソイプロテインのアミノ酸バランスからみると、なんだか不思議な結果になっております。筋力の発達については脳の神経系の働きも大きいのでアレですが、筋肉量も大差ないのはちょっと驚き。
まぁ考えてみれば、だいたいのプロテイン研究って、筋トレが終わってから3〜5時間ぐらいのタンパク質合成しか測ってないケースが多いですからねぇ。長期的な目で見れば、ソイプロテインのアナボリック効果が低くても問題はないってことなのかもですな。
ちなみに、このデータの弱点としては、50代以下の人が大半を占めているってのがあります。何度か書いたとおり、人間は年を取るほどタンパク質が必要になりますんで、高齢者にはホエイプロテインのほうが効く可能性は否定できないかなー、と。
しかし、いずれにせよ長期的に見ればソイもホエイも大差はないようなので、筋肉の発達については好きな方を選べばいいかもですな。もちろん、ソイプロテインには「男性ホルモンが下がるかも?」って疑いもありますんで、個人的にはあんま推奨してないんですが。