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今週の小ネタ:猛暑と脳力低下、10分で痛みに強くなる方法、チョコレートミルクと疲労回復

Summary

 

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

暑い日にはどれぐらい頭が悪くなっちゃう?問題

あいかわらずお暑うございますが、「暑い日には脳力が下がるぞ!」ってデータ(1)がおりました。

 

 

これはハーバード公衆衛生大学院の研究で、44人の学生を対象にしたもの。そのうち半分は普段からエアコンがついたビルに住んでいて、残りの半分は1950年代に作られたエアコンがないビルに住んでたらしい。

 

 

研究は2016年7月に行われまして、まずは12日間にわたってみんなに認知テストを実行。日々の集中力や回転の速さをチェックしたうえで、毎日の気温の変化とくらべていったんだそうな。ありそうでなかったような実験で、非常によろしいのではないでしょうか。

 

 

参加者がテストを受けた環境はこんな感じ。

 

  1. エアコンあり:平均21.4度、最大26.3度
  2. エアコンなし:平均25度、最大30.4度

 

さて、そこでどんな結果が出たかと言いますと、

 

  • エアコンなしの部屋でテストした参加者は、頭の回転が13.4%下がり、論理的な思考力も13.3%落ちた!

 

だったそうな。ってことで、どうも30度よりちょっと下のあたりから、ヒトの脳はどんどん回転数が落ちていくらしい。これは実感としてもわかる話ですなぁ。

 

 

10分の「あれ」で痛みに強くなるぞ

 

お次はリーズ・ベケット大学の研究(2)で、24人の若者を2つのグループにわけております。

 

  1. 10分のマインドフルネス瞑想
  2. なにもしない

 

その後、さらに全員に「限界まで氷水に手をひたしてください」と伝えたところ、瞑想をしたグループのほうが格段に痛みに強くなったんだそうな。おもしろいですなぁ。

 

 

このような現象が起きるのは、瞑想が痛みを減らすからではなくて、なんでも「マインドフルによって痛みの予期不安が減るから」らしい。つまり、瞑想をすると「うわー、氷水は痛そうなだー。やだなー」って気分が薄らぐので、必要以上に痛みが脳内で倍増されずにすむわけですな。

 

 

言い換えれば、瞑想をすると「正常なレベルの痛みを感じることができる」ってことでして、メンタルの要素が大きい腰痛の痛みなどにも適用できそうっすね。

 

 

チョコレートミルクで疲労回復?

続いてイランの大学による研究(3)で、「チョコレートミルクは運動の疲労回復に効くか?」って問題について調べてくれております。

 

 

って、そもそもわたしは「チョコレートミルクが運動に効くのでは?」って説を知らなかったんですが、なんでも欧米には、「チョコレートミルクは三大栄養素のバランスがよく、電解質も豊富なので疲労回復に良い!」って考え方があるんだそうな。

 

 

で、これは過去に行われたチョコレートミルク研究から12件をまとめたメタ分析になってまして、かなり信頼性は高め。その結果がどうだったかというと、

 

  • チョコレートミルクは……
    • 主観的な疲労感にはなんの影響もなし!
    • 心拍数や血中の乳酸にも変化はみられなかった!
    • ただし、サブグループ分析では、もしかしたら持久力が増える……かも

 

って感じだそうな。目立った変化は期待できないものの、ひょっとしたら使えるのかも?ぐらいのイメージですね。

 

 

しかし、わざわざ脂肪分たっぷりなチョコレートミルクを飲むぐらいだったら、天然で抗炎症の作用も期待できるバナナを食べた方がいいような気はしますがー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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