甘いものを食べると気分が良くなる!ストレスが減る!はどこまで本当か?
甘いものを食べると気分がスッとする!みたいな話をよく聞くわけです。仕事でイライラしたときにお菓子を食べると、なんだかストレスが消えたような気分になる、みたいな。
これは欧米でも普通の考え方で、「シュガーラッシュ」なんて俗語もあったりします。仕事のストレスでスナックをドカ食いするのは世界的な現象なわけですな。
では、この「シュガーラッシュ」現象は本当に存在するのか?ってとこが気になりますが、そこらへんをガッツリ調べた論文(R)が出ておりました。これはワーウィック大学などによるメタ分析で、研究チームの問題意識はこんな感じ。
砂糖で気分が改善するという考え方は、世界中のポップカルチャーで流布されている。そのため、世界中の人は砂糖入りドリンクを飲んで集中力を上げ、疲労に打ち勝とうとする。
ってことで、果たして人間は砂糖で気分が上がり、疲れも吹っ飛ぶのか?を調べてくれたわけですな。
分析に使われた文献の数は31で、サンプル数はだいたい1,300人。いずれも、砂糖をとったあとで、
- 疲労は回復するのか?
- 集中力はアップするのか?
- ネガティブな気分は改善するのか?
ってあたりをまとめてくれてます。全体的にそこそこ質が高めな実験がそろってて、よろしいのではないでしょうか。
でもって、いきなり結論から並べていきますと、以下のような感じです。
- 砂糖は気分をまったく改善しない。これは、いくら砂糖をたくさん取っても変わらない
- どの文献においてもシュガーラッシュは確認されなかった
- 砂糖をとってから60分後には、たいていの人は集中力が低下する
- 砂糖をとってから30分後には、たいていの人は疲労感が増加する
ってことで、シュガーラッシュ現象は完全に嘘だったどころか、砂糖入りのお菓子や飲み物は生産性を下げる方向に働くみたい。まぁそうだろうなぁって結論ですが。
研究チームいわく、
今回の結果は、明確に「シュガーラッシュ」が神話でしかないことを示している。それどころか、砂糖はあなたの気分を低下させてしまう。
肥満や糖尿病、メタボリックシンドロームの増加に立ち向かうには、エビデンスにもとづいて生涯をとおしたライフスタイルの改善が必要になる。
砂糖入りドリンクやスナックが手軽な「エネルギー補充」にならないという事実は、公衆衛生においても非常に重要だ。
とのことで、甘いものを食べても気分は良くならないんだから、ストレス解消に使うのはやめときや!ってポイントが強調されておりました。そりゃそうですよねー。
もっとも、この研究には残念なところもありまして、それは、
- 糖質の種類がまったく考慮されていない!
ってところです。お菓子のような精製糖と、フルーツのようにゆっくり吸収される甘みでは、その影響にも大きな違いが出てくるんじゃないの?ってところは、誰しも思いつくところでしょう。個人的には、カロリーの質が高い糖質源であればおそらく問題はなかろうと思うわけですが、そこらへんは今後の調査に期待ってことで。