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今週半ばの小ネタ:ヒスチジンとアトピー性皮膚、ビタミンD不足と肥満、うつ病な男女ほどマッチングアプリが好き?

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

ヒスチジンはアトピー性皮膚炎を改善できるか?

こないだヒスチジンが皮膚のバリア機能を改善に役立つのでは?って話をしましたが、新しいデータ(R)も「ヒスチジンでアトピー性皮膚炎が改善するのでは?」って話になっておりました。ご存知のとおり、アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリアが損なわれて、乾燥、かゆみ、細菌の浸潤、炎症、痛みなどが出ちゃう症状でして、これにヒスチジンが効くならありがたいっすね。

 

 

この研究は12週間のRCTで、アトピー性皮膚炎に悩む子ども49名が対象。全員をプラセボか1日0.8gのL-ヒスチジンを飲むグループに分けて違いをチェックしたんだそうな。アトピー性皮膚炎のレベルはEASI(Eczema Area And Severity Index)で測定してます。

 


で、結果、

 

  • ヒスチジンを飲んだグループは、EASIスコア全体にはっきりした改善が見られ、12週目では統計的に有意なった(12週間は飲み続けないと違いが確認されなかった)

  • 副作用を報告した被験者の割合はそれぞれのグループで同程度だった(つまり、ヒスチジンに特有の副作用は見られなかった)

 

という感じだったそうです。あくまでパイロット研究につき、これだけで判断するのは危険ですけども、注目しとくと良さげっすね。

 

 

ちなみに、ヒスチジンはフィラグリンっていうタンパク質の必須成分で、アトピー性皮膚炎の人はフィラグリンが少ないことが多いんですよ。そう考えると、ヒスチジンが良いってのもあり得る話かなーとは思いますが。

 

 

 

ビタミンDが足りない人は肥満になりやすい?

毎度おなじみビタミンDの話です。今回のデータ(R)は「ビタミンDが足りないと太るのでは?」って仮説を検証した系統的レビューになります。というのも、昔から「ビタミンDが足りない人(25(OH)Dが<12ng/mL)は肥満が多いよなー」って傾向が観察研究で確認されてまして、体型の維持にもビタミンDは大事なのでは?と言われてきたんですよ。

 

 

そこで研究チームは、ビタミンDと肥満に関する前向きコホート研究を8件ほど集めて、合計2,636名の参加者を対象に、上記の仮説が正しいかどうかをチェックしてくれております。その結果をざっくりとまとめると、こんな感じ。

 

  • 8件の研究のうち、5件は成人を対象とし、3件は高齢者が対象

  • 成人を対象とした5件の研究のうち2件は、ビタミンDが足りない人ほど肥満が多い関係があった

  • 高齢者を対象とした3件の研究のうち2件は、ビタミンDと肥満との関係が認められた

  • この2件の研究のうち1件では、25(OH)D値が30ng/mL以上であれば、体重増加が少ないケースが見られた

 

ということで、やはりビタミンDの不足と肥満には関係があるらしい(全体的にデータの質が高いわけでもないんで注意は必要ですが)。

 

 

ただ、これは必ずしもビタミンDが足りないと肥満になるって話ではなく、

 

  • 脂肪にビタミンDが閉じ込められてしまい、血中のビタミンD濃度が高くなるのでは?
  • 肥満の人は屋外で運動をしないため、日光浴が制限されるのでは?

 

といったメカニズムが提唱されてる点はご注意ください。要するに、ビタミンD不足で肥満が起きるのではなく、肥満のせいでビタミンD不足が起きるのではないか?ってことですね。まぁいずれにせよ太り気味の方はビタミンDレベルにご注意くださいってことで。

 

 

 

社会不安やうつ病な男女ほどマッチングアプリが好き?

社会不安やうつ病な男女ほどマッチングアプリが好き?」って実験が興味深いのでメモ(R)。これは243人の参加者を対象にしたテストで、

 

  1. みんながどれぐらいマッチングアプリを使ってるかを調査
  2. マッチングアプリを使うモチベーションも調査(自分の価値の確認、ドキドキ感を得たい、など)
  3. みんなの社会不安や抑うつ症状のレベルを調査

 

ってところを調べて、すべてのデータを比較したんだそうな。結果、なにがわかったかと言いますと、

 

  • 社会不安やうつ病の症状が大きいほど、マッチングアプリの利用が増加する

  • アプリを利用する動機は男女とも変わらず、社会不安と抑うつ症状が大きさな人ほど、コミュニケーションのしやすさ、カジュアルな性行為、自己価値の確認という3つをモチベーションにしていた

     

  • 女性に限り、社会不安と抑うつの両方が、マッチングアプリを「スリルを味わうために使う」という傾向と相関していた

  • 社会不安や抑うつが強い男性は、気になる相手に連絡を取る可能性が低い。女性の場合は、社会不安や抑うつが強くても、相手とのコンタクトを開始する確率には影響がない

 

だったそうです。社会不安と抑うつに悩む人ほどマッチングアプリを好むが、男は相手とコンタクトしようとしないんだ、と。なんか謎の性差が見れらますね。まぁ社会不安や抑うつの症状が強い人は、リアルで出会いを探すのも大変でしょうから、こういう傾向が出るのも自然な感じはしますな。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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