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今週末の小ネタ:HIITはなぜ体に良いのか、日本人は歳を取っても智慧がつかない、不健康なライフスタイルに緑茶が効く

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

   

 

 

HIITが体に激烈に良い6つの理由

不老長寿メソッド」ではHIITを推奨してるわけですが、ウェスタンシドニー大学などの研究(R)も、あらためてHIITの健康メリットを調べてくれてて有用でした。

 

 

これはHIITの心血管代謝メリットに関する10年分の研究をレビューしたもので、簡単に言えば、なぜHIITで心肺機能は上がるのか?みたいなポイントをまとめてくれたわけです。HIITがアンチエイジングに効くのは確実ながら、そのメリットにはどんなメカニズムがあるのか、と。

 

 

で、本文の要旨だけ抜き出すと、こんな感じです。

 

正確なメカニズムの解明にはさらなる研究が必要でだが、HIITの効果はミトコンドリア機能とインスリン感受性の向上が一因であると考えられ、一方、心血管の改善は、左心室機能の向上と、動脈の柔軟性の向上に関連すると考えられる。

 

ということで、HIITアンチエイジングに効く理由をざっくり並べると、

 

  • 心肺機能が上がる
  • 心臓の働きが良くなる
  • 動脈の健康が改善する
  • 血圧が改善する
  • ブドウ糖の調整力が上がる
  • 肝脂肪が減る

 

っていう6つの原因が大きいらしい。とにかくいろんな代謝を改善することで、全身の機能をあげてくれるみたいっすね。さらにチームいわく、

 

WHOの運動ガイドラインは集団レベルでは良い指針かもしれないが、時間がない個人には達成できないことも多い。ゆえに、個別に調整された低容量のHIITを行うほうがより効果的かもしれない。

 

とのこと。もちろんWHOのガイドラインもすばらしいものの、時間がない人はHIITでも同じ効果を得られるかもよーって感じですね。私は普通の有酸素運動(45分以内)とHIITを併用してますけど、仕事が忙しすぎるときはHIITだけにしぼるのもアリなんでしょうな。

 

 

 

日本人は歳をとっても智慧者にはならない?

俗に「歳を取ると智慧が増す」みたいなイメージがあるわけです。ガンダルフとかダンブルドアとか、ファンタジーの賢人キャラもだいたい老人ですもんね。

 

 

で、ウォータールー大学の新しい実験(R)は、「日本人は歳をとっても智慧が増えないのでは?」みたいな結論になってました。ここでいう「智慧」はたんに知識がある状態ではなくて、複数の視点を持てるとか、個人的な知識の限界を理解しているとか、妥協の重要性を認識しているといった能力のことです。世間でうまくやっていくのに欠かせない能力とでも申しますか。

 

 

これがどんな調査だったかと言いますと、

 

  1. 日本人186人とアメリカ人225人を集める
  2. みんなに集団トラブルや人間関係に関するテストを実施して「智慧」のレベルを測る
  3. 年齢によって智慧に違いが出るのかを調べる

 

みたいになってます。ここから学歴や収入などの要素を調整すると、以下のような傾向が見られたらしい。

 

  • アメリカ人は、歳を取るほど智慧が高くなっていた(集団トラブルに関するテストの成績は25歳が45点で55歳が75点)

  • 日本人は、歳を取っても智慧は高くならなかった(集団トラブルに関するテストの成績は25歳が51点で75歳が51点)

 

ということで、なぜか日本人は年齢が智慧に反映されないのかも?って感じらしい。なんとも謎ですけど、考えられることとしては、

 

  • 日本は集団主義が強い国なので、もともと若い頃から対人トラブルを回避するように行動するから?
  • 逆にアメリカは人種のるつぼなので、歳を取るごとに対人トラブルの経験値を積みやすいから?

 

みたいなところでしょうか。智慧のレベルにも環境差があるってのはおもしろいもんですなぁ。

 

 

 

不健康なライフスタイルの悪影響を(ある程度まで)緑茶が防ぐ

緑茶のメリットはさんざん書いてますけど、新たなデータ(R)も緑茶のメリットに関するお話です。まず結論から申し上げますと、

 

  • 不健康なライフスタイルの悪影響を(ある程度まで)緑茶が防ぐかも!

 

みたいになります。まぁ14名の男性を対象にしたテストなんで、まだ初歩的な研究ではありますが、私のような緑茶好きはモチベーションが高まって良いのではないかと。

 

 

実験のデザインを簡単にまとめておくと、

 

  1. 健康的で1日の歩数が8,000歩以上の男性を集める

  2. 実験の期間中は、みんなの歩数を50%減らし、油と砂糖が多いスナック菓子を積極的に食べてもらう(普段の摂取カロリーのプラス50%)

  3. 最初の1週間は緑茶をガンガン飲んでもらい(約300mgのフラボノイドを摂取)、また別の1週間はプラセボドリンクを飲んでもらう

 

みたいになっていて、わざと不健康な生活にしたうえで、緑茶とプラセボの違いをチェックしたわけですね。

 

 

すると、緑茶を飲んだ期間は明確な違いがありまして、

 

  • 食後の血糖値が改善!
  • 血管の機能も改善!

 

みたいな傾向があったらしい。ちなみに、参加者は不健康なライフスタイルに切り替えてから7日でも有意に代謝が悪化したそうで、これもちょっと怖い知見ですね。

 

 

研究チームいわく、

 

緑茶を毎日飲むことで、不健全なライフスタイルの代謝および血管への有害な影響が抑えられた。健康な参加者が一時的に不健康な生活をせざるを得ない時は、緑茶が有効に働くかもしれない。

 

とのことで、ケガのせいで運動できなくなった時などは、緑茶を飲んでみると悪影響を少しはやわらげられるかも知んないですね。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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