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運動をすると年収が6〜9%ぐらい上がるんじゃないか説


  

運動する人は年収が高い!って話は昔から多くて、

 

 

みたいな報告がいろいろ出てるわけです。その理由はまだ謎ですが、運動で体調が良くなったり、運動のおかげで忍耐力がつくおかげではないかと言われております。

 

が、ここで謎なのは「運動するから年収が高くなるの? それとも年収が高い人ほど運動するの?」ってところです。年収が高い人は健康意識が高い人も多いんで、そのせいでエクササイズと収入に相関が出るんじゃないかって問題ですね。

 

 

そこで新しいデータ(R)は、「本当に運動で年収が上がるのか?問題」について、因果関係をチェックしてくれておりました。これはクリーブランド州立大学の調査で、どんな研究かと言いますと、

 

  1. アメリカで行われた青少年調査(NLSY79)の1998年および2000年のデータを使用(最初のサンプルは12,686人)

  2. みんなに「エアロビクス、ランニング、水泳、自転車などの激しい運動やスポーツをどのくらいの頻度で行っていますか?」「エアロビクス、ランニング、水泳、自転車などの激しい運動やスポーツをどのくらいの頻度で行っていますか?」と尋ねる

  3. みんなの運動量と年収の関係性を調べる(2006年の時点で平均の週間収入は782.35ドルだったらしい)

 

みたいになってます。わりと定番の調べ方っすね。

 

 

そこでまずどんな傾向が見られたのかと言いますと、こんな感じです。

 

  • 月に1〜3回だけ運動する人は、座りっぱなしの人よりも平均で5.2%収入が多い。この結果は、学校教育の1年分、または軍隊資格試験スコアのパーセンタイルが13.2ポイント(標準偏差の2分の1弱)増えるのと同じくらいである(学校教育が1年増えると、収入が6%増えると考えられている)

 

  • 定期的な運動(週1〜3回)をする人は、そうでない人の6~9%多く稼いでいる

 

  • 座りがちな生活を送る人が月に1~3回の運動を始めると、週給が平均で2.2パーセント上がる

 

みたいになっております。ただ、当然ながらこれだけだとまだ「本当に運動で年収が上がるのか?」は分からないので、研究チームは、続いて高度な統計的手法を使って運動と収入の関係を深掘りしてくれております(道具変数推定)。

 

 

これでどんな因果関係が見られたかと言いますと、

 

  • 月に数回以上の運動をすると、運動をしない人に比べて5%の収入増が得られる

 

ということで、上記の数値とかなり近い結果が得られたそうな。要するに、「金があるから運動をするのではなく、運動のおかげで収入が増えるのだ!」って可能性が高くなったわけです。うーん、おもしろい。

 

 

ちなみに、この分析から得られた他の知見をまとめとくと、

 

  • 週の運動回数が増えるほど収入も上がる……かもしれない


  • 運動の強度が高いほど収入が上がるかどうかはわからない

  • 運動で収入が上がるのは、体型の改善とは関係がないっぽい(肥満の人のみ収入が低い傾向はあるが、それ以外の体型だと収入との関係はほぼない)

  • 太り過ぎまたは肥満になると、賃金が7%上昇するという現象も見られた。これは、おそらく賃金や給料の増加に応じて、食事量を増やしたり、外食の頻度が増えるのが原因だと思われる

 

みたいになってます。いずれにせよ、くわしいメカニズムはまだ不明ながら、運動をする人は収入も上がるって可能性はそこそこあるんで、お悩みの方はここから始めるのもいいんじゃないでしょうか。

 

 

もちろん、今回のはアメリカの研究ですが、過去には日本でも「運動するほど年収が高い」ってデータが確認されてるんで、同じメリットは得られそうな気がしております。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。