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今週末の小ネタ:ガチ瞑想の効果、ストレス老化は戻せる、オンラインアートでメンタル改善


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

瞑想リトリートによるメンタルの変化がすごそうな件

ガチ瞑想の変化がすごい!」って報告(R)が出ておりました。瞑想による変化については、このブログでもいろいろ書いてますけど、この研究では、

 

  • 3週間の瞑想リトリートで、人間はどう変わるか?

 

を検証していておもしろいです。リトリートってのは、どこか山奥にこもって、朝から晩までひたすら瞑想をしまくる手法のことです。当然、そのあいだはスマホやPCなどは厳禁で、他人との会話も許されないケースもあったりします。個人的にも、いつか試してみたいと思いつつ、実行できてないっすね。

 

 

で、この研究は32名の参加者を対象にしたもので、みんなを「3週間の瞑想リトリート」か「普通に暮らす」という2グループのいずれかに分類。その前後にテストを行って、どんな変化が起きたのかをチェックしたんだそうな。

 

 

その結果、リトリートに参加したグループは、あきらかにメンタルの違いが見られまして、

 

  1. 時間感覚の変化(時間に追われない、ゆったりした感覚)

  2. 他者や自然との一体感(みんな繋がってるぜ!みたいなやつ)

  3. 平和や喜びの感情の増加

 

って心持ちになったそうです。ここらへんの変化は、長く瞑想をやっている人には定番のものでして、そのような違いが出てくるメカニズムについては「無(最高の状態)」でくわしく説明してますんで、興味のある方はどうぞ。瞑想でメンタルが改善する場合は、たいていこのような変化が起きるのが理由だとされてますね。

 

 

まー、まだまだサンプルサイズは小さいし、リトリートの効果が長期にわたって続くかは判断できないし、さらに言えば参加者に見られた変化が瞑想以外から得られた可能性もあるんで(たんに人里離れた場所で過ごしたのが良かったのかもしれないし、デジタルデバイスから離れたことによる効果かもしれない)、そこはご注意ください。いずれにせよ、瞑想リトリートはおもしろそうなんで、いつかやってみたいもんですなぁ(仕事を引退しないと無理な気もしますが)。

 

 

 

ストレスで体は老ける!しかし、リバースもできる!

ストレスは老ける!ってのは常識で、特に「お金のストレスはよくない」って話があるわけです。なので、できるだけストレスからは身を守るのが重要なのは間違いないんですが、新しい研究(R)は、「ストレスで老けても挽回はできるかもよ!」という希望を持たせてくれる内容になっておりました。

 

 

これは、新型コロナで重症になった患者さんを調べた観察研究で、みんなの血液サンプルを調べて、全員のDNAメチル化レベルを調べたものです。メチル化ってのは肉体の老化を調べるときに使う指標で、わりと正確性は高め。くわしい内容については、「8週間で実年齢よりも肉体が5歳若返る『メチル化サポート食』とは?」をご覧ください。

 

 

で、そこで何がわかったかと言いますと、

 

  • 病気やケガなどのストレスにさらされると、みんなその直後から肉体が老けていく。

 

  • しかし、このストレスは後戻りが可能であり、ストレスがやわらげば、老いた肉体は元のレベルにもどる。

 

だったらしい。やはりストレスは肉体を老けさせるものの、ストレス源が解決されれば、それから老化レベルはもとにもどるものなんだ、と。

 

 

研究チームいわく、

 

精神的および肉体的ストレスは、生物学的な年齢を早め、生活の質を損なうことが、クリニックや研究の分野でよく知られている。しかし、この研究の結果によれば、ストレスからうまく回復することで、私たちは老化のスピードを逆転させ、生物学的な年齢を戻すことができることがわかった。

 

とのことで、ちゃんとストレス対策をすれば、老化もリバースできるよーって視点が強調されておりました。これまでは、「ストレスで刻まれた生物学的な老化はもとにもどせない」って説もあったんで、これはありがたい結論っすね。やっぱストレス対策をがんばろう……。

 

 

 

オンラインアートでもメンタルが改善!

アートはすばらしい!」みたいな話はかねてから書いてますが、新しい調査(R)もアートのメリットを明らかにしてくれていて有用でした。結論から申し上げますと、

 

  • オンラインのアート作品を鑑賞すると、ネガティブな気分や不安が大幅に軽減される!

 

みたいになります。これまでの研究では、美術館を訪れたり、病室にアート作品を置いたりすることがでメンタルが改善することを明らかにしてたんですが、オンラインのデジタルアートでも同じ効果を得られる可能性を提示しているわけです。

 

 

これはウィーン大学などの研究で、240名の大学生を集めて、みんなに「Google Arts and Culture」にアクセスするように指示。モネの睡蓮のアート展を鑑賞してもらい、その前後で気分や不安レベルがどう変わったかを調べたんだそうな。

 

 

すると、結果はこんな感じになりました。

 

  • ほんの数分のアート体験でも、参加者の気分や不安が大きく改善。

 

  • 大半の参加者はアートを楽しみ、その体験を有意義なものと感じていた。

 

  • スマートフォンでのアートを鑑賞した場合は、ノートパソコンやデスクトップパソコンで鑑賞した場合と比べて、あんまり有意義な結果が確認されなかった。

 

スマホだと効果が出にくい理由はわからんですが(単に画面サイズの問題な気がする)、とにかく1日数分のオンラインアート体験でも、十分なメンタル改善効果は得られるっぽいですね。

 

 

研究チームいわく、

 

このデータは、1日のうちに数分間、オンラインでアートを鑑賞する時間を取ることで、ネガティブな気分や不安が軽減されるという、さらなる証拠を提供する。

 

これらの効果は、芸術鑑賞からより多くの喜びと意味を引き出せる人ほど強くなる可能性が高い。日常生活で実践したい人は、好きなアートを選び、なぜ自分がそのアートを好きなのかを考えることで、幸福感がさらに高まるかもしれない。

 

とのことなんで、1日に4〜5分ぐらいPCで好きな絵画をチェックしてみるといいかもしれません。私もエドワード・ホッパーなどを見てみようかと。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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