会話が苦手な人たちは、実は社交的な人よりコミュニーケーションの才能を持っている
「孤独な人はコミュニケーション能力が低い!」ってな考え方がありますね。生まれつき社交のスキルが無いせいで孤立を深め、そのせいでますますコミュニーケーションが苦手になっていくようなイメージ。
ところが、近ごろでた論文(1)を読んでいたら、このイメージは正しくないどころか、実は会話が苦手な人ほど他人の心を正確に読む能力が高いことも多いんだそうな。
会話が苦手な人は、状況によって社交的な人よりも高い能力を発揮する
これはフランクリン & マーシャル大学の実験で、まずは86人の学生たちにアンケートを行って、全員の普段のコミュニーケーションレベルをチェック。そのうえで、みんなに24枚の顔写真を見てもらい、それぞれの人がどんな感情を抱いているかを当ててもらったんですね。
その際、参加者は半分にわけられまして、
- 事前に「これは社交スキルを判断するテストです」と伝える
- 事前に「これはただの一般常識のテストです」と伝える
といった2パターンの条件づけがされたらしい。すると、
- 会話が苦手な人が「社交スキルのテスト」だと思って実験に参加すると、社交的な人よりも点数は悪くなった
- 会話が苦手な人が「一般常識のテスト」だと思って実験に参加すると、社交的な人よりも点数は良くなった
って傾向が出たらしい。会話が苦手な人は決して他人の気持ちが読めないわけではなく、状況によっては社交的な人よりも高い能力を発揮するわけですね。
コミュニーケーションの才能を発揮するには、まずは不安感を減らすこと
これは、2000年の実験(2)でも似たような結果が出てまして、やはり孤独な人ほど他人の感情を正確に読むことができたんだとか。つまり孤独な人たちは、コミュニーケーションの才能は持っているのに、それを上手く発揮できていないだけなんだ、と。
では、なぜ才能が使えないかといえば、シンプルにプレッシャーに弱いから。失敗をふせぐために相手の声や表情に集中しすぎてしまい、会話を先まわりしまくったあげく、結局は考えすぎにおちいってギクシャクしちゃうパターン。会話ベタにはおなじみのケースかと思います。
というわけで、会話が苦手な人が持ち前の才能を発揮するには、とにかく不安を減らすのが吉。ただし、強引に気を静めようとすると、「シロクマのリバウンド効果」のせいで逆に不安が強まってしまうので、
ってあたりが、ちゃんと実証データもそろってて使えそうな感じです。といっても、プライドが高い人だと「自分が不安を感じている」って事実を無意識に押し込んじゃうケースも多いんで、そういった場合は瞑想などで自分の感情に気づく訓練から始めるのがよさげです。先の長い話ですけどねー。