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エクササイズで不安や鬱を減らし、ポジティブな感情を増やすための科学的ガイドライン

 

こないだ「1日15分の運動でも健康には十分」って話を書きましたが、当然ながら、エクササイズはメンタルにも効くわけです。たとえば、20分の軽いウォーキングでも脳からセロトニンやBDNF(脳を育てる物質)が出て、すぐに幸福感を高めてくれたりとか。

 

 

それでは、具体的に「メンタルに効く運動量はどれぐらいなの?」ってところを見て行きましょう。



 

脳の機能を高めるなら運動は1日10分

まず参考になるのが2014年のメタ解析(1)で、6〜35才までの男女の脳にエクササイズがあたえる影響を調べたんですね。その結果は、

 

  • 10分の軽い運動だけでも脳の機能があがる!

 

というもの。具体的には、運動が終わってすぐに「実行機能」が改善し、その効果はしばらく続いたそうな。

 

 

「実行機能」は、脳がさまざまな決断を下すときに使う能力で、たとえば、

 

  • 週末はどこに行こう?
  • コンビニで何を買おう?
  • 晩飯はどうしよう?
  • Twitterを見たいけどガマンしよう

 

などなど、日常のささいな場面でも発動されております。この機能は自己コントロールの能力と密接に結びついてまして、こいつが高いと人生の満足度成功レベルが高くなるんだとか。

 

 

ただし、脳の実行機能は、食べたいお菓子をガマンするだけでもすり減っちゃう繊細なヤツなので、普段から鍛えておくといろいろ便利。具体的なトレーニング法は、「科学的に意志力が鍛えられる7つの方法を実際に試してみた結果」でもいくつか取り上げてますが、ほんの10分の運動でもOKってのはありがたいところです。

 

 

ちなみに、2010年に日本で行われた実験(2)では、10分の早歩きで前頭前野外側部が活性化し、実際に自己コントロールテストの成績もあがったとか。やっぱウォーキングは最強ですねぇ。

 

 

メンタルを安定させたいなら1日20分以上

ハーバード大学のタル・ベン・シャハー教授も「運動をしないのは憂鬱になる薬を飲んでいるようなものと言ってるとおり、エクササイズはメンタルの安定にも効果がございます。


 

有名なのは1999年のメタ解析(3)で、100以上の試験データを分析したところ、

 

  • 20分の早歩きで不安はガッツリと減る!

 

って結論になったらしい。さらに2006年のメタ解析(4)によると、運動は不安を減らすだけでなく、活力や幸福感を高めてくれる効果もありまして、

 

  • 30分の早歩きでプラスの気分が高まる!

 

といった傾向があったそうな。ほとんどの人は、運動が終わってから30分ぐらいでメンタルに良い影響が出るんだけど、キツすぎるエクササイズだとその効果は得られないので注意が必要とのこと。

 

 

まとめ

以上の話をまとめますと、

 

  • 意志力をアップさせたいなら1日10分の運動
  • ネガティブな気持ちを減らすなら1日20分の運動
  • ポジティブな気持ちを増やすなら1日30分の運動
  • 運動レベルは早歩きかスロージョギングで十分
  • ハードな運動は逆効果なので注意

 

ってあたりが、おおまかな目安になるかと思います。最低1日10分でもいいってのは、かなり気楽でいいですねー。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。