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精神の疲労を限界まで減らすための、科学的な食事タイミングガイドライン

Mental 
運動が脳の働きに良い影響をあたえるように、食事もメンタルを健やかに保つためには必須。実際、「食事の内容とタイミングで脳の機能は変る!」ってデータはいくつかありまして、そのへんをまとめてみましょう。


糖質・タンパク質・脂肪が脳に効くまでには時間差がある
まず参考になるのが、三大栄養素と脳の働きの関係について調べた2008年の実験(1)。糖質・タンパク質・脂肪をとるタイミングによって、記憶力や注意力がどれだけ変わるかを示した系統的レビューであります。


その結果によりますと、

  • 炭水化物をとると15分で注意力がアップするが、1時間後には脳機能が低下する
  • 高タンパクの食事をとると、すぐに変化は出ないが1時間後に記憶力がアップする
  • 脂肪をとるとゆるやかに脳の自己コントロール能力があがり、その効果は3時間にわたって続いた

といった感じ。つまり、

  • 短期決戦で仕事をかたづけたいなら炭水化物!
  • 中期間で注意力をあげたいならタンパク質!
  • 長丁場の作業に取り組むなら脂肪!

といった使いわけができそうであります。1時間を超す作業に使うなら、タンパク質と脂肪がバランスよく入った「銀鮭の塩焼」なんかがいいかも。


GI値をコントロールして脳機能を高めるコツ
三大栄養素のなかで、もっとも脳の影響に関するデータが多いのが糖質。ここに関わってくるのがご存じGI値で、この数字が低い食品ほど血糖値は上がりにくいわけですね。


たとえば2014年の実験(2)によれば、参加者を3つのグループにわけて、それぞれにGI値を変えた朝食をとってもらったんですね。すると、GI値が高い朝食をとった参加者ほど気分の変動が大きく、一貫して不機嫌になりやすい傾向があったとか。GI値はダイエットには意味がない数値ですが、メンタルの面では考慮したほうがよいみたい。


ただし、この現象にはかなりの個人差がありまして、もともとグルコース代謝(糖質を上手く処理する機能)が高い人ほど、血糖値の影響を受けやすい模様。逆に代謝が悪い人にはほぼ差がなかったそうで、まずは炭水化物をとったあとの機嫌や体調をチェックして、自分のグルコース代謝を確認してみたほうがよさそう。


では、具体的に「どれぐらいのGI値の食事がいいの?」って話ですが、2012年の実験(3)によれば、

  • GI値が40台前半の食品をとると、2時間後に自己コントロール能力が上がる!
  • GI値が70台以上の食品をとると、自己コントロール能力は低下する!

って結果が出ているんで、まずはこのへんが参考になりそう。まぁ「カロリーの質が高い炭水化物」と「カロリーの質が高いタンパク質」の基準を守ってれば、楽にクリアできるレベルじゃないかと思われます。


まとめ
そんなわけで、三大栄養素を上手く使って脳のパフォーマンスを高めるには、

  • 作業前にはGI値が40台の食事をとるのが基本
  • 短時間の作業なら炭水化物で脳をブーストさせる
  • 長期間の作業ならタンパク質と脂肪をとる

といった感じになりましょうか。要は血糖値をどれだけ安定させるかがカギになってきますんで、そこらへんに注意してけばいいんじゃないかと思います。
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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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