マインドフルネスで仕事のパフォーマンスはアップするの?のメタ分析が出てましたで
マインドフルネスの研究はまだ進行中の段階ですが、近年では「ダイエットに効く!」っていう精度が高いデータも出まして、なかなかいい感じではないかと。
で、ここ数年、ちょっと研究が進んできたのが「マインドフルネスって職場にも使えるよね!」みたいなテーマ。マインドフルネスのテクニックで社員のメンタルを改善して、会社の雰囲気をよくできない?って研究がちょこちょこと実施されてるんですよ。
といった状況下、ラ・トローブ大学が「マインドフルネスって本当に職場の改善に使えるの?」って疑問をガッツリ調べてくれててナイスでした(1)。
これは、過去に行われたMBIの研究をまとめてメタ分析したもの。MBIは「マインドフルネス・ベースド・インターベンション」の略で、ざっくり言えば「マインドフルネスの手法を基本に、いろいろとメンタルに良いことを試そう!」みたいなことですな。
ここでは153件のデータから質が高めな35件のRCTを選び抜いていて、全体的な信頼性はかなーり高め。マインドフルネスの研究は低品質なものが多いんで、わりといい感じではないかと。
各データで使われたMBIの内容はバラバラですけど、大体の傾向では、
- 週に1回だけ2時間の瞑想トレーニング(ヴィパッサナー瞑想が多い)
ってパターンを取ってることが多いみたい。基本的にはカバットジン先生の「マインドフルネスストレス低減法」がベースになってまして、たいていは8週間のプログラムになってます。
さて、大量のデータをまとめて何がわかったかと言いますと、
- MBIを行った会社員は……
- 仕事中のストレスが減少(SMD= −0.57)
- 不安も減少(SMD = −0.57)
- 疲労感も減少(SMD = −0.56)
- 燃え尽き症候群も改善(SMD = −0.36)
- 健康も改善(SMD = 0.63)
- 仕事のパフォーマンスが改善(SMD = 0.43)
- 共感能力も改善 (SMD = 0.42)
だったそうな。いっぽうで、感情のコントロールや鬱の発症率には違いがなかったとのこと。この数字を見る限り「 少量から中程度の効果はある!」と言えるようでして、十分に実用に耐えるレベルじゃないかと思うわけです。
もっとも、これで「マインドフルネスすごい!」とは言いづらいところもありまして、
- 現状でもっとも質が高いデータを選んでいるとはいえ、なかにはデザインが良くない実験も混ざってる(アクティブなコントロール群がふくまれてないデータが多い)
- 効果が出てる人と出てない人の差が激しすぎる(これはMBIの手法の違いなのか、それとも計測法の違いなのかは不明)
ってあたりは、もうちょい研究が進まないと正味な実力はわからんなーって感じです。
まぁMBIは負担が少ないし副作用もほぼない介入法なので、これだけの数値が出てればとりあえず試すだけの価値はあるだろうとも思う次第。とくに日本はワークライフバランスが悪い国なんで、ちょっとでも良さげな手法はガンガン取り入れていけばいいのではないかと。