マインドフルネスがダイエットに効く可能性が高くなりましたよ

マインドフルネスで痩せられるの？ 

昔から「瞑想はダイエットに役立つんじゃない？」って話はあったんですが、新たに「マインドフルネスでどれぐらい痩せられる？」ってとこをガッツリ調べた論文(1)が出ておりました。


これはオーストラリアン・カソリック大学の研究で、過去に行われた「マインドフルネスと減量」に関する15件の論文をまとめたもの（そのうちRCTが７件）。560人分のデータを精査したメタ分析になっていて、科学的な信頼性は高め。

マインドフルネスの３パターン

ひとくちに「マインドフルネス」といってもいろんな流派がありますけど、この研究では大まかに３種類にわかれてまして、

• ACT：15件中6件。ACTは「アクセプタンス&コミットメント・セラピー」で、第三世代の行動療法と呼ばれるテクニックのひとつ。

• マインドフルネス瞑想：15件中2件。呼吸瞑想やヴィパッサナー瞑想など。

• それ以外：15件中7件。「マインドフルイーティング」や「マインドバス」など、日常の暮らしにマインドフルネス系のテクニックを取り入れるパターン。

みたいな感じ。かなりACTの比率が高いですねー。

ACTってどんなもの？

そもそも、なんでACTが「第三世代の行動療法」と呼ばれているかと言いますと、

• 第一世代：「曝露療法」のように、行動をメインに変える療法。高所恐怖症を治すために、少しずつ高いとこに登ったりするパターン。

• 第二世代：第一世代に「認知」の要素をプラスしたもの。不安の根っこにある「思考のゆがみ」を正していくのが基本。

• 第三世代：第二世代とは「思考」へのアプローチが違う。「思考を正す」のではなく、頭に浮かんだイメージや考え方を「ただの思考」としてとらえていく。マインドフルネスは、そのための技法のひとつ。

みたいな経緯があったからであります。これは後の世代のほうが正しいって話ではなく、たんにアプローチの違いだとお考えください。


というわけで、ACTでは、不安な感情や思考を受け入れて（アクセプタンス）、そのうえで自分の価値観に合った行動をする（コミットメント）のがポイント。マインドフルネスを使うのは、あくまでアクセプタンスの態度を身につけるのが目的になります。さらに詳しいところを知りたい方は、「幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない」などをどうぞ。

幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない: マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門 (単行本)

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12時間のマインドフルネスで平均4キロ体重が減る

さて、分析の結果、どんなことがわかったかと言いますと、

• およそ12時間（中央値）のマインドフルネスで、BMI25以上の人は平均4.2キロほど体重が減る

みたいな感じ。マインドフルネスには、ちゃんと体重減少の効果があるわけですな。


ただし、これだと大まかすぎるんで、もうちょい細かく見てみると、

• ACT：7.6キロ減
• マインドフルネス瞑想：1.8キロ減（BMIの変化には統計的に有意差なし）
• それ以外：1.7キロ減（BMIの変化には統計的に有意差なし）

って感じでACTが圧勝しております。やっぱ体系化されたセラピーのほうが強いですよねぇ。
 

とりあえず12時間が実践の目安

もっとも、いずれのマインドフルネスでも「摂食障害」には中程度の効果が出てまして、メンタルが原因で食べ過ぎちゃうようなケースには広く使える模様。また、多くのデータを総合すると「12時間以上のセッションはあんま意味がないかも」って結果も出てますんで、とりあえず12時間を目指して試すとよさげです。「ストレスで食べちゃう！」みたいな方はとりあえずやってみて損はないかと。

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