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7日間で健康的な食事に改善する超シンプルなプログラムを作ったぞ!という研究の話

 
 

「もっと野菜や果物を食べなきゃ」と思っていても、ついつい食事が偏ってしまうことは誰にでもあるもの。特に忙しい時などは、ついジャンクフードに手が伸びやすくなったりするでしょう(私もなります)。

 


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そんな中、「7日間で野菜を食べる量を確実に増やすプログラムを作ったぞ!」って研究(R)が出てまして、これがなかなか使える内容でした。

 

この研究は99名の男女を対象にしたもので、全体を2つのグループに分けてます。

 

  1. 7日間改善プログラムグループ:1週間、毎日オンラインで「いつ・どこで・どうやって」果物や野菜を食べるかを計画する。
  2. 何もしないグループ:特に指導なしで、普段通りの食生活を続ける。

 

この「7日間改善プログラム」ってのは非常にシンプルな発想で、具体的に「いつ」「どこで」「どのように」野菜を食べるかを計画しておこうぜ!というものです。具体的には、以下のようなプログラムを指導したらしい。

 

 

1. 7日間食事改善プログラムの概要

期間は7日間で、毎晩20時〜23時の間に、翌日の果物・野菜の摂取計画をオンラインに書き込む形で行います。計画する項目は、

 

  1. 摂取する時間帯(朝食・昼食・夕食・間食など)
  2. 摂取する場所(自宅・職場・レストランなど)
  3. 具体的なメニュー(どの果物・野菜をどのように食べるか)
  4. 予想される障害(計画通りに実行できない可能性のある要因)
  5. 障害を乗り越える方法(代替案・対処法)

 

の5つで、たとえば以下のような感じです。

 

  • 朝食:バナナ1本(自宅で)
  • 昼食:サラダ(職場のカフェテリアで)
  • 間食:りんご(カバンに入れて持ち歩く)
  • 予想される障害:「昼食時に他のメニューに惹かれてしまうかも」
  • 対策:「最初にサラダを注文して食べることで、食事のバランスを整える」

 

このように、事前に計画することで「食べるかどうか」ではなく「どうやって食べるか」に意識を向けることが重要なポイントになっております。

 

 

2. 各日の具体的なタスク

続いて、それぞれの日に何をするかを見ていきましょうー。

 

  • 1日目のタスク 現状の把握と意識づけ:これまでの食生活について振り返り、自分がいつもどれぐらいの果物と野菜を食べてきたかを書き出す。その上で、「なぜ果物や野菜を増やしたいのか?」を考えてみる。モチベーションを明確にすることで、計画の継続率を高めるのが狙い。

  • 2日目~6日目のタスク 具体的な計画の実践:上で見た「7日間食事改善プログラムの概要」に従って、毎晩、翌日の野菜と果物を食べる計画を立てる。

 

  • 7日目のタスク 振り返りと調整:前日までの記録を振り返り、成功した点と改善すべき点を分析。さらに翌週以降の継続プランを考える。

 

これまたシンプルな介入になってまして、たとえば以下のような感じで実践するわけですね。

 

  • 1日目の実践例
    • 1日平均の摂取量は、野菜が約1カップ(サラダ+野菜炒め)で、果物が0.5カップ(たまにバナナを食べる程度)。目標の2.5カップ/日には全然足りていない。果物や野菜を増やしたいのは、体調を整えたい(疲れやすい、風邪をひきやすい)。

 

  • 3日目の計画例
    • 朝食 バナナ1本(自宅)
    • 昼食 野菜炒め(社食)
    • 間食 ヨーグルトにブルーベリーを追加(セブンイレブンで買う)
    • 夕食 ほうれん草のおひたし(自炊)
    • 障害 仕事で忙しく、ランチを抜く可能性がある
    • 対策 前日にランチ用のサラダを準備しておく

 

  • 7日目の振り返りの例
    • 果物・野菜の増加量は+0.8カップ(約53%増加!)
    • 朝食にバナナを食べるのは習慣化しやすかった。夕食に野菜を増やすつもりが、疲れて外食になった。
    • 今後は冷凍野菜やインスタント味噌汁(野菜入り)を活用。「手軽さ」をより重視したほうが良さそう。

 

というわけで、お気づきの方もいるでしょうが、やってることは「WOOPの法則」に近いものがありまして、「確かにこれなら効くかもなー」とか思うわけです。

 

事実、7日間改善プログラムを実施したグループは、1日あたりの果物・野菜の摂取量がちゃんと増えたそうで、開始前は平均1日1.5カップだったのが、1週間後は2.2カップになり、2週間後は2.5カップまで増えたんだそうな。一方で、何もしなかった摂取量はほぼ変化なしでして、やはり事前の計画が大事なんだなぁと思わされますね。

 

ただし、この研究には大きな“注意点”もついてますんで、こちらも押さえておきましょう。そのポイントを一言で申し上げますと、

 

  • 7日間改善プログラムの効果は、ストレスレベルによって大きく左右される!

 

みたいになります。簡単に言いますと、ストレスが低い人は「7日間改善プログラム」で果物・野菜の摂取量が増えたんだけど、ストレスが高い人にはなんの改善も見られなかったらしいんですな。

 

ストレスがプログラムの効果をジャマした理由は簡単で、ストレスが高いと計画を立てても実際の行動に移せないことが増えるからであります。いくら「今日はサラダを食べるぞ!」と事前に計画してても、ストレスが高いと「でも忙しいし、気力がないからな…」みたいな状態になるわけっすね。つまり、「野菜や果物を増やすぞ!」と決めるだけで食事が改善する可能性はかなり高まるが、ストレスが高いとうまくいかないことが多いので、その場合はまずはストレスを減らすことを優先したほうが良いかも?ってことですな。まあ当たり前の話ではあるものの、難しい問題ですなぁ。

 

あらためてまとめておくと、

 

  • 事前に「いつ」「どこで」「どのように」野菜を食べるかを計画するだけで、果物・野菜の摂取量は増やせる
  • ただし、ストレスが高いと効果は限定的なので、ストレスを軽減しながら、食事の計画を立てないとなぁ

 

みたいな感じです。上記のプログラム例を参考にしつつ、ぜひストレス対策にもチャレンジしてみてくださいませー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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