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ネガティブ思考を瞬殺する『社会的リフレーミング』をもっと使っていこうじゃないか!という話

 

人生には「もうダメだ…」みたいに感じる瞬間が必ずあるもの。たとえば、ずっと取り組んでいたプロジェクトが頓挫したり、転職活動が思うように進まなかったり、大切な人との関係がうまくいかなくなったり……みたいな感じですな。

 


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そんなときに、「ポジティブに考えよう!」とか「これは学びの機会だ!」とか言われても、そんな簡単に気持ちを切り替えられたら苦労しないよ!と思っちゃうのが正直なところじゃないでしょうか。というか、私のように根が暗い人間は、無理にポジティブになろうとするほど、「そんなふうに考えられたら苦労しないよ!」と余計に落ち込んでしまったりするんですよね。

 

で、そんな時にどうすれば良いのかってことで、新たなデータ(R)は「社会的リフレーミング」ってテクニックの重要性を指摘していて面白かったです。これは 「自分では前向きに考えられないときに、他者の視点を借りて気持ちを切り替える」って方法で、ポジティブな思考が難しいときほど他者の助けが有効だよーみたいな話ですな。

 

では、「社会的リフレーミング」とは具体的にどのようなものなのか? ざっくりとした定義をチェックしてみましょうー。

 

まず前提として、私たちがストレスを感じたときに、その強さや影響は「認知的評価」というメカニズムで決まったりします。これは、簡単に言うと「その出来事をどう捉えるか?」って思考のプロセスのことで、たとえば、同じような仕事のミスをした時でも、「もう終わりだ…」と考えたら絶望に飲まれるけど、「次に活かせるかも?」と考えれば反応が変わるじゃないですか。こんな感じで、精神的なダメージの大きさってのは認知で変わるわけですな。

 

が、現実問題として、「ポジティブに考えよう!」と意識しても、なかなか難しいことのほうが多いでしょう。特にネガティブな感情にどっぷり浸かっているときほど、別の視点を持つのは至難の業で、認知を変えようと思ったところでうまくいくはずがないわけです。

 

ということで、そこで有効なのが「社会的リフレーミング」であります。 つまり、自分では気づけない視点を、他人の言葉や考え方を通じて得ようぜ!って戦略ですな。

 

でもって、今回の研究はUCLAなどの研究で、社会的リフレーミングの効果を調査するために、友人ペアを対象とした実験を実施。参加者を同性の友人ペアに分けた上で、

 

  1. Aさん(体験者)は、ストレスを引き起こす画像(例:交通事故の写真)を見せられる。
  2. Bさん(支援者)は、「被害者は無事だった」など、画像の影響を和らげるメッセージを読み上げる。
  3. Aさんのストレスレベルを測定し、翌日も変化をチェックする。

 

みたいな介入を行ったんだそうな。片方の人をネガティブな状態に追い込んだ上で、もう一方の参加者をサポーター役に回したわけっすね。

 

そこで、どのような結果が出たのかと言うと、こんな感じになります。

 

  • 友人の支援によって、Aさんのネガティブな感情は即座に減った。
  • 特に女性ペアでは、その効果が翌日まで持続していた。
  • 男性ペアでも効果はあったが、持続時間は短めだった。

 

そんなわけで、この結果を見ると 「友人の言葉でストレスを和らげることができる!」 だけでなく、 「その効果がそこそこ長続きすることもあるみたいだなー」って感じがするわけですな。少なくとも、ストレスを感じたときには 「ポジティブになろうと頑張るより、他人の視点を借りたほうが楽」 ってのは、わかりやすい結果ではないでしょうか。

 

つまり、この研究から得られた知見を実際に活かすならば、以下のような対策が考えられそうであります。

 

  1. すぐに「話せる相手」を見つけとく:信頼できる友人、パートナー、家族など、「話して気持ちが楽になる人」 をリストアップしておく。できれば 「物事を前向きに捉えられる人」 を選ぶ。

  2. ヤバくなったらその人にヘルプを求める:ネガティブな状態になったら、「ちょっと話を聞いてほしい」「ネガティブになりすぎてるから、違う視点がほしい」とお願いする。この時に、相手に「ポジティブになれ」と言われるたら困っちゃうので、あくまで「別の視点を知りたい」と伝えるのがポイント。

  3.  他人のストレスも和らげてみる:社会的リフレーミングは双方向のプロセスなので、自分が支えられたら、次は誰か落ち込んでいる友人「でも、こういう考え方もあるよねぇ?」みたいに提案してみるのもあり。

 

まあ、こういう話を聞くと、その場しのぎの小技みたいに見えるかもですが、 「言葉を交わすだけで脳のストレス反応が変わる」 ってのは先行研究でも示されていることなんで、お試しいただくとよいのではないでしょうか。特にストレスが溜まった人ってのは、つい「どうにか自分で解決しなきゃ」と思いがちなバイアスにはまりがちなんで、意識して「他人の視点を借りる!」と思い出すだけでも事態を打開できる確率が増えるんじゃないかと。どうぞよしなにー。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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