目標の達成率が2倍に高まる『WOOP』の法則「ポジティブシンキングを考えなおす その3」
ここ最近、「ポジティブシンキングを考えなおす」って本をベースにして、「ポジティブシンキングが効かない場面」と「ポジティブシンキングに効果がない理由」をご紹介してまいりました。そんなわけで、今回は「じゃあどうすればいいの?」ってお話を。
軽くおさらいしますと、「ポジティブシンキングを考えなおす」は、20年にわたってポジティブシンキングを調べてきたガブリエル・エッティンゲン博士の集大成。よくある自己啓発本のポジティブシンキングには効果がないことを実証したうえで、最終的な代替案を示しております。
目標の達成率が2倍も違う「WOOP」の法則
で、その代替案が「WOOP」。正しくポジティブシンキングを使って、目標の達成率を確実に高めるためのテクニックをまとめた方法で、具体的には、
- 願望(Wish)
- 成果(Outcome)
- 障害(Obstacle)
- 計画(Plan)
の4ステップで構成されております。その効果については、かなりの実証研究がたまってまして、たとえばエクササイズの習慣をつけるために4カ月ほどWOOPを使ってみたデータがこちら。
普通にポジティブシンキングを使ったグループよりも、約2倍の成果を出しております。
さらに、2年にわたる長期研究も行われてまして。
こちらは健康的な食習慣を身につけられるかを調べた実験なんですが、やはりWOOPの圧勝でした。これだけしっかりした実証データがあるのは素晴らしいですねぇ。
WOOPをやってみよう!
では、WOOPの具体的な進め方を見ていきましょう。
1・セッティング
WOOPはイメージトレーニングの一種なんで、完全にジャマの入らない環境を作り、瞑想するように目を閉じて進めるのがベスト。ただし、体を動かしたほうが集中できる人はノートに書きながら行ってもOKであります。時間は1回につき15〜20分が目安。
2・願望(Wish)
仕事やプライベートに関して、自分が抱く希望や不安を詳細にイメージします。このとき重要なのは、「達成は難しいけど、がんばれば何とかなりそうだな〜」ぐらいの難易度設定にしておくこと。「1年で億万長者」とか「ベストセラー作家に」なんて願望を抱くと、ポジティブシンキングの罠にハマっちゃいますんでご注意ください。また、達成したい願望がいくつもある場合は、自分にとって最も重要なものだけに絞りましょう。
3・成果(Outcome)
続いて、上で考えた願望や不安に関する「ベストの成果」を思い描きます。例えば、
- 願望:毎日エクササイズをする
- 成果:健康で最高の気分になる
- 不安:借金を返す
- 成果:完済!
みたいな感じ。このとき、できるだけ具体的にエクササイズの内容を頭に浮かべ、実際にどんな気分になっているかまでをイメージしていくのがポイントになります。
4・障害(Obstacle)
今度は、上でイメージした成果を達成するにあたって、障害になるものをできるだけ詳細に思い描いていきます。具体的な考え方としては、
- どんな考え方が目標の達成をさまたげているのか?
- どんな行動が目標の達成をさまたげているのか?
- どんな癖や習慣が目標の達成をさまたげているのか?
- どんな思い込みが目標の達成をさまたげているのか?
- どんな感情が目標の達成をさまたげているのか?
みたいな感じ。というと、「金がない」や「親が反対してる」など、環境や外的な問題をあげる人も多そうですが、これはNGであります。そもそも、「願望(Wish)」のステップで「がんばれば何とかなりそうな〜」ってレベルの目標を選んでいるので、主な障害は自分の問題でしかありえないはずなんですね。
5・計画(Plan)
以上をふまえたうえで、最後に計画を立てます。ここで使えるのが、当ブログではおなじみの「if-thenプランニング」。「もしXが起きたらYをやる」といった形式で、前もって計画を立てておくテクニックですね。上で考えた障害を克服する方法を考え、具体的な対策を「if-thenプランニング」の形に落としこんでいきましょう。具体的には、
- ブラウザを起動したら、仕事に関するサイトにつなぐ
- 帰宅したら、すぐ筋トレを始める
- 筋トレをする気力がわかなかったら、筋トレがダイエットに役立つことを思い出す
みたいな感じ。この作業を起床後や寝る前に実践して、習慣づけていけばOKであります。
WOOPの実践例
「ポジティブシンキングを考えなおす」には、実際にWOOPで習慣づけに成功した人の例も多く出てまして、具体的にはこんな感じ。
もちろん、いずれのステップでも、自分の願望や障害を可能なかぎり詳細にイメージしたうえで、上のような短い文章に落としこむのがポイントであります。非常にシンプルですが、これだけで目標の達成率が倍も変わってくるんだったら試してみない手はないかなーといったところ。実証データが多い目標達成テクニックの1つとして、大いに推奨したく存じます。