揚げ物は体に良いのか悪いのか?
揚げ物に関するご質問をいただきました。要点を抜粋しますと、
揚げ物というとどうも体に悪い、太るというイメージがありますが、実際どうなのでしょうか?というのも、今私はブルガリア人の家でハウスシェアしているんですが、そこのオーナー家族がよく揚げ物をします。しかもかなり長時間揚げているようです。使っているのはオリーブオイルなのですが、さすがに体に悪いのではないのか?とたまに思ってしまいます。
とのこと。確かに、揚げ物は体に良くないイメージがありますねー。
揚げ物に関する3つの問題
揚げ物に関しては、パレオダイエットの世界でも意見がわかれるところで、「原始人は高温調理はしていないからダメ!」って主張がある一方で、普通に揚げ物のレシピを紹介しているパレオ系サイトもあったり。ただ、個人的には、揚げ物に関しては以下の3つの問題があるかと思います。
- 揚げ物に使われる油のオメガ6
- 唐揚げや天ぷらの衣に使われる小麦
- 高温の調理で生まれるAGEs
1番の油の問題については、当ブログでもちょくちょく書いているところ。多くの揚げ物に使われるベジタブルオイルにはオメガ6が多いため、「いくら食べても食欲がおさまらないのはなぜ?」でも取り上げたとおり、食べれば食べるほど体内の炎症が増えて老化が進んじゃう。
ただし、このご質問では、オリーブオイルを使ってらっしゃるようなんで、オメガ6の問題は心配しなくても良さそう。ほかにも揚げ物に使って問題のない油としては、
- ラード
- ギー
- バター
- 牛脂
- ココナッツオイル
といったあたりです。
2番めの衣に関しては、小麦にふくまれるグルテンが気になるところ。グルテンは消化器系に悪さをしがちなんで、やはり老化を進めてしまう可能性があるんですね。
もっとも、唐揚げや天ぷらの衣に使われる程度の量であれば、リーキーガットやアレルギー体質の人以外は、そこまで気にしなくてもいいかも。不安な人は、ポテトスターチやアーモンドパウダーで代用してみるのもアリでしょう。
週に1回以上の揚げ物はヤバいかも
で、現時点でもっとも恐ろしげなのが、3番めのAGEsの問題です。AGEsは終末糖化産物の略でして、高温で焼いたり、揚げ物をすると作り出される成分。強い毒性を持ってまして、老化や糖尿病を引き起こすと言われております。
なかでも肉を焼くと大量のAGEsが発生するもんで、近ごろのアンチエンジング業界では、唐揚げやトンカツを食べない人も多いとか。実際、わたしも近ごろは低温調理がメインでして、めっきり揚げ物はしなくなっちゃいました。
ただし、AGEsの毒性についてはまだデータ量が少なめなんで、「どれだけ揚げ物を食べたらマズいの?」って基準はハッキリしていないんですが、そこで参考になりそうなのが2013年の論文(1)であります。
これは、スタンフォード大が3,000人以上の男性の病歴を調べた研究で、 週に1回以上のペースで揚げ物を食べている人は、ガッツリと前立腺がんのリスクが上がったそうな。揚げ物と発ガン性の関連は以前から言われていたんですが、ハッキリと疫学データでも示された形ですね。
そんなわけで、大ざっぱな揚げ物のガイドラインを作るとすれば、
といった感じ。もちろん、これは確定して話じゃないんで、過度に怖がる必要もないわけですが、少なくとも毎日のように揚げ物を食べるのは体に良くなさそうだなーとは思います。
credit: wEnDaLicious via FindCC