筋肉がつくと、どれだけ痩せやすい体になるのか?
「筋肉はカロリーの燃焼率が高いので痩せやすい体になる!」なんて話をよく聞きます。この件に関して、「実際のところはどうなの?」ってご質問をいただきましたんで、考えてみたいと思います。
筋肉の消費カロリーはショボいが…
そんなわけで、まずは人体の代表的なパーツの消費カロリーを見てみましょう(1)。
器官・組織 | 消費カロリー量(1kgあたり) |
脂肪 | 4kcal |
筋肉 | 13kcal |
肝臓 | 180kcal |
脳 | 220kcal |
心臓 | 400kcal |
腎臓 | 200 kcal |
といった感じになってまして、筋肉の数字はかなり低めであります。めっちゃ頑張って2キロの筋肉をつけても、1日にガリガリくん一個分のカロリーも消費しない計算ですね(笑)
これだけ見ると、一気にやる気がなくなっちゃうんですが、まだ希望はございます。多くの研究では、筋肉が1キロ増えるごとに100〜200Kcalも消費カロリーがアップするってデータが出てるんですね。
たとえば1997年の論文(2)。26人の男性に18週間の筋トレをしたもらった実験で、最後には平均で1.4キロの筋肉がついたんですが、1日の消費カロリーは263Kcalも上がってたんだそうな。もちろん、筋肉量や消費カロリーの測定は非常に難しい作業なんで、正確な数値を出すのは難しいんですが、他にも「筋トレで代謝が上がった!」って論文(3)は多いので、筋肉が消費カロリーを増やすのは間違いなさそう。
なぜ筋肉がつくと消費カロリーが増えるのか?
その原因としては、「成長ホルモンのおかげ」や「運動時の消費カロリーが上がる」といった説がありますけども、もっとも信頼できそうなのが、テキサス大のロバート・ウォルフ博士がとなえる説(4)。彼は、筋肉がつくと、筋トレ後の消費カロリー量がアップするんだ!と主張しております。
具体的には、
- 筋トレが終わると、人間の体は元の状態にもどろうとする
- 筋肉のダメージの修復にはタンパク質の代謝が必要
- タンパク質の代謝には大きなカロリーを使う
- 筋肉が増えるほど消費カロリーが増える!
って仕組みです。筋肉そのものの消費カロリーは少ないものの、筋肉の回復に使われる消費カロリーがアップするわけですね。実際、筋トレの後はカロリーが燃え続けるってデータもありまして、タンパク質の代謝が消費カロリーの増加に役立ってる可能性は高そう。
まとめ
ここまでの話をまとめると
- 筋肉の消費カロリーは少ない
- しかし筋肉はトレーニング後の消費カロリーを増やす
- 運動後に筋肉が使うカロリーは、ざっくり1キロあたり150Kcalぐらい
って感じ。やっぱし筋肉はスリムな体型を保つ役に立ってくれそうであります。まぁ、筋肉をつけようとすると、どうしても脂肪も増えやすくなるんで、そのへんのバランスが難しいとこではあるんですが…。
credit: F.J. Sepúlveda via FindCC