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「ブロッコリー最強説」がまた実証されてしまった話

 
 

現状の食材のなかで最もスーパーフードに近いものは何かと問われれば、個人的にはブロッコリーを推奨したいところです。そのメリットについては過去に何度も取り上げてまして、

 

 

みたいな話を書いてまいりました。ブロッコリーに限らず、カリフラワーやケールなどのアブラナ科の野菜は、ベリー類や緑茶などと比べても、良い効果を確認したデータがめっちゃ多いんですよね。

 

で、新たに出た研究(R)も「アブラナ科野菜こそ至高説」を補強するもので、227本の観察研究をまとめたメタ分析になってます。577万人超という超大規模なデータセットを使ったもので、「アブラナ科野菜でがんの発症リスクはどれぐらい減るか?」って問題を深掘りしてくれております。

 

では、さっそく詳しい内容を見ていきましょうー。

 

 

アブラナ科野菜はがんのリスクを減らすのか?

このメタ分析は、16種類のがんリスクとアブラナ科野菜の摂取量の関係を調べたもの。観察研究のまとめではありますが、上述どおりデータ数は巨大でして、それなりに信頼できる結果を出してくれてるんじゃないでしょうか。

 

分析の細かいところは置いておいて、まずは結果から見てみましょう。

 

  • アブラナ科野菜を多く食べる人ほど、がんのリスクが低くなった
  • 特に、肺がん(-5%)、膀胱がん(-13%)、胃がん(-20%)、上部消化管がん(-15%)などでリスクが大きく低下した
  • 「週に4〜7回食べる」グループが、最もがんリスク低下の恩恵を受けていた
  • 理由はよくわからんが、アジア圏では「肺がんと食道がん」、アメリカでは「大腸がんと腎がん」で特に予防の効果が顕著だった

 

ということで、割と無視できないレベルで癌リスクが下がってまして、あらためてアブラナ科野菜のすばらしさが浮き彫りになっております。こんだけ複数のがんリスクを低減できる可能性があるなら、とにかく食べといたほうが良いですわな。

 

ちなみに、アジア圏では肺がんと食道がんのリスクが低下していたのに対し、アメリカでは大腸がんと腎がんでより強い予防効果が見られてますが、この違いは、おそらく食文化や調理方法の違いによるものなんでしょうな。アジアではアブラナ科野菜を生や軽く炒めて食べることが多いのに対して、欧米では茹でる、煮るといった調理方法が主流なので、有効成分の残り方に違いがあるんでしょう。

 

 

 

アブラナ科野菜が「がん予防」に効く理由

では、なぜアブラナ科野菜ががんリスクを減らすのか? ってことですが、ここで大事なのが、グルコシノレートと呼ばれる成分であります。これは、ブロッコリーやキャベツに多く含まれている化合物で、体内でスルフォラファンやインドール-3-カルビノールといった活性物質に変換されるんですが、こいつがなかなかの効果を持ってまして、

 

  • 1. DNAの損傷を防ぐ(抗酸化作用):がんの原因の一つは、DNAが損傷して異常な細胞が増殖することだが、スルフォラファンやインドール-3-カルビノールは抗酸化作用が強いので、DNAのダメージを抑える働きがある。

  • 2. 発がん物質の解毒を促進する(解毒酵素の活性化):アブラナ科野菜は、解毒酵素の活性を高めることも分かってまして、特に膀胱がんのリスクを下げるのに役立つ。というのも、スルフォラファンなどの成分は、体内で代謝された後に尿として排出されるため、膀胱に直接作用しやすいんですな。

  • 3. がん細胞の増殖を抑制する:スルフォラファンはアポトーシス(細胞の自然死)を促す作用があり、異常細胞の増殖を抑える働きもあったりする。

  • 4. 慢性炎症を抑える:慢性的な炎症はがんのリスクを高める要因の一つ。アブラナ科野菜に含まれる成分には、炎症を抑える作用があるため、これが長期的ながん予防につながる可能性がある。

 

 

 

アブラナ科の野菜どれくらい食べればいいのか?

最後に、今回のデータをもとに、がん予防に役立ちそうなアブラナ科野菜の食べ方をチェックしときましょう。具体的な目安としては、こんな感じになります。

 

  • 1日100g(ブロッコリー1/2房 または カリフラワー1/3個ぐらい)のアブラナ科野菜を食べる

  • 週に4〜7回のペースでアブラナ科野菜を食べる

  • おすすめの食材
    • ブロッコリー(スルフォラファンが豊富)
    • ケール(フラボノイドも豊富)
    • キャベツ(食べやすくてコスパ◎)
    • カリフラワー(クセが少なく調理しやすい)

 

  • おすすめの調理法
    • 生 or 軽く蒸す(活性成分を最大限残せる)
    • 電子レンジ加熱(栄養が流れにくい)
    • 炒める場合は短時間で

 

ということで、1日にブロッコリーやケール、キャベツ100gぐらいなら、手軽に達成しやすいラインじゃないでしょうか。最後に今回のメタ分析をまとめておくと、

 

  • アブラナ科野菜の摂取は、がんリスクを下げる可能性が高い

  • 特に肺がん、膀胱がん、胃がん、上部消化管がんなどで有意なリスク低下が確認された

  • 「週に4〜7回(1日100g)」の摂取がベスト

 

みたいになります。もちろん、今回のデータは観察研究がベースなので、「アブラナ科野菜を食べればがんを予防できる」って話ではありません。しかし、「食べないよりは食べたほうが圧倒的に良い」のは間違いなさそうなんで、アブラナ科野菜生活を始めてみてはどうかと思うわけです。ではまた!


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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