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都会VS田舎:どちらが本当に幸せか?を大規模なデータで検証した調査の話


「都会に住むのは幸せか?」って問題がずっとありますな。パレオダイエッターとしては、「都会のよさも定期的に享受しつつ定期的に大自然に触れる!」みたいな答えを出したくなるわけですが、ここらへんは個人の価値観も大きくからむところでしょう。

 

都市には仕事の機会も多いしレストランやエンタメ施設も充実してるから、「人生が楽しくなりそう!」と感じる人がいる一方で、「都会は人が多くてストレスが溜まるし、家賃も高いし、むしろ不幸になりそう…」と思う人も大量におりましょう。

 

この問題については、実は昔から調査が進められていて、「都市幸福度のパラドックス」と呼ばれる現象が何度か報告されてたりします。これは、大都市に住む人は田舎や小都市に住む人よりも幸福度が低いかもよーって説でして、わりとこの見解を支持するデータも少なくないんですよね。

 

で、最新の研究(R)も「都市と田舎はどちらが幸せか?」ってところを調べてまして、おもしろうございました。ここで調査されたポイントってのは、

 

  • 都市の方が本当に不幸なのか?

  • それが事実なら、なぜ都市に住むと幸福度が下がるのか?

  • そして、都市のデメリットを打ち消す方法はあるのか?

 

って感じになってまして、「都市は幸福なのか?」問題を掘り下げてくれてるんですな。

 

ヨーロッパおよびイギリスの76万人以上のデータを分析した大規模なデータをあつかっていて、こいつは個人の主観的な幸福度に関するデータを収集してるんですな。その上で、参加者が都市に住んでいるか地方に住んでいるかを考慮しつつ、どちらが幸福に暮らせるのかをチェックしたんですよ。

 

その結果、この研究では、都市幸福度のパラドックスについて、こんな結論を出してます。

 

  • 都市は貧富の差が広がりやすいので、特に貧しい層の幸福度が低下しやすい
  • ただし、都市は「仕事を変えやすい」&「教育のチャンスが多い」って要素が、格差の悪影響をそこそこ相殺している。

 

要するに、確かに都市は幸福度を下げる方向に働きやすいんだけど、それは「経済的に不安定な層」に顕著で、高所得層はむしろ都市のメリットを享受できるかもしれないぞってことですな。うーん、世知辛い。

 

もうちょい細かく説明しておくと、都市幸福度のパラドックスは主に2つの要因によって説明できるとされております。

 

  1. 金を持ってるか持ってないかの影響:都市には「成功したエリート層」 と 「低所得層」 の両方が集まる特徴がある。高所得層はビジネスエリートや専門職、クリエイターなど、高給を狙う人々で、低所得層は不安定な仕事に従事するギグワーカー、低賃金労働者、移民などを意味する。

    EU圏のデータによると、2021年時点で都市部の失業率は7.8%であるのに対し、農村部では5.8%となっており、都市の方が圧倒的に高いことが分かっている。これは「都市には高給の仕事も多いが、同時に貧困層も多い」ということを意味しており、結果的に、都市では生活の安定度が低い人が多くなってしまい、「都市の幸福度が低い」という結果が出やすくなる。



  2. 都市化による「コストとメリットのバランス」の問題:都市には多くのメリットがあるんだけど、同時に「都市に住むコスト」が幸福度を下げる原因にもなっている。たとえば、都市は仕事の機会が多いが、通勤時間が長くてストレスフル。多様なサービスを利用できるが、生活コストが高い(家賃・物価)。教育や文化施設が充実しているが、騒音や犯罪のリスクも高い。

    たとえば、「都市は高収入の仕事が多い」と言われますが、実際には生活コストが高いため、収入が増えても貯金ができないケースがめっちゃある。また、満員電車や長時間通勤のストレス、住宅環境の悪化なども、都市の幸福度を下げる要因となり、特、低所得者ほど「都市のデメリット」に直面しやすく、幸福度が低くなる傾向があることが、研究によって示されている。

 

つまり、「都市で特に不幸になりやすい人」の特徴をざっくり説明しておくと、

 

  • 失業者 → 仕事がないと、都市の生活コストが重くのしかかる

  • 持ち家がない人 → 家賃の高騰や引っ越しのストレスを受けやすい

  • 生活費の支払いが厳しい人 → 生活費のプレッシャーが都市の幸福度を下げる

 

みたいになるでしょうな。たとえば、都市に住む失業者は、農村部に住む失業者よりも明らかに不幸度が高いってデータが出てまして、これは「都市の生活コストが高いからこそ、経済的に困窮すると一気に苦しくなる」ってのが大きいわけっすね。そりゃそうっすよねぇ。

 

一方で、都市には「社会的な上昇のチャンス」が多くあるって考え方も指摘されてまして、都市の強みとしては以下のような点も挙げられております。

 

  • 労働市場が流動的 → 新しい仕事を見つけやすい

  • 教育・スキルアップの機会が豊富 → 自己投資のチャンスが多い

  • ネットワーク効果 → 人脈が広がり、ビジネスチャンスが増える

 

全体としては、都市では「学歴やスキルがある人ほど成功しやすい」傾向があるので、「都市の幸福度は本人の社会経済的な状況によって大きく変わる」ってことになるんでしょうな。

 

つまり、この分析をもとに「都市に住みながら幸福度を上げる方法」を考えてみますと、

 

  • 住むエリアを慎重に選ぶ → 通勤時間の短縮、生活コストの最適化
  • 都市の利点を活かす → 教育機関・文化施設を活用し、成長の機会を増やす
  • 経済的な安定を確保する → 貯蓄や副収入の確保でリスクを減らす

 

みたいになるんでしょうな。この中だと、特に「住む場所の選択」は影響力が大きい感じでして、「通勤時間が短いほど幸福度が上がる!」ってあたりは他の研究でも確認されているポイントっすね。まずはここから手をつけるのが幸福度アップへの貢献度が高そうであります。

 

まぁこの研究は、都市の「大気の質」「緑地の多さ」などは考慮してないので、パレオダイエッターとしてはそこが気になるとこですけど、「都市に住むなら経済の安定が最優先だ!」って知見は参考になりますな。そこらへんのバランスを考えて「ならば自分は田舎に住む!」って選択をするのもアリでしょうしね。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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