1セットだけの筋トレでで筋肉は成長するから気楽に行こうぜーという話
「筋トレは1種目につき3~5セットが常識!」と思っている人は多いはず。実際、フィットネス業界では「1セットじゃ足りない!」「最低でも3セットはやらないと意味がない!」って主張のほうが優勢だったりするわけです。まあ私も過去に何度か書いてきたとおり、筋肉を育てるために最も重要なのは“ボリューム”なので、そりゃあ1セットじゃ足りないだろうなあ、とか思うわけです?
が、最新の研究(R)によると 「1セットだけでも筋肉は成長するよー」って結果が出ていて良い感じでした。これは忙しい人や、モチベーションがなかなか続かない人には朗報かもしれませんな。
これはリーマン・カレッジなどの先生が行った研究で、 5年以上のトレーニング経験を持つ42名の筋トレ好きを集めて、以下のような実験を行ってます。
- みんなに週2回のトレーニングをやってもらう(1回につき9種目を実施)
- 1種目あたりのセット数は1セットのみ(合計9セット/回)
- 全体を2つのグループに分けて、「限界まで追い込むグループ(もう1回もできない状態までセットを続ける)」と「『あと2回できる!』と感じた時点でセットを終えるグループ」では、どのような違いが出るのかをチェックする。
つまり、「3~5セットが当たり前」という従来のトレーニング法とは相反する超少量のトレーニングで、筋肥大がどれぐらい起きるのかを検証したわけです。
で、8週間後の結果はこんな感じになりました。
- みんな筋肉の厚みが2~10%増加した(大腿四頭筋(もも)、上腕二頭筋(力こぶ)、上腕三頭筋(腕の裏側))
- 特に「限界まで追い込んだグループ」の方は成長率が高かった
ってことで、たった1セットの筋トレでも筋肉は余裕で成長し、しかも 「限界まで追い込む」ことで、より大きな成長が得られるって結果ですな。1セットでもちゃんと変化を得られるなら、仕事で疲れ切った後でも「1セットぐらいはやっとくか……」ってモチベーションが上がって良いのではないでしょうか。1セットでもやれば「今日はトレーニングをしなかった……」って罪悪感も減るでしょうし。
ちなみに、「限界まで追い込んだ方が成長率が高い」結果は 過去のメタ分析(R)の知見とも一致していまして、この調査では、「全てを同じ条件にそろえた場合は、セットを限界まで追い込んだほうが筋肥大する」ことが示されてるんですよね。
つまり、今回の話をまとめると、
- セット数が少なくても、限界まで追い込めば筋肉は成長する
- 「あと2回できる」ぐらいで終えると、筋肥大の効果はやや落ちる
みたいな感じすね。まぁ「追い込まない1セット」でもそれなりに筋肉は育つようですが、もっと余裕があるなら「しっかり追い込んだ1セット」を試してみるのが良さそうっすね。
さらに余談ですが、また別のメタ分析(R)では、トレーニングの「最小限のボリューム(セット数)」と筋肥大の関係を分析していて、こんな報告を出してくれてます。
- 週30セット以上 → 最大限の筋肥大が狙えるが、これは「ガチ勢向け」
- 週4セット → 目に見える筋肥大が狙える(一般人には十分なレベル)
- 週2~3セット → 筋肉の維持が可能
つまり、「とりあえず筋肉を維持したい」なら週2~3セットでもOKだし、週4セットぐらいの軽いトレーニングでも筋肥大は起こせる感じっすね。それより上のレベルなら週30を目指すという、なかなか恐ろしい領域に入っていきますが。
そんなわけで、今回の結果を参考にトレーニングを組み立ててみたい人は、考えると、「1セット戦略」が特に向いているのは、以下のような人たちでしょう。
- 時間がない人:とにかく1セットを週2のペースで良い!と考えれば超ラクなはず
- モチベーションが低い人:「長時間の筋トレはツラい…」という人にもよさげ
- 健康目的で筋トレをする人:「ガチで筋肥大しなくてもいい。でも筋肉を維持したい」人にも有用でしょう
でもって、自分でもこの「1セット戦略」を取り入れてみたい方のために、実験で使われた筋トレメニューを以下に並べておきますんで参考にしてください。トレーニング対象のすべての筋群をカバーする全身トレーニングの構成になっていて、なかなかよろしいメニューっすね。
- フロント・ラットプルダウン
- シーテッド・ケーブルロー
- マシン・ショルダープレス
- マシン・チェストプレス
- ケーブル・トライセプス・プッシュダウン
- スピネーテッド(手のひら上向き)ダンベル・バイセップスカール
- スミスマシン・スクワット
- プレートロード・レッグプレス
- マシン・レッグエクステンション
これぐらいなら、忙しい時期やモチベーションが下がったときでも「とりあえず1セットだけやろう!」という気持ちになれそうっすな。「1セットだけでも効果がある」という事実を知っておくだけで、トレーニングに対するハードルがグッと下がるんで、ぜひ試しあれー。