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「幸せは変えられる」と思うだけで人生が変わる理由を調べた研究の話

   

 

幸せは生まれつき決まっているのか、それとも後から変えられるのか?」ってのを調べた研究(R)が出ておりました。「どうせ自分は幸せになれないタイプなんだよな…」みたいな思い込みが、そのまま現実になってしまう可能性があるみたいな話でして、つい悲観的に物事を考えてしまうクセがあるような人には役に立つ内容になってるんじゃないでしょうか。

 

これはソウル大学による研究で、「エッセンシャリスト的幸福観(EBH)は、私たちの幸福にどのような影響があるのか?」ってところを調べたものです。なんだか難しい言葉ですが、EBHってのは「幸せは遺伝でほぼ決まる!」「人の幸福度は一生あまり変わらない!」「幸福になろうと努力しても限界がある!」みたいな考え方のことで、こんな感じで「幸福は固定されている」という信念を持つ人を“エッセンシャリスト”と呼んでるわけですね。

 

逆に、「幸せは努力や考え方で変えられる!」「環境や経験で幸福度は上下する!」みたいに考える人は“非エッセンシャリスト”でして、このような「幸福に対する考え方」が、私たちの現実の幸福にどう影響するのかをチェックしたわけですね。マインドセットの話に近い研究ですな。

 

で、この研究は7,364人を対象にしたもので、だいたい以下のような実験を行ってます。

 

  1. 参加者の「幸福観」を測定する。ここでは使われたのが「エッセンシャリスト的幸福観(EBH)」という指標で、要するに「幸せは固定か?変えられるか?」という信念を数値化したもので、具体的には「幸福は遺伝で決まると思うか」「努力で変えられると思うか」「一生の幸福度はほぼ一定だと思うか」といった質問に答えてもらい、スコアの高低で“固定派”と“変化派”に分類する。

  2. 次に、出来事への反応テストを実施。参加者には、「昇進」や「目標達成」のようなポジティブな出来事か、「失敗」や「トラブル」といったネガティブな出来事を想像させ、「そのとき自分の幸福度がどう変わるか」を答えるように指示している。さらに、ここではCOVID-19のパンデミックや、大統領選挙といった実際の社会イベントに対する幸福度の変化も追跡し、「想像上」と「現実」の両方で、EBHが幸福感にあたえる影響を検証した。

 

ということで、「幸福は固定か?変えられるのか?」という信念が、実際の出来事に対する感情の動きにどう影響するのかを多角的に検証したわけっすね。

 

その結果を分析すると、意外とはっきりしたパターンが見えてきまして、だいたい以下のような感じになります。

 

  • 幸福を「固定されたもの」と考える人(EBHが高い人)は、良いことがあっても悪いことがあっても、幸福度の変化が小さい傾向があった。それと同時に、ネガティブな出来事に対しては落ち込みにくく、メンタルが安定しているように見えるケースが多かった。

 

  • 「メンタルが安定」というと良いことのようだが、データによると、EBHが高い人はそもそもの幸福度が低い傾向があった。つまり、EBHが高い人は「安定しているけど幸福感は低空飛行」という状態にあるのだと考えられる。

 

  • その一方で、「幸せは変えられる」と考える人(EBHが低い人)は、出来事によって感情が大きく動くものの、トータルでは幸福度が高い傾向が見られた。

 

ということで、EBHと幸福の話をまとめると、「『幸福は固定されている!』派は幸福が変化しない代わりに伸びない、『幸福は変えられる!』派は幸福が揺れるけど上がる余地がある」といったところでしょうか。

 

まぁ「全体の幸福感が低くても、落ち込みづらいならいいか」って考え方もあるでしょうが、ここで問題になりやすいのは、『幸福は固定されている!』って考え方が“自己成就予言”として働く可能性があるとこです。「どうせ変わらない」と思えば行動も減り、結果として本当に状況が変わらなくなっちゃいますからね。簡単に言うと、

 

  1. 「幸せは変えられない」と考える
  2. → だから行動しない
  3. → なので、変化も起きない
  4. → やっぱり幸せになれない

 

というループにハマりやすいってことです。これは心理学ではかなり古典的な現象ですが、幸福に関してもガッツリ当てはまるんでしょう。一方で、当然ながら「幸福感は変えられる」と思えば試行錯誤が増えて、結果的に幸福度も上がりやすくなるでしょうからね。言い換えれば、『幸福は固定されている!』って考え方をする人は、人生が停滞しやすいってことになるでしょうな。

 

では、『幸福は固定されている!』派はどうすりゃいいのかって話ですが、この研究をもとに対策を考えてみると、だいたい以下のポイントを守るのがいいんじゃないでしょうか。

 

  1. 自分の“幸福観”をチェックする:まずは、自分の幸福スタイルがどっち寄りかをチェックしましょう。たとえば、「私は『幸せは遺伝で決まると思うか?』『努力で幸福度は上がると思うか?』って答えを考えるだけでもOKです。

  2. 思い込みの出どころを探る:これも重要で、家庭環境(ネガティブな親など)、過去の失敗体験、周囲の価値観などの要因が、「どうせ無理」という信念を作っているケースが多いんで、自分の考えがどこから来たのかを一度棚卸ししてみるといいでしょう。


  3. 小さく“変えられる体験”を積む:たとえ自分が『幸せは遺伝で決まると思うか?』と思っていても、いきなり人生を変えようとするのは大変なので、5分だけ散歩してみる、新しい店に入ってみる、誰かに軽く話しかけるみたいな“小さな行動”を積むのが基本。とりあえず、小さな要因を積み上げると、自然と幸福観が変わっていくことがわかってますんで。

 

そんなわけで、今回の話をまとめると、

 

  • 「幸せは決まっている」という考えは、その信念によって不幸が固定化されることが多いので危険

  • 一方で「幸せは変えられる」と考えるだけで行動と結果が変わる

 

という感じですね。ぶっちゃけ、「幸せ」については遺伝で決まるとこもそれなりにあるんですが、それ以上に「どう考えるか」というメンタルモデルも大事なんで、「自分は幸せになれないタイプかも……」と思っているなら、その考え自体をちょっと疑ってみるのも一興でありましょう。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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