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クレアチンとビートジュース、どっちが効く?→「比較する時点で間違いです」という話

 

運動のパフォーマンスアップに役立つサプリとして、このブログでよく名前が挙がるものと言えばクレアチンビートルートジュースの2つ。どちらも筋トレや有酸素運動の効果を高めてくれるサプリとして知られております。

 

そんな中、新しい研究(R)が出てまして、「クレアチン vs ビートルートジュース!どっちが効く?」という珍しい直接対決をやってくれてましたんで、今回はこれをベースに「運動のサプリはどう使うべきか?」みたいなとこまで考えてみましょう。

 

この研究は、「クレアチン」「ビートルートジュース(硝酸塩)」「プラセボ」の3つを比べるために、ランダム化二重盲検クロスオーバー法という、信頼性の高いデザインを採用しているのが特徴。参加者は平均21歳前後の健康な男性11名で、筋トレの初心者だけを選んだんだそうな。それぞれの参加者は、3つの条件をすべて体験する仕組みになってまして、

 

  1. クレアチン条件で4日間のサプリ摂取+トレーニング実施→
  2. 7日間のウォッシュアウト期間(影響をリセットする期間)→
  3. ビートルートジュース条件で4日間のサプリ摂取+トレーニング実施→
  4. 再び7日間のウォッシュアウト期間→
  5. プラセボ条件で4日間のサプリ摂取+トレーニング実施

 

みたいになってます。それぞれのサプリメントを飲む期間は4日間で、初日にトレーニング前に摂取し、その後2日間は分割して摂取、4日目に再びトレーニングを実施する……みたいな流れっすね。つまり、約72時間ほどの短期間で、サプリがどれぐらいの効果があるかを評価したわけですね。

 

筋トレの内容はベンチプレスとスクワットで、1RMの60・70・80%で限界まで反復するという実践的なプロトコルを採用。測定項目も多岐にわたってまして、反復回数やバー速度、パワーに加え、筋酸素飽和度、心拍数、HRV(心拍変動)、血中乳酸など、いろいろなとこをチェックしてていいですね。さらに、サプリは味・色・カロリーをそろえてブラインド化されており、参加者に自分がどの条件か分からないようにコントロールされております。

 

その結果、どんなことがわかったかと言いますと、

 

  • クレアチンもビートルートも、どちらもパフォーマンスは向上する(約72時間で効果あり)

  • ただし、効き方はまったく違っており、具体的には以下のような感じだった。

    • クレアチン=高重量での反復回数がアップした(つまり、筋持久力がアップしてる)。特に上半身・高強度で強い効果が見られた。
    • ビートジュース=バーのスピード向上、筋肉の酸素供給アップ。、心拍数の低下などが見られた(つまり、疲れにくくなった)

 

みたいな感じです。つまり、クレアチンとビートジュースは 「どちらが上か?」ではなくて、パフォーマンスアップの役割が違うんだってことになりましょう。

 

まぁ、この結果は当たり前といえば当たり前で、そもそも両者は人体に効く仕組みが全然違うんですよね。ざっくり確認しておきますと、

 

  • クレアチンの仕組み:ATP(エネルギー)を素早く供給するので、高強度運動を長く続けられる
  • 硝酸塩(ビートジュース)の仕組み:一酸化窒素(NO)を増やしてくれるので、 血流と酸素の供給量が上がり、そのおかげで筋収縮の効率が改善する

 

みたいになります。こうして見ると、両者はだいぶ違うメカニズムで効いてるんですね。

 

で、ここで大事なのが、「働き方のメカニズムが違うサプリは併用して問題ない」というサプリ選びの大原則であります。サプリを使う時に多くの人がやりがちなのは、サプリを効果が大きい順に並べて、その上位だけ使うって考え方でしょう。誰しも「効果が高い=正義」みたいに考えがちですから、これはいかにも合理的な気がするわけです。

 

ただし、この考え方には落とし穴がありまして、それというのも同じ仕組みのサプリは一緒に使っても意味が薄いからです。今回の研究の例で言うならば、

 

  • クレアチンのように、ATPを増やす系のサプリを2つ飲んでも 効果が頭打ちになりやすい(βアラニンとかHMBとか)。
  • ビートジュースのように、一酸化窒素を増やす系サプリを2つ飲んでも 効果が頭打ちになりやすい(シトルリンとかアルギニンとか)。

 

みたいな感じっすね。かように同じ系統の刺激を重ねたところで、ただの非効率で終わってしまうわけです。

 

が、その一方で、違うメカニズムのサプリなら相乗効果を狙うことができまして、この研究をベースにすると、以下の構成で使うのが現実的でしょう。

 

  • 朝〜昼トレの場合
    • クレアチン:5g/日
    • カフェイン:3〜6mg/kg
    • シトルリンマレート:6〜8g
    • 食事で硝酸塩(野菜)を補給。400〜800mgぐらい

 

  • 夜トレの場合
    • クレアチン
    • シトルリン
    • 硝酸塩(野菜から摂取)
    • ※カフェインは睡眠の邪魔になるのでカット

 

このような組み合わせでサプリを使ってみると、作用のメカニズムをバッティングさせずに効果を得ることができるんじゃないでしょうか。ちなみに、ここではビートジュースを取り上げてませんが、これは個人的に「ビートジュースのサプリは高いから、食事で代替したほうがいいんじゃない?」と思ってるからです。たとえば、ほうれん草、ルッコラ、セロリ、ビーツなどを食べれば、普通に必要量は取れますからね。

 

ということで、あらためて今回のポイントをまとめると、こんな感じになります。

 

  • クレアチンもビートジュースも両方ちゃんと効くが、作用のメカニズムが違う
  • なので、メカニズムが違うサプリを併用すると意味がある

 

って感じです。個人的にもクレアチンは長年使ってますが、硝酸塩系は葉物野菜で補ってる感じっすね。どうぞ、今後のトレーニングの参考にしてくださいませ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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