「やる気が出ない!」を解決するには他人にアレをするといいよ!みたいな研究
やる気がわかない!ってのは定番の悩みでして、
なんて対策を紹介してきたわけです。まぁモチベーションなんてそう簡単にわくもんでもないので、だましだましやってくしかないのではないかと。
でもって、今度はシカゴ大学から新しい「やる気アップ法」が出てきましたんでメモしときます(1)。
これはモチベーション研究で有名な アイエレット・フィッシュバック博士の調査で、「グリット」のアンジェラ・ダックワースさんも関わっております。論文は4つの実験で構成されてて、たとえばひとつめは 318人の学生を2グループに分けまして、
- やる気がない下級生にアドバイスの手紙を書く
- 教師からモチベーションアップのアドバイスを手紙でもらう
みたいに設定したらしい。下級生にアドバイスをあげたグループは、
宿題が終わってからどうにもやる気が出なくて……。本当はもっと語学の勉強をしなくちゃいけないんだけど。こんなときにどうしますか?
みたいな文章を読んで、これに対する返事を書いたんだそうな。
いっぽうで「アドバイスをもらったグループ」には、
語学のやる気がないときは、つねに全力を出すつもりで立ち向かうのが一番だよ!つねに改善を心がけるんだ!
みたいな文章をもらったみたい。どちらのグループとも週1で同じセッションに参加して、3週間ほど同じ作業を続けたそうな。
それから、どっちのグループが勉強をやる気になったかと言いますと、
- アドバイスをあげたグループのほうが38%も多く勉強していた!
だったそうです。結構な差が出ましたなー。
また、別の実験では、
- ダイエット
- 貯金
- 職探し
に関するモチベーションへの影響も見てまして、結果はいずれも似たような感じ。モチベーションのタイプにかかわらず、つねに「他人にアドバイスをあげるグループ」のほうが成績が良かったんですよ。
では、なぜアドバイスでやる気が出るのかと言いますと、
他人へのアドバイスを考える過程で、私たちは頭の中に具体的なアクションを思い描き、実行意図が起動する。どちらもモチベーションアップには欠かせない要素だ。
とのこと。「目標を達成したいならステップを明確にせよ!」って話はよくありますが、他人へのアドバイスを考えると、自然に具体化を行うようになるんだ、と。なるほどねぇ。
また「実行意図」ってのは心理学用語のひとつで、簡単に言えば以前に紹介した「if-thenプランニング」と同じものです。やりたい行動あらかじめ書き出しておくと、先のばしが起きにくくなるよーってやつですな。
つまり「他人にアドバイス」をすると、一回で定評のある心理テクをまとめて使えちゃうわけですね。言われてみればそうだなぁ。
ちなみに、この現象は逆もまたしかりでして、
モチベーションが低い状態のときにアドバイスを受けると、逆に有害になってしまう。アドバイスを受ける行為は能力が劣ったかのような印象を与え、心理的な傷を残すからだ。
とのこと。人間って繊細ですね。
ってことで、やる気がわかないときは他人へアドバイスしてみるといいかも。ただし、自分が何の成果も出してないのに「仕事にすぐ取りかかるにはねぇ」とか言ってもウザがられるだけなので、その場合は脳内で架空の相手へのアドバイスを想像してみるのが良いと思いますが(笑)