今週末の小ネタ:植物性タンパクで寿命が伸びる? ヨーグルトの病気予防効果? サフランで関節の痛みが良くなる?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
植物性タンパクは体にいい!しかし、それは動物性タンパクも同じなのでは?問題
昔から「植物性のタンパク質をたくさん摂ってる人は長生き!」ってデータが多いんですよ。豆とかブロッコリーなどからタンパク質を食べてる人たちは、心臓病やら脳卒中にかかりにくく、癌で命を落とす確率も低い傾向があるんですよね。
ただ、ここでまだよくわからないのが、「植物性タンパク質に特別の力があるからなのか? それとも植物性や動物性を問わずタンパク質をたくさん食べてる人が病気にかかりにくいのか?」ってポイントです。植物性じゃなくとも、十分なタンパク質を満たすのが大事なのでは?って意見も昔から多かったんすよ。
ということで、新たなメタ分析(R)は、植物性タンパク質と動物性タンパク質が病気の発症リスクに与える差を調べてくれておりました。
具体的には、タンパク質の摂取量とがん死亡率、全死亡率、心血管系死亡率のリスクを報告した前向きコホート研究32件をまとめて、大きな結論を出してくれてます。まぁ観察研究につきそこまで精度が高いわけではないものの、現時点では十分参考になるデータではないでしょうか。
で、結果はこんな感じです。
- タンパク質の摂取量が多くなるほど、全死亡リスクも低下する
- 動物性タンパク質および植物性タンパク質の摂取量は、いずれもがん死亡リスクに影響を与えなかった
- 植物性タンパク質の摂取量が多いほど、心血管系死亡リスクは低下した
ということで、基本的には「やっぱタンパク質の摂取量が大事」って印象ながら、植物性タンパク質は心臓病などのリスク低下には意味があるかも?って感じですね。もちろん、植物性タンパク質を多くとると、同時に食物繊維の摂取量も増えるんで、そこらへんをうまく調整した結論を出すのは難しいですが。
ヨーグルトやプロバイオティクスはどこまで病気の予防になるか?問題
チーズ、ヨーグルト、ケフィアなどの発酵した乳製品が体に良いのはご存じのとおり。いずれも良質な菌が入ってて、いろいろなメリットを与えてくれるわけです。
で、新たなメタ分析(R)では、これらの乳製品は「心臓病や脳卒中などのリスクを下げてくれるのか?」ってのを深掘りしてくれてて有用でした。簡単に概要を見ておくと、
- プロバイオティクスのサプリと発酵乳製品が心代謝に及ぼす影響を調査した72件の研究をピックアップ(52件のRCTと20件の前向きコホート研究)
- それぞれを比べて、腸内細菌サプリやヨーグルトが心疾患にメリットがあるかを調べる
みたいになってます。RCTの質はそこまで高くはないものの、ここで提示される結論はそれなりに信頼がおけて良い感じじゃないかと。
で、結果です。
- 発酵乳は、脳卒中、虚血性心疾患、心血管疾患による死亡リスクの4%の減少と相関していた
- ヨーグルトは、2型糖尿病リスクの27%減少と、メタボリックシンドロームのリスクの20%減少と相関していた
- プロバイオティクスサプリは、コレステロールや血中脂質などの心代謝マーカーの改善と相関していた
ということで、ヨーグルトにせよプロバイオティクスにせよ、それなりのメリットがあると考えて良さげっすね。特にヨーグルトの代謝改善メリットはいい感じです。
サフランで関節の痛みが良くなる……かも?
最後は、当ブログでよく取り上げてる「サフラン」の話(R)です。日本ではサフランといえばサフランライスですけど、抗酸化力が強いので海外ではサプリとして愛用されてるんですよね。
この研究は12週間のRCTで、関節リウマチに悩む18歳以上の女性61人を集めて、
- 1日100mgずつのサフランサプリを飲む
- プラセボサプリを飲む
って感じでどんな違いが出るのかをチェックしたらしい。もともと関節リウマチは関節が炎症を起こして痛む現象なので、酸化ストレスを減らすことができれば、症状もやわらぐ可能性は高いんですよね。
すると、結果は予想どおりでして、
- サフランは、関節の痛みの強さ、関節の圧痛や腫れの数を減少させ、同時に体内の炎症マーカー(CRPとか赤血球沈降速度とか)も減少させた
って感じだったそうな。サフランについてはもうちょいデータを集めたいところですけど、ホント近年は良い効果を示したケースが増えてきたなーって感じですねぇ。