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今週半ばの小ネタ:筋トレ効果の男女差、宗教好きとメンタル、語学アプリの効果

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

男も女も筋トレで同じように筋肉は育つ!

男も女も筋トレで同じように筋肉は育つ!」って報告(R)がUNSWから出ておりました。俗に「女性は男性よりも筋肉がつきにくい」などと言いますから、これはよろしい研究ではないでしょうか。

 

 

これは過去の筋トレ研究から1400 人以上の参加者を含む 30 のデータをまとめたもので、 「50 歳以上の男女は筋トレで差が出るのか?」をテーマにしてます。研究チームいわく、

 

歴史的に、多くの人たちは、女性よりも男性の方が筋力トレーニングからより大きなメリットを得られると思う傾向があった。

 

ってことで、やはり旧来から言われてきた男女差は本当なのか?って問題意識があったみたいっすね。

 

 

そこで、すべてのデータをまとめてどんな結論が得られたかと言いますと、

 

相対的な筋肉の大きさや上半身の筋力の変化に性差は見られなかった。

 

トレーナーたちは、相対的な改善という点では、女性も男性と同じようなメリットがあるということを理解するのが大事だろう。

 

だったそうです。もちろん絶対的な筋肉量で言えば男性の方が多いんですけども、そもそも男女は体格差があるので絶対量で見てもしかたない話。体格の違いを考慮して相対的に見れば、筋トレによる男女の成長にはほぼ差がなかったそうな。

 

 

ただし、細かく見れば男女の筋トレによる発達には違いも出てまして、

 

男性は、上半身と下半身の絶対的な筋力を向上させるために、より高い強度のプログラムを組んだほうがメリットは大きいかもしれない。

 

女性は、下半身の相対的、絶対的な筋力を向上させるために、全体的な運動量を多くしたほうが良いかもしれない。

 

といったアドバイスがなされておりました。まぁいずれにせよ大きな差はないみたいなので、女性の方におかれましても、普通に筋トレしていただければと思う次第です。

 

 

 

宗教やスピルチュアル好きのメンタルが健全なのはなぜか?問題

私は完全に無宗教でスピリチュアルも苦手な人間ですけど、一方で、両者がメンタルに良いってデータが多いのも確かなところ。信心深い人ほど心を病みにくく、寿命が長いって話は結構おおいんですよねー。

 

 

で、新しい研究(R)は、「なんで宗教者はメンタルが健やかなのか?」ってのを深掘りしてて、ためになりました。どんな研究だったかと申しますと、

 

  1. 203人の男女に宗教とスピリチュアルの信念を尋ねる

  2. ついでに、みんなの不安レベルや、ストレスフルな状況にどう対処するのかも調べる

 

みたいになってます。この手順で、宗教とスピリチュアルな人たちに特有のストレス対処法を調べたわけですな。

 

 

そこで何が分かったかというと、こんな感じです。

 

  • 宗教的で不安や抑うつ症状が少ない人は、以下の2つの心理的な特徴があった

    • 認知的なリフレーミングをよく使う:誰か大事な人を失ったときに「彼は神と一緒になったな!」のようにポジティブな解釈をする

    • コーピングの自己効力感が高い:「自分には神がついている!」と思うので、大変なことがあっても「俺はやっていける!」と心から思うことができる

 

ということで、宗教的な人は「リアプレイザル」的なテクニックを自然に使うので、そのせいでストレスフルな場面に強いのではないか、と。うーん、なるほど。確かに「神」みたいに超越的な存在を想定した方が、困難を前向きに解釈しやすくなりますもんね。

 

 

もっとも、リアプレイザルなら超越者を想定しなくても誰でも使えますんで、その点では、私のような無宗教な人間も「困ったら認知的なリフレーミングだ!」と覚えておけば、宗教と同じメリットを得られていいんじゃないでしょうか。認知的リフレーミング教ですな(笑

 

 

 

語学学習アプリで外国語はできるようになるのか?問題

世の中にはいろんな語学学習アプリがありますけど、果たしてこれがどこまで役に立つのか?を調べたデータ(R)が出ておりました。

 

 

これはミシガン州立大学などのテストで、85 人の学生に「Babbel」ってソフトでスペイン語を学ぶように指示。12 週間にわたって勉強を続けてもらった上で、会話力、語彙、文法を評価したんだそうな。その結果はと言いますと、

 

  • 参加者の59%が、米国教育協議会の認める語学能力レベルの級がひとつ上がるのに等しいスピーキング能力の向上を示した
  • アプリを6時間以上使った人に限ると、上記の割合は69%に上がった
  • アプリを15時間以上使った人に限ると、上記の割合は75%に上がった

 

ってことで、普通に外国語アプリは役立つし、長く使えば使うほど効果も上がるという、非常に当たり前の結果ですね。

 

 

もちろん、これだと「本を使った勉強と比べてどっちが良いの?」みたいな疑問には答えられないんだけど、個人的な体験で言うとアプリの携帯性は「重要単語の暗記」みたいな作業に向いてるなーって印象がありますね。逆に文法問題を解くような作業は、紙の本のほうがモチベーションが上がるかな、と。まぁこれは私が紙の参考書に慣れてるオッサン世代だからかもしれませんが……。

 

 

ちなみに、「Babbel」をざっと見てみたら、実生活での会話練習もできるし習慣化の促進機能もついてるしで、なかなか良さげでした。英語コースは3ヵ月で2400円みたいですが、ちょっと気になりますな。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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