他人を操って得をしようとする「マキャベリアン」はどう見抜けば良いのか?問題
信頼していた友人が、いつの間にか自分の弱点を巧みに突いてきて、気づけばやりたくないことをやらされていた。あるいは、職場で親しげに接してくる同僚が、実は自分を出し抜くために裏で画策していた——。
こんな経験を味わったことがある人は少なくないはず。実は私も会社員の時代に、ひとりだけ上司にこういうタイプがいまして涙を飲んだことがございます。
こうした人たちは、心理学的には 「マキャベリアン的性格」 を持っている可能性が大きめ。いわゆる自分の利益のために冷酷で計算高く他者を操るのが好きな特性を持っていて、別名「マスター・マニピュレーター(人間搾取の達人)」などと呼ばれてたりします。でもって、マキャベリアンの戦略は往々にして見抜きにくく、気づいた時には既に手遅れ……なんてことも少なくなかったりするんですよ。
でもって、新しい研究(R)では、そんな「マキャベリアン的性格」の特徴や心理、サイコパスとの違いなどを深掘りしてくれていて、日常で出会う「実はヤバいやつ」を見抜くのに役立ちそうな内容になっておりました。
まず前提からお伝えしておくと、マキャベリアン的性格は以下のような特徴で定義されてます。
- 戦略的で計算高い:どんな状況でも、最も自分に有利な結果をもたらす選択をする。
- 他者を操る:人を利用することに罪悪感を感じず、自分の目的達成のために他人を動かそうとする。
- 猜疑心が強い:他人の親切や善意には必ず裏があると考え、他者を信じない。
- 弱さを見せない:自分の弱点を隠し、他者に付け入るスキを与えない。
いやー、実に近寄りたくないタイプですね。このような人を見かけたら、とりあえず逃げるしかないでしょうな。
で、この研究では、マキャベリアンの特性を「アプローチ(積極的獲得)」と「アボイダンス(損失回避)」という2つの側面に分けて調査を実施。具体的には、
- アプローチ型のマキャベリアン:権力や支配を求める傾向が強く、他者をコントロールし、自分の意のままに動かすことで満足感を得るタイプ。
- アボイダンス型のマキャベリアン:自分の弱みを見せないよう防御的になり、他者を信頼せず、リスクを避けるための行動を取るタイプ。
マキャベリアンにはこのような2タイプがあり、それぞれの側面を探ったほうが分析の精度が高くなるぞって考え方ですね。
この特性を測るために、研究チームは以下のような質問を使っております。
- 私は権力を強く求める傾向がある。
- 私は対人関係の中で命令を下すのが好きである。
- 私は他人をコントロールするのが好きである。
- 他人を完全に信頼するのは、自らトラブルに飛び込むようなものだ。
- 私が弱みを見せれば、他の人はそれを利用するだろう。
- 人は下心があるからこそ、友好的になれるのだ。
- どんな人間にも悪意はあるので、それを探り当てるべきだ。
これで参加者のマキャベリアンレベルを計測し、すべてのデータをまとめたところ、こんな知見が得られたんだそうな。
- そもそもマキャベリアンの特性を捕まえるのが超難しい:研究チームが作ったテストでは、マキャベリアンの特性をうまく捕まえることができなかった。これは、そもそもマキャベリアンってのは、自分をよく見せようとするために、性格テストに正直に取り組まないからかもしれない。
- マキャベリアンとサイコパスとの違いはどんなもんか?:マキャベリアンとサイコパスは、どちらも「他人を操る」「道徳的な感覚が薄い」といった共通点があるが、サイコパスは衝動的で感情が薄く、リスクを恐れず、他者の痛みや感情に共感する能力が欠如しているのに対して、マキャベリアンは戦略的で冷静、衝動的ではなく、計算して動くため、他者を操るのがめっちゃうまい。
といっても、やっぱりマキャベリアン性とサイコパシーの完全な区別は難しいんだけど、マキャベリアンの持つ「猜疑心」や「弱みを見せない態度」 は、サイコパスとは異なる特徴として注目される。
- マスター・マニピュレーターに巻き込まれないためにはどうすればいいのか?:「マスター・マニピュレーター」から自分を守るためには、以下のようなポイントを守ってみるとよさげ。
- 1. 違和感に敏感になる:「この人、なんだか信用できない」と感じたら、その直感を大切にするのがよし。マキャベリアンは魅力的に見えることが多いが、その裏にある計算を見抜くことが重要となる。
- 2. 行動パターンを観察する:人を支配しようとする態度がある、自分の意見や要求を押し付けてくる、他者の弱みを探り、それを利用しようとするなどの行動が見られたら、とりあえず警戒しておくのがよし。
- 3. 境界線を設定する:マキャベリアン的性格の人に対しては、自分の価値観やルールを明確にし、それを超えさせないのが超大事。「嫌われたくない」「トラブルを避けたい」と思って従ってしまうと、相手の思う壺なので絶対に避けたい。
4. 感情的にならない:マスター・マニピュレーターは、感情を揺さぶることでこちらの判断力を鈍らせようとする。冷静に相手の言動を分析し、感情に流されないことを心がけるしかない。
ということで、基本的にはマキャベリアンを見抜くのは難しいんだけど、基本的には「他者を信頼しない」「弱みを見せない」という2大特性が強く目立つ人には、とりあえず警戒感を持っておくとよさそうであります。身の回りの人々の行動を振り返って、「もしかして……?」と感じたらつかず離れずの距離を保つのが有効な対策になるでしょうな。