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スポーツサプリ31種を科学的に比較。科学的に最も効果がある成分はこれだ!


 

サッカーといえば、単純な持久力が必要なのはもちろん、爆発的なスプリント、細かい方向転換、キックやジャンプのための筋力、周囲を見渡す認知力と集中力など、「全方位型の能力」が求められるスポーツであります。

 

当然ながら、多くの選手たちは最高のパフォーマンスをするために、日常的にサプリメントを活用してまして、報告によれば、サッカー選手の約5割〜9割がサプリを摂取しているらしいんですな。

 

では、一体どのサプリが一番効くのか?ってことで、新しい研究(R)は、80件のRCTから1,425人分のデータをもとに、31種類のサプリを横並びで比較したネットワークメタ解析を実施してくれてて役に立ちます。

 

ネットワークメタ解析ってのは、複数の介入(サプリ)を統合して比較可能にする統計手法です。普通のメタ分析は、「Aサプリ vs プラセボ」や「Bサプリ vs プラセボ」みたいな1対1の比較しかできないんだけど、これだと「AとBはどっちが強いの?」という疑問に答えられないじゃないですか。その点で、ネットワークメタ分析を使うと、いろんな比較ができるんで、現実に応用しやすい結果を得られるんですよ。

 

ここで調査の対象になったのはプロのサッカー選手とアマチュア選手が半々ぐらいで、みんなにとって効くサプリをパフォーマンス指標ごとに並べてみると、だいたいこんな感じになります。

 

 

1. 走行距離アップに効いたサプリ

  • 1位: 炭水化物+プロテイン(SUCRA=96.2%, SMD=2.2)
  • 2位:炭水化物+電解質(SUCRA=85.8%, SMD=1.3)
  • 3位:ウシ初乳(SUCRA=81.5%, SMD=中程度)

 

ということで、定番のサプリである炭水化物とプロテインは、長く走るのにも役立つみたいっすね。SMD=2.2って数値はかなりの大きさで、運動中のエネルギー供給とリカバリーにおいて、炭水化物とプロテインのコンビが最強であることを裏付けてますね。特に試合前やハーフタイムの補給なんかにも向いてるんでしょうな。

 

 

2. 筋力アップに効いたサプリ

  • 1位:ビートルート(SUCRA=83.1%)
  • 2位: 黒ショウガ(SUCRA=80.9%, SMD=0.46)
  • 3位: カフェイン(SUCRA=66.2%)

 

注目は黒ショウガ(Kaempferia parviflora)。東南アジアでは古来より使われてきた植物で、「タイの朝鮮人参」なんて呼ばれることもあるハーブです。今回の研究ではSMD=0.46と、筋力への明確なプラス効果が示されていて、これは気になりますねぇ。

 

 

3. ジャンプ力向上に効いたサプリ

  • 1位: β-アラニン(SUCRA=90.9%, SMD=0.83)
  • 2位: メラトニン(SUCRA=89.6%, SMD=0.75)
  • 3位: カフェイン(SUCRA=74.6%, SMD=0.37)

 

β-アラニンは、筋肉中のpHバランスを整えてパフォーマンスを持続させることで知られており、ジャンプのような爆発的な動作に強いみたいっすね。睡眠を改善することで知られるメラトニンが2位に入っているのも面白いですが、これは「回復力 → パフォーマンス向上」という間接的な効果かもですな。

 

 

4. スプリントタイム短縮に効いたサプリ

  • 1位:マグネシウムクレアチンキレート(SUCRA=99.6%, SMD=-3.0)
  • 2位:メラトニン(SUCRA=93.3%, SMD=-1.9)
  • 3位:クレアチン+重炭酸ナトリウム(SUCRA=86.8%, SMD=-1.4)

 

1位のマグネシウムクレアチンキレートが衝撃のSMD=-3.0で、スプリントタイムを「劇的に短くする」可能性があるみたいっすね。マグネシウムとクレアチンの相乗効果、重炭酸ナトリウムによる酸性化抑制など、複数のメカニズムが重なっているんでしょうなぁ。

 

 

5. 敏捷性(アジリティ)を高めるサプリ

  • 1位: クレアチン+重炭酸ナトリウム(SUCRA=99.8%, SMD=-2.3)
  • 2位: メラトニン(SUCRA=79.4%)
  • 3位: 黒ショウガ(SUCRA=71.6%)

 

アジリティは、短時間の判断と身体操作を必要とする複雑なスキル。ここでもクレアチン+重炭酸ナトリウムの組み合わせが断トツでして、すばやく動いてすばやく止まる能力をサポートしてくれるみたいっすね。

 

さらに、この研究では、エリート選手と非エリート選手の間で、サプリの効き方に違いがある点にも着目しております。具体的に、どんなサプリの効き方の違いがあったのかと言いますと、

 

  • エリート選手には…
    • カフェイン→走行距離・ジャンプ・敏捷性に有意
    • メラトニン→ジャンプ・スプリント・アジリティに有意
    • クレアチン+重炭酸ナトリウム→スプリント・敏捷性で顕著

 

  • 非エリート選手には…
    • 炭水化物+プロテイン→走行距離に劇的効果(SMD=2.3)
    • β-アラニン→ジャンプ力に中程度の効果(SMD=0.83)
    • 黒ショウガ→筋力アップに小さな効果(SMD=0.46)

 

みたいになりました。つまり、エリート選手は「精度を上げる」系のサプリが効きやすく、非エリートは「ベースを上げる」系のサプリに反応しやすいって傾向があるわけですね。これはトレーニング歴や栄養状態の違いによるところが大きいんでしょうな。

 

ってことで、ここまでの話を総合してみますと、だいたいこんなまとめになるでしょうね。

 

  • すべての選手におすすめ
    • 炭水化物+プロテイン(走行距離&疲労対策)
    • クレアチン+重炭酸ナトリウム(スプリント&敏捷性)
    • メラトニン(ジャンプ・スプリント・回復力全般)

 

  •  特にアマチュアにおすすめ
    • β-アラニン(爆発的動作)
    • 黒ショウガ(筋力底上げ)
    • BCAA(ピークパワー維持)

 

この研究はあくまでサッカーに特化したものですが、バスケやラグビー、格闘技などにも応用できる内容だと思いますんで、ぜひ参考にしてみてくださいませ。私は、あいかわらずプロテイン+クレアチン+メラトニンぐらいでやっていこうかと思ってますが。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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