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瞑想って最短でどれぐらいから効果が出るの?問題

Medit

  

 瞑想ってどれぐらい最短で効果が出るの?

瞑想時間に関するご質問をいただきました。

 

瞑想ってどれぐらいから効果が出るものなんでしょうか?変化というか。瞑想に効果を求めるのはいけないのかもしれませんが、目安を知っておくとモチベーションがあがるような気がします。

 

とのこと。瞑想の効果ってのは最短でどれぐらいで出るものなのか、と。確かに大まかな目安があったほうがモチベーションは上がりますもんね。

 

 

 



 

 

基本は1日25分を8週間だが…

といっても、正直、これはまだ専門家のあいだでも意見がわかれる分野でして、すごーくざっくりした見解しか出せないとこではあります。第一に、大半の研究ではどれぐらいの時間を目安にしてるかというと、

 

  • 1日20〜25分の瞑想を8週間!

 

ってパターンが一番多いですね。だいたい、これぐらいをこなすと鬱や不安、ストレスが改善して、ついでに脳の構造にもハッキリした変化が起きるかんじです(1)。

 

 

もっとも、この「8週間」って数字は確定的なものじゃないです。というのも、1970年代にマインドフルネスを心理療法に導入したカバットジン博士が、はじめに「だいたい8週間ぐらいで十分な効果があるよー」って数値をざっくり決めたんですよ。この基準が後の研究でも引き継がれて、なんとなく8週間の実験が増えてった感じですね。

 

 

なので、ひょっとしたら4週間でもOKなのかもしれないし、実はもっとやったほうが効果量は大きいかもしれないしで、そこらへんはよくわからんところです。実際、レジリエンスに変化を起こしたいときは6,000〜7,000時間の継続的なトレーニングが必要って主張もあるぐらいだし。

 

 

ただ、ここで終わるのもつまらないので(笑)、「短時間の瞑想でも効果が出たよ!」と報告している論文をいくつかご紹介しておきます。いずれも追試が行われてるわけでもないんで、ひとまずの参考までに。

 

 

 

10分の瞑想でもいきなり効果が出たりとか

1. 10分の瞑想を1回やるだけで「心ここにあらず」の状態が改善したよ!

まず最初は2017 年にハーバード大学が行った実験(1)。参加者に 10 分だけマインドフルネス瞑想をしてもらったあとで「マインドワンダリング」(心ここにあらずの状態)のレベルを計測したところ、テスト前より 44%も注意力が逸れなくなってたとか。いろいろ見たとこでは、これが最短の効果ではないかと。

 

 

2. 20分の瞑想を1回やるだけで本番に強くなるよ!

続いて、32人の男女に20分だけガイド瞑想を行った2011年の実験(2)。これはインド医科大学の研究で、緊張を要するタスクの前に 20 分の瞑想を指示したところ、瞑想を行ったグループは本番の緊張に強なり、タスクの成績も向上したんだそうな。20分ぐらいでも不安が減って、緊張感に強くなれるみたい。

 

 

3. 40分の瞑想を1回やるだけで集中力が上がったよ!

こちらは、2010 年にケンタッキー大学が行った実験(3)。瞑想の初心者を対象に、「40 分の瞑想」「40 分の昼寝、」「なにもしない」の3パターンで効果の差をくらべたところ、瞑想をしたグループだけ覚醒時の集中力(psychomotor vigilance)が向上してたそうな。

 

 

4.1日25分✕3日の瞑想でストレス耐性が上がったよ!

66人を対象にした2014年の論文(4)だと、1日25分の瞑想を3日だけ続けたグループは、人前のスピーチや難しい数学テストなどの成績がアップしたとのこと。ここで使われたのはマインドフルネス瞑想で、「瞑想をスタートするために必要なすべての知識をまとめてみたぞ」で紹介した手法と同じものが使われた模様。
 
 
 
 

5.1日20分✕4日の瞑想でワーキングメモリが上がったよ!

ノースカロライナ大学の2010年論文(4)などを見ますと、1 回 20 分のマインドフルネス瞑想を 4 日行った参加者63人に、脳の実行機能やワーキングメモリに大幅な改善が 確認されたとか。ここで使われたのはマインドフルネス瞑想で、「瞑想をスタートするために必要なすべての知識をまとめてみたぞ」で紹介した手法と同じものが使われた模様。

 

 

6.1日40分✕4日の瞑想で感情的知性が上がったよ!

2017年の実験(5)では、わりと短期間の瞑想で感情的知性が上がったとの報告が出ております。これは96 名の学生を対象にしたもので、1 回 20 分のTM式瞑想を 1 日に 2 回ずつ行い、4日後にEQ-iってテストで感情的知性のレベルを調べたんだそうな(自分の感情をコントロールしたり、他人に共感する能力)。

 

 

すると、瞑想を行った参加者は感情的知性数値が有意に改善。他者への共感力がアップしてたそうな。ちなみにTM式ってのは特定のマントラを唱えるタイプの瞑想で、ややスピリチュアルよりのテクニック。デビッド・リンチとかクリント・イーストウッドが実践してたりします。

 

 

7.1日45分✕10日の瞑想で創造性が上がったよ!

ライデン大学が 19 人の男女を対象に行った実験(6) では、 1日 45 分のオープンモニタリング瞑想を10 日間行っ たところ、拡散思考の割合が増えて創造性テストの点数もアップした。オープンモニタリング系瞑想ってのは、瞑想をしつつ「いま頭にネガティブな思考が浮かんだ」とか「腰のあたりがムズムズする」とか、自分の思考や感覚をいちいち頭のなかで言語化していく手法です。俗にいうヴィパッサナー瞑想ですな。

 

 

まとめ

ってことで割と手っ取り早く瞑想の効果が出た事例のまとめでした。こうしてみると、リラックスや集中力系については瞑想にも即効性はあるのかもですな。ただし、これが血圧とかコレステロールの改善って話になると、やっぱ最低でも2ヶ月は毎日続ける必要があるかと思われます。集中力の向上については実感するのが難しいんですけど、まずは信じて続けてみていただければと。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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