「次の予定」をうまく立てないと、仕事の生産性が激しく減っちゃうぞ!という実験
「予定の立て方によってあなたが使える時間は縮む!」って研究(1)がおもしろかったんでメモ。
人間の時間感覚は「予定」によって変わる
これはオハイオ州立大学の実験で、「人間の時間感覚はどう変わるか?」を調べたもの。ぜんぶで8つの実験をやっていて、たとえば以下のようなデザインになっております。
- 実験1
- 198人の参加者を半分にわけて、ひとつのグループには「1時間後に友だちが遊びに来ると想像してください」と指示。別のグループには「1時間後には特に何も予定はありません」と伝え、そのうえで自由時間が“主観的”にどう変化したかを聞く
この実験だと「あとで友だちが遊びに来る」と想像したグループは、実際には1時間の自由時間があったにもかかわらず「40分ぐらいしか時間がないように思える」と解答。それ以外のグループは、平均で「50分ぐらいの時間があるように感じる」と答えた、とのこと。あとに予定があるかどうかで時間の感覚が短くなったわけですな。
研究者いわく、
これはおもしろい発見だ。ほとんどの人は主観的に1時間を実際よりも少なく見積もる傾向があった。万が一の事態に備えて、特に理由がなくても時間に余裕を見ておこうとするのだろう。
ってことで、「この後の予定」によって人間の時間感覚が変わっちゃう傾向を指摘しておられます。
「予定」によって時間に関する合理性が失われる
では、これが具体的にどんな問題を引き起こすのかと言いますと、
- 実験2
- 200人の参加者を「実験後に予定があるグループ」と「ヒマなグループ」の2つに分けて、「30分の雑用で2.5ドルをもらえる」と「45分の雑用で5ドルをもらえる」という2パターンのタスクを選んでもらった。すると「予定があるグループ」は、次の予定まで1時間あるにもかかわらず、30分で2.5ドルの仕事を選ぶケースがほとんどだった。
だったとのこと。研究者いわく、
みんな次の予定まで時間がたっぷりあるのは理解していた。しかし、それでも多くの者は30分の作業を選んだのだ。
ってことで、要するに「あとに予定がある!」と思うと合理的な判断ができなくなり、割のいい仕事でも逃しちゃう確率が高いんだ、と。
「予定」によって生産性が大きく下がる
さらに、ここには別の問題点もありまして……
- 実験3
- 158人の参加者を2つのグループにわけて、ひとつのグループには「5分後に別の作業がある」と言いわたし、もう一方のグループには「5分ヒマな時間がある」と伝えた。そのうえで簡単な作業を指示したところ、「ヒマな時間がある」と伝えたグループは平均で2.38件のタスクを処理したが、「あと5分しかない」と言われたグループは1.86件のタスクしかこなせなかった。
なんて結果も出ております。研究者いわく、
すぐ後に別の予定があると思うと、私たちは「なにもできる時間がない」と感じてしまう。そのおかげで、実際に時間が短くなったような錯覚が生まれる。
とのこと。 DaiGoさんの「週40時間の自由をつくる 超時間術」には「時間が足りない!と思うのは錯覚が原因だ」って話が出てくるんですが、ここでも同じような現象が確認されてますね。いわゆる時間汚染ですな。
ではどのように「予定」を立てるか
さらに研究者いわく、
もし2時間後にミーティングがあると思えば、大きなプロジェクトはやるべきではないと思ってしまうだろう。そのため、私たちは単にメールを返信するなど、生産性が低いタスクばかりをこなすようになってしまう。
とのこと。ざっくり言いますと、
- この後に大事な予定がある!
- 実際よりも時間がないように感じてしまう
- その結果、本当ならできるレベルの作業をこなせない
- でもって、生産性は大きく下がる
みたいな流れですね。自分のケースを振り返っても、1日のうちに会議が3〜4個ぐらい散らばってた日は「今日は何やってたんだろう……」とか思っちゃうことが多いんですが、そういうことなんでしょうなぁ。
この場合、ミーティングのあいだの時間を最適化しようとしてもムダに終わりがちだ。解決策としては、散らばった予定を可能な限りひとつにまとめてしまうのがいい、そうすれば、誰にもジャマされない時間の固まりが生まれ、より大きなプロジェクトを進めるモチベーションが生まれる。それだけ、実際に時間にも余裕ができるような感覚が生まれるのだ。
また、時間の錯覚に立ち向かうために、目の前の作業をこなすために本当に必要な時間をあらためて確認するのもいい。私たちは得てして作業に必要な時間を多く見積もりすぎてしまう傾向があり、そのせいで逆に生産性が下がってしまう。
ってことで、「たくさんの予定を1日に散りばめるなよ!」ってお話でした。これは気をつけておきたいところです。