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ベストな筋トレの難易度を決める「RIR法」は本当に正確なのか?問題


  

筋トレで「自分にとって最適な難易度は?」を決める方法に「RIR」って考え方があります。「Repetitions in reserve(残りの回数に余裕をもたせる)」の略で、「もう筋肉が動かない!」ってレベルまで追い込むんじゃなくて、「まだ何回かできるなー」ってとこであえて筋トレをストップさせるわけですね。

 

 

この手法を採用するとなにがいいのかと言いますと、

 

  1. 追い込まないおかげで疲れすぎずにすむし、ケガを回避できる
  2. 余裕があるぶんだけ負荷を調整しやすい

 

みたいなメリットが得られるんですよ。「筋肉を追い込まなくていいの?」と思われるかもですが、最近は「筋トレは追い込まなくても十分に発達する」ってデータが多く出てたりするんですよ。

 

 

ということで、「RIR」はなかなか使えるテクニックだなーとか思うんですけど、ここで問題なのが「そもそも自分で設定したRIRの数値って正しいの?」ってとこじゃないでしょうか。もしRIRが間違えてたら、結局はオーバートレーニングになっちゃったり、逆に筋肉への刺激が足りないレベルでトレーニングを終えちゃう可能性も出てきますからねぇ。RIRはあくまで自分の決めなんで、そんな主観的な設定でいいのか?ってのはやはり気になっちゃうわけです。

 

 

そんな状況下、「RIR予測の精度を検討してみたぞ!」って話(R)が出てて参考になりました。

 

 

これは22歳から37歳までの男性20人を対象にしたテストで、少なくとも週2回のトレーニングを2年ほど続けていて、RIRを使った経験がない人だけを選んだそうな。どんな実験をしたのかと言いますと、

 

  1. 最初のセッションでは、20人の被験者全員がベンチプレスとバーベルシールローの両方で1RMを測定

  2. 第2セッションと第3セッションでは、すべての被験者が、一方のセッションでは1RM60%、他方のセッションでは1RM80%の負荷で、ベンチプレスとバーベルシールローをそれぞれ3セット指示。その際に、10人は負荷を知らせず、残り10人には負荷を知らせつつ、RIRを予想してもらう

 

みたいになってます。参加者の半分は「どれぐらいの負荷で筋トレをしてるのか?」を知らせず、RIRの予想が正しいのかをチェックしたわけですね。

 

 

そこで、どんな結果が出たのかと言えば、こんな感じです。

 

  • 別に負荷がわかってないときでも、みんな自分のRIRを正確に予想できた
  • 最初のセットでは、みんなRIRの予測が不正確な傾向があった
  • セット2と3ではRIRの差は平均して1回未満だった
  • 全体的にはみんなRIRを過小予測する傾向があった

 

ということで、総合的に見てみると「やはりRIRの予測は十分に使える!」といっていいんじゃないでしょうか。もちろん予測が外れることもあるものの、実際値との差は無視してもいいぐらいのレベルでして、これなら使い物になりそうであります。

 

 

もちろん、今回のテストはベンチとシールローに限ったものですけど、過去にはスクワット(R)やレッグプレス(R)などでもそれなりに良い成績が出てまして、おそらくRIRはどんなメニューにも対応できると考えていいかなーと思っております。

 

 

ただ、ひとつ注意点として言えるのは、今回のテストに限らず過去の研究すべてで「みんなRIRを過小予測しがち!」って傾向は出てるんで。「あと3回ぐらいで限界かなー」と思っても、実は4回ぐらいできる可能性はあるのかもしれません。

 

 

また、1セットあたりの回数が多い場合もRIRの精度は下がり始めるっぽいので、低負荷で回数が多いタイプのトレーニングをしてる方はご注意ください。その場合は、

 

  1. まずは主観でRIRを決める
  2. 実際に限界までやってみてRIRとの誤差を出す

 

みたいなセルフチェックをしてみるといいでしょう。まぁそうはいっても、総合的に見ればRIRが正しいのは間違いないんで、個人的にも2RIR(あと2回で限界が来るぐらいのレベル)でやろうかなーと思っております。なんせこの歳になると、ヒジとか肩に違和感が出やすいもんですから……。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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