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「キャラ作りの科学」を読んで、自分の性格をどううまく生かすかについて考えてみる話#1

 
 

キャラ作りの科学(The Science of Writing Characters)」って本を読んでおりました。著者のキラ・アン・ペリカン博士はプロの脚本家であると同時に、心理学の知識をフィクションのキャラ作りに生かしている方らしい。おもしろい人がいるもんですなぁ。

 

 

本書が言ってる主張はシンプルで、「魅力的なキャラクターを生み出したいならビッグファイブを使おうぜ!」みたいな話です。ご存じのとおり、ビッグファイブは現時点でもっとも精度が高い性格分類なわけですが、こいつを使えばより生き生きとしたキャラができるんじゃないの?みたいな考え方っすね。

 

 

たとえば、E・M・フォースターなんかは「小説の諸相 」で「つまんないキャラってのは、特徴が2つか3つしかなく、一文で要約でき、ユーモア以外の感動を与えることができない人物のことだと!」とか言ってるわけです。この時に、もっと人間の複雑さをガッツリ表現できて、現実にいそうなキャラを生み出すにはどうすりゃいいの?みたいな問題意識ですな。

 

 

で、そこでペリカン博士は、「心理学のモデルでキャラクターを作ったらいいんじゃない?」と主張してまして、

 

  • 性格のビッグファイブモデルを使えば、クリエイターは、自分が生み出した人物に現実味があるかを調べられるよね!

  • フィクションの受け手側も、精度が高いモデルに沿って物語に接することで、より深くて豊かな解読が可能になるよね!

 

といったメリットが提示されてました。確かに、ビッグファイブモデルに沿って映画や小説を読み解くのも楽しそうですな。

 

 

というと、「小説なんて書いてないし、キャラ作りなんて関係ないや」と思う人もいそうですが、他者とのコミュニケーションのなかで一定のキャラを演じるのは日常的によくある話ですからねぇ。本書から得られる知見は、「自分の魅力を高めるにはどうすればいいのか?」って用途にも役立つだろうなーとか思いました。

 

 

もちろん、これは「自分の素とは違うモテキャラを演じろ!」みたいな話ではなく、あくまで自分が持つキャラの特定の側面を強調すれば、他人へのアピール度を高められるのでは?という話ですので誤解のなきよう。あくまで、自分の生まれ持った性格を良い方向に利用できないか?ってとこがポイントであります。私の場合であれば、持ち前のド内向とか神経症傾向を、うまく対人アピールに応用できないかなーって感じですね。

 

 

博士いわく、

 

性格のビッグファイブモデルは、あるキャラが他のキャラよりも魅力的である理由についても教えてくれる。

 

多くのデータによれば、すべての性格要素のスコアの範囲は、身長や体重と同じように集団内で正規分布を描く。したがって、私たちが出会う人の大半は、適度に外向的で、適度に協調的で、適度に誠実的で、適度に神経質で、適度に経験を受け入れられる人たちだ。

 

このような人たちは平均的なので、あまり他人の印象には残りにくい。一方で、少なくとも1つまたは2つの性格で極端なスコアを出す人は、群衆の中で際立っている可能性が高い

 

とのこと。世の中の多くの人たちは、みんなまぁまぁのビッグファイブに落ち着くので、集団に埋もれて「この人は魅力的だ!」とは判断されづらいんだ、と。

 

 

一方で、ビッグファイブの特定の側面がズバ抜けている人たちは、私たちが日常的に出会う大多数の人々とは違っているため、良かれ悪しかれ魅力的に感じられるんだよーってことですね。

 

 

それでは、具体的に博士がどのようなアドバイスをしているのかを見てみましょう。まずは外向性(社交的なタイプの性格)からです。

 

 

外向性

博士いわく、「『外向性』は、初対面の人に会ったときに最初に印象に残る性格特性だ」とのこと。

 

外向的な人は外に向かって行動し、社会的な交流からエネルギーを得て、生き生きとしていて、脚光を浴びるタイプの人なので、基本的には外的な魅力が高め。さらには、明るくて活発で自己主張が強く、刺激的なものに惹かれるため、普通にしてれば魅力的だと思われやすい。発明家でスーパーヒーローのトニー・スタークが、その典型例なんだそうな。

 

 

内向性

が、だからと言って、内向的な人には魅力がないって話にはならないのがポイント。内向的な人は、ひとりで静かに過ごすか、親しい友人や家族と一緒にいることでエネルギーを得るタイプで、大きな主張をしたり、自分の内面を簡単に明らかにしないからこそ、人を惹きつけられるとのこと(「この人をもっと知りたい!」って気にさせるわけですな)。

 

内向的だが魅力的なキャラの例としては、『高慢と偏見』に登場するダーシー氏や、映画『ムーンライト』の主人公が挙げられておりました。ムーンライト、見てみないとな……。

 

 

ってことで、長くなりましたんで今回はこのへんで。次回は、その他4つの性格特性について見ていきましょうー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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