地中海食の「グリーンバージョン」なら、さらに健康効果がはね上がるんじゃないの?説
数ある食事法のなかでも、わりと研究例が多いのが「地中海式ダイエット」。地中海エリアの伝統食をベースにした食事法で、とにかく健康的だし脳にもいいって報告が多いんですよね。
で、新しい報告はそこから一歩進んで、「伝統的な地中海式ダイエットの改良版はさらに体にいいかもよ!」みたいな話(R)が出ておりました。
これはネゲヴ・ベン=グリオン大学などの研究で、そこそこ肥満な男女294人を集めて3つのグループに割りつけたんだそうな。
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「運動量を増やそう!」って指導を行ないつつ、健康的な食生活を行うための基本的なガイドラインを指導する
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上のグループと同じ運動の指導をしつつ、伝統的な地中海食の実践法をアドバイスする(カロリー制限つき)
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上記のすべてに加えて、グリーンバージョンの地中海食を食べてもらう
「グリーンバージョンの地中海食」ってのは研究チームが開発した独自の食事法で、そのポイントをひとことでまとめると、
- 伝統的な地中海式ダイエットでは最小限の牛や豚肉が許されてるけど、これを植物性タンパク質に置き換えよう!
みたいになります。一般的な地中海食で「食べてもいいよー」とされてるレッドミートを、植物性のタンパク質に変えてみるのがメインの変更点なんですな。もっと具体的なことを申し上げますと、
- ミジンコウキクサ(水生植物の一種で、高タンパク食材として知られる)を凍らせたキューブ100gを用意し、肉の代わりに毎日のメニューに組み込む
- それに加えて、1日3〜4杯の緑茶と28gのクルミを摂取するように指導
みたいになってます。ミジンコウキクサはタイとかで食べられる緑の水生植物で、高タンパクで満腹度が高いと言われてきたんですよ(R)。そのため、こいつを肉の代用にするのはわりと理にかなってるんですよね。
でもって、実験期間は6カ月で、結果はこんなふうになりました。
- どちらのタイプの地中海食でも、参加者の体重は「普通の健康食」より多く減った。「グリーン地中海食」グループは合計6.2kg、伝統的な地中海食グループは5.4kg、健康食グループは1.5kgの減量に成功していた
- ウエストサイズは、伝統的な地中海食グループが6.8cm、健康食グループが4.3cmほど減ったのに対し、グリーン地中海食グループは平均8.6cmサイズダウンした
- LDL(悪玉)コレステロールの減少率は、グリーン地中海食グループが最も大きく、約4%の減少率だった(地中海食グループは約1%、健康食グループはそれ以下だった)
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どちらのタイプの地中海食を行ったグループも、血圧、インスリン抵抗性、CRP(体内の炎症レベル)の減少など、さまざまな健康効果を得ることができた。と同時に、HDL(善玉)コレステロールとLDL(悪玉)コレステロールの比率も上昇した
ということで、研究チームの予想どおり、グリーンバージョンの地中海食のほうが全体的に良いスコアを叩き出したんだそうな。
研究チームいわく、
今回の研究結果は、肉類の摂取をさらに制限しつつ植物性の高タンパク食品を増やすことで、心血管代謝状態をさらに改善できる可能性を示唆している。
とのこと。植物性の高タンパク食品を増やすと良い理由はいろいろあるんですが、おおよそ以下のような原因が推測されておりました。
- 植物に含まれるポリフェノールは抗炎症作用があるし、さらには腸内で健康な腸内細菌の栄養源になってくれる
- グリーン地中海食では、牛や豚だけで菜l区、サラミ、ソーセージ、ホットドッグなどの加工赤身肉を完全に取り除くため、ナトリウムや保存料、飽和脂肪を削減できる
要するに、植物のタンパク質を増やすと、普通の肉にはないいろんなメリットがあるよーってことですね。もちろん、健康のために動物性たんぱく質をすべてやめろって話ではなく、実際には魚や鶏肉については減らす必要もないでしょうが、レッドミートの一部をナッツ類、種子類、豆類、スピルリナなどに置き換えてみるのは良い食事法じゃないでしょうか。