マインドコントロール研究のプロ「ウケるコンテンツの特徴ってアレだよねー」
「進化論マーケティング」では、自分のコンテンツを魅力的にする方法みたいな話をまとめたんですが、近ごろチェックした研究(R)でも、
- 思わずのめり込んじゃうコンテンツの特徴とは?
みたいなポイントを調べてくれていて参考になりました。「手にとったら時間を忘れてしまった!」みたいな映像や文章は、平凡な作品と比べて何が違うのかってポイントですな。
論文の主筆はペンシルバニア大学ウォートン校のジョーナ・バーガー博士で、「THE CATALYST 一瞬で人の心が変わる伝え方の技術」などで有名な先生ですね。この先生の研究は、マーケティングに活かせるものが多いので、商売をやっているような方にはおすすめ。
で、この調査は、研究チームが32,085のオンライン記事と4,118の映画を分析したもので、どんなポイントをチェックしたかと言うと、
- コンテンツが引き出す感情のボラティリティを調べた!
みたいになります。ボラティリティは金融取引で使われる言葉亜で、一般的には株価や通貨の値動きの変動率を意味しますが、この研究では、コンテンツの感情がポジティブからネガティブに変わる頻度や量を意味してます。主人公が強敵を倒した直後に仲間が死んだり、ひとつのニュースのなかで絶望的な情報と希望を持たせる情報が交互に出てきたりと、感情をガンガンに揺さぶるようなコンテンツほど「ボラティリティが高い」とみなされるわけですね。
でもって、分析の結果はこんな感じになりました。
- コンテンツのボラティリティが高ければ高いほど、より魅力的で好まれやすい。
- 映画の場合、ボラティリティが31.75%上昇すると、IMDbの評価が1ポイント上昇し、チケット売上が増加する(この効果はスリラーやミステリーなどのジャンルで最も強く、ドキュメンタリーやロマンス映画では最も弱い)。
- オンラインコンテンツでは、ボラティリティが1単位増加すると、読者が次の段落に進む確率が4.23%高くなる。
ということで、やっぱり受け手の感情をガンガンに振り回すようなコンテンツほど、「最後まで見たい!」や「これはおもしろい!」という気持ちを高めてくれるらしい。
この研究で取り上げられた「ポジティブな要素」を持つワードとしては、笑い、幸せ、愛などが代表的で、「ネガティブな要素」を持つワードとしては、テロリスト、暴力、殺人などがあったのこと。このようなワードでコンテンツの感情の振れ幅を広げることで、コンテンツの魅力は増すわけですな。ブログでもユーチューブでもSNSでもプレゼンテーションでも、物語を伝えなくてはいけない場面では確実に役立つ考え方ですな。
まー、コンテンツの魅力に感情の起伏が大事なのは当然で、ずーっと同じもの食べてたら、どんな美味いものでも飽きてしまうのと同じっすね。感情の上がり下がりが激しくなれば、コンテンツに適度ストレスなストレスが生まれ、そのおかげで脳内のドーパミンレベルも上がって、「もっと見たい!」って気持ちが高まるのは当然でしょう。
ただし、この研究は、映画の字幕テキストしか分析しておらず、視覚的な側面(役者の表情とか、アクションシーンの組み立てとか)を考慮したら、さらに違った結果が認められたかもしれません。また、おそらくボラティリティが高すぎるコンテンツは、ある時点から逆効果になっちゃうと思うんだけど、そのような限界がどこにあるのかも不明であります。
そこはご注意いただきたいですが、なんらかのコンテンツを作っているような方は、ぜひこの効果を考慮に入れてみるべきでしょう。ボラティリティをより頻繁に、より強くすることで、受け手の興味は確実にアップするはずですんで。