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「読書にはこんなに良いことがあるよー」のまとめ#1


ここんとこ、インスタにほぼ毎日のように読了本の感想を書いてまして、あいかわらず雑多に乱読しております。当然、読書の効用に関するデータもまめにチェックしてまして、近年も複数の調査が発表されてるんですよ。

 

 

そこで今回は、「本を読むとこんなに良いことがあるよー」ってのを示したデータをいくつかまとめてみましょう。

 

 

 

読書のメリット1.小説を読むと行動が変わる

まず最初は「小説を読むと自分を変える行動力が身につくぜ!」って内容のデータ(R)です。小説のストーリーに没頭することは、自分の行動を変えるための強力な方法のひとつだと言うわけですな。

 

これがどのような実験だったかと言うと、

 

  1. 大学生の参加者に、大学生の主人公が選挙に行く様子を描いた小説を読んでもらう

  2. その際、半分のグループにはストーリーに共感しやすい小説を読ませ、残り半分には共感しづらいストーリーを読んでもらう

 

って感じで操作を行い、その後で参加者にどのような変化が出るのかをチェックしたんですよ。すると、共感度の高いフィクションを読んだ人ほど、数日後の実際の選挙で投票する可能性が2倍も高かったんだそうな。2倍って数字は、このタイプの実験ではめずらしいレベルの効果ですね。

 

研究チームいわく、

 

一人称の声で語られる物語の登場人物とグループのメンバーを共有すると、その人物の人生の出来事を体験しているように感じられる可能性が高くなる。そして、このような経験をすると、その後何日間も行動に影響を及ぼすことがある。

 

経験を積むことは、私たちの行動や思考を変える強力な方法となりうる。フィクションをよりパワフルに体験する鍵は、フィクションの中で自分の感覚を文字通り「失う」ことだ。

 

自分自身のアイデンティティを思い起こせば思い起こすほど、キャラクターのアイデンティティを引き受けることができなくなる。登場人物のアイデンティティを引き受けるという本物の経験をするためには、自分自身を絵の中から消し去り、本の中に没頭することができなければならない。

 

とのこと。フィクションは、自分とは異なるアイデンティティのキャラを内面に取り込む効果を持ち、それゆえに行動を変える働きも高いのだって考え方ですね。ストーリーの力でやる気が上がるってのは、納得しやすいポイントですね。

 

 

 

読書のメリット2.IQが上がる

続いては、「週12時間の読書で脳が大きくなるぜ!」って内容のデータ(R)です。あくまで子供を対象にした観察研究なので因果関係は不明なんですが、幼少期から読書に親しむと、その後でIQやメンタルヘルスが向上するというんですよ。

 

この研究は米国の1万人以上の青少年を対象にしたもので、みんなが読書をスタートさせた時期と、普段からどれぐらい本を読んでいるかをチェックしたんですよ。その結果、幼少期から本をよく読んでいた人は、

 

  • 記憶力、言語学習、発話の発達に関するテストの成績がとてもよい。

 

  • 抑うつ、ストレス、問題行動の兆候が少なく、注意力も高い。

 

  • スマホの使用量が少なく、睡眠時間も長かった。

 

  • 脳のサイズが大きく、特に認知機能に重要な部位がデカかった。

 

って違いがあったらしい。データによると、週12時間程度の読書をするグループの違いが顕著だったそうで、これ以上の時間を読書に使ってしまうと、逆に社会的活動やスポーツ活動などの量が減り、認知に悪影響が出る確率が高まったらしい。

 

研究チームいわく、

 

読書は単に楽しい経験ではなく、思考力や創造力を刺激し、共感力を高め、ストレスを軽減することが広く認められている。

 

その上、子どもの重要な発達をうながし、将来の学習と幸福の基礎となる認知、精神衛生、脳の構造を改善するという重要な証拠も見つかった。

 

とのこと。まぁこの研究だと「本当に読書で脳がデカくなるのか」がわからないものの、読書が良い脳トレになってる可能性は高いでしょうな。

 

 

 

読書のメリット3.現代を生き抜くのに役立つ

最後は、「文学を読むと考え方が柔軟になるぜ」って内容のデータ(R)です。文学のように読み手に熟考をうながすようなテキストは、精神の柔軟性を高めてくれるぞって話です。

 

こちらは24人の男女を対象にした実験で、みんなに「詩的な文章」と「平凡な文章」のどちらかを読んでもらい、そのあいだの脳の活動をスキャンしたらしい。すると、詩的な文章を読んだグループは頭の働きが変わり、主要な脳ネットワークの活動が活発になったんだそうな。

 

このような変化にどういった意味があるのかと言いますと、研究チームいわく、

 

文学的な文章を読むという経験は、硬直した予想や固定した思考にゆさぶりをかけ、意味の再評価と新鮮な意味の受容のプロセスを通じて、精神の柔軟性を高める。

 

この実験で活性化が認められた脳の領域は、まさにその活性化の過程で報酬の感覚をもたらす。この領域は、うつ病を患っている人では特に活性化されていないことが知られているので、メンタルヘルスにも有望である。

 

とのこと。文学の文章は私たちの常識にチャレンジしてくるため、自然と脳に深い思考を要求し、さらには読んでいる間には常にテキストの意味を考え直さなければならないのがポイント。この働きのおかげで、精神の柔軟性が高まっていくわけっすね。

 

当たり前ですけど、精神的な柔軟性が高まれば、環境がどれだけ変化しても、自分の考えや行動をうまく適応させることができるわけですから、VUCAと言われる現代にはめっちゃ役立つかもしれないですな。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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