今週末の小ネタ:ネットで他人を攻撃する人の特徴、コミュニケーションが怖い人の特徴、注意力が続かない対策
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
コミュニケーションが怖い!人の特徴とは?
「社交不安障害」ってのがありますわな。これは、コミュニケーションなどに対して強い恐怖や不安を覚える状態で、これにハマると、他人からいろいろ探られたり、批判されたり、恥をかかされたりすることを恐れちゃうんですよ。
この問題に苦しむ人は、過剰な自意識にとらわれて苦しみやすく、不快や屈辱を避けるために、コミュニケーションを避けることも多め。その精神的な苦痛はなかなか激しくて、心拍の速さ、発汗、震え、赤面といった身体の問題にもつながったりします。
では、このような問題に悩みがちなのはどんな人かってことで、そこらへんを調べた研究(R)が出ておりました。
これは大学生を対象にした試験で、そのうち869人に心理テストを行い、692人に脳スキャンをして、どんな特徴が見られるのかを調べたんですよ。そこでどんな結果が出たのかと言いますと、
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他人からのジャッジを恐れる人は、2回目のテストで社交不安がブーストする傾向があり、その逆もまた同様だった
って感じです。他人のジャッジが怖いから社交不安が起きるってのはわかりやすい話ですが、ここでおもしろいのは、「肯定的な評価が気になる人も社交不安になる」というポイントです。「あなたはダメだ!」みたいなネガティブ評価だけでなく、「あなたの能力は素晴らしい!」といったポジティブな評価を受けるのが苦手な人もまた、コミュニケーションを苦手にさせてしまうわけっすな。
研究チームいわく、
他の障害の症状では、ネガティブな評価を恐れるケースが多いが、ポジティブな評価を恐れるのは、社交不安の障害に特有の症状である。
にもかかわらず、否定的評価に対する恐怖に比べ、この恐怖に関する研究は非常に少ない。
とのこと。言われてみれば、「ポジティブな評価も恐れる」ってのは意外とよくある現象だと思いますが、あんま調査データを見たことはないかもなぁ。
まぁいずれにせよ、「ジャッジへの恐怖」が根底にあるってのは確かでしょうから、ここは認知行動療法などで不安対策をしておくといいかもしれませんな。
注意力が続かないなら「5分間の非構造化休憩」だ!
「ヤバい集中力」では、「定期的に休憩を取らないと脳が死ぬぞ!」みたいなことを書いております。ヒトの脳はずっと稼働するようにできていないので、定期的に休まないと機能が落ちる一方なんですよ。
で、新しいデータ(R)によると、「注意力を回復させるベストの方法は、単純に5分間の休憩を取ることだ!」って結論になってていい感じでした。
これは72人の学生を対象にした研究で、まず全員に数学のテストを行ってみんなの注意力が消耗するように誘導。その後、全体を3つのグループにわけてます。
- 5分間の非構造化休憩を取る
- 5分間の大自然動画を見る
- 休憩なし
この「非構造化休憩」ってのは、コンピューターやデバイスから離れて、ただ呼吸をしたり、ただ静かに座ったりして、タスクから脳を休ませるタイプの休憩を意味してます。とにかく、なんもやらずにボーッとする休憩のことですね。
でもって、その後、全員がもう一度簡単な数学のテストを行ったところ、結果はこんな感じになりました。
- 非構造化休憩をとった人と、大自然のビデオを見た人は、休憩をとらなかった人よりも、その後の数学のテストで良い結果を出した。
って感じだったそうです。「自然の動画は休憩効果があるぞ!」ってのは「最高の体調」でも強調したことですけど、ただボーッとするだけでも、同じぐらいの効果があるみたいっすね。
研究チームいわく、
数学のように認知を使うスキルの多くは、習得するのに大量の集中力を必要とする。そのため、問題解決や勉強に頭を使うと、認知リソースが枯渇してしまう。
ここで、学習を助けるために勉強を中断するのは直感に反するように思えるかもしれないが、短い休憩は、それがただ何もしないことであろうと、"バーチャル "な自然のビデオを見るものであろうと、その時間に十分値するようだ。
これは、新しいスキルを身につけたり、複雑な作業に集中したりする労働者にも応用できるだろう。
ってことなんで、どんな休憩でもよいから、とにかく脳を解放するような行為であれば、たった5分間でも注意力はもどるんだってことですね。私の場合、気を抜くとついぶっ続けで原稿を書いたりしちゃうんで、これは気をつけないと……。
ネットで他人を攻撃する人は自信がないだけ
ネットでやたらと攻撃的な人っているじゃないですか。いつも誰かを批判してたり、有名人をディスったりと、なんかしらんけど常に荒ぶっているような人ですね。
このようなタイプが、果たしてどんな性格を持っているのかを調べたデータ(R)がおもしろかったんで、その要点をまとめておきましょうー。
これはパライバ連邦大学の調査で、チームはブラジルに住む300人のソーシャルメディアユーザーからデータを収集(平均27.68歳)。みんなが普段からどんなSNSの使い方をしているのかをチェックしたうえで、それぞれの性格特性と比べたところ、以下のような傾向が見られたそうな。
- 自尊心とネットで攻撃的な人の間には負の相関があった。つまり、自信がない人ほどネットで攻撃的になりやすい。
- 「自分は他の人と同じように物事をこなすことができる」といった文章に「自分は当てはまらない」と答えた人ほど、ネットで荒らし行為に走る傾向が強かった。
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FOMO(Fear of missing out:情報を見逃すことへを恐れて、TwitterやFacebookなどをチェックしていないと気が済まない人)な人も、ネットの攻撃性と相関があった。
ということで、ざっくりまとめると、自分に自信がなくてネットばかり見ちゃう人ほど、内面の不安をまぎらわせるためにオンラインで他人を批判しまくったり、有名人に噛み付いていったりといった行動に出るんだってことですね。そう考えると、なかなか哀れですなぁ……。
研究チームいわく、
自己イメージの問題は、見ず知らずの他人を攻撃する動機になる。
とのこと。まぁ、オンライン上の攻撃性が、これだけで説明できるとは思いませんが、ものではないでしょうが、ネットで暴れる人を見たら、「この人は自信がない不安にさいなまれているのかもな……」と考えてみると、慈愛の気持ちがわいてよいかもしれませんね。