40以上の中年が「満足できる人生」を送る方法を書いた本を読んだ話
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「中年期を愛する方法(Learning to Love Midlife)」って本を読みました。著者のチップ・コンリー先生はアメリカ初のブティックホテル会社の創設者で、日本では「モダンエルダー」が訳出されてますね。40代以上の働き方とか幸福にこだわっている先生ですな。
あくまで著者はビジネスマンではありますが、ご本人はセイブルック大学院で心理学の博士号を取っている方で、「先行研究をベースにしているんだろうなー」って印象でした。タイトルどおり、本書は「中年の良さ」を教えてくれる内容になってまして、私のようなアラフィフには良い慰めになるんじゃないかと。
ってことで、いつもどおり本書から勉強になったところをまとめてみましょうー。
- たいていの人は、中年になって失われたものに意識を集中させがちである。「内臓のここが悪い」「記憶が衰えた」など、体の機能しなくなった部分にこだわり、ミッドライフクライシスを深刻化させていく。
ただし、いったん肉体の老化を受け入れられれば、これほど自分を自由にしてくれる行為も無い。自己のアイデンティティを、腕力や美しさによって定義されることがなくなるからである。
事実、中年期から幸福がブーストする人の多くは、年齢を重ねるにつれて、「自分の肉体には避けられない衰えがある」というポイントを受け入れ、短期的な虚栄心のためではなく、長期的なメンテナンスのために肉体を維持するマインドに切り替わっていく。これにより、外見的なことだけでなく、感情、人間関係、精神、キャリアなど、同じぐらい重要な分野に投資する時間が増える。
- 中年期の人間は、仕事とプライベートの両立に追われる「サンドイッチ状態」になり、友人関係に飢えていることが多い。社会科学の研究によれば、80代以降まで健康で幸せな人生を送っている人の最も一般的な変数は、「中年期にどれだけ社会的関係に投資していたか?」である。つまり、友人、家族、コミュニティは、私たちの "心の保険 “であり、 "いたらいいもの “ではなく、中年にとっての必需品だと言える。
- 人生の先が短くなればあるほど、私たちは今この瞬間の人間関係を優先する。幸福のU字カーブの研究によると、たいていの人の幸福度は40代後半に底を打ち、10年ごとに幸福度がアップしていく。中年期における救いのひとつは、この時期から「自慢のための人間関係」「寂しさを埋めるための人間関係」が減り、本当に濃密な人間関係ができやすくなるところである。
- 中年期になると、脳のなかにたまった経験が凝縮されて知恵を生み出す。ここまで体験してきた辛い人生は、未来の知恵の原料となり、自分の行動パターンへの理解も深まる。そのため、同じ内容を話したい時にも、昔よりも論理的かつ叙情的な表現ができるようになる。これが、俗に言う「結晶化した知性」である。
- このような知性は社会を良くするときに大きく機能する。結晶化した知性は、おもに若い人たちをフックアップするために生まれた脳機能だと考えられており、中年期を過ぎた人は、若い人たちにポジティブな影響を与えるよう意識するほど、「自分の人生への意味」を味わうことができる。
- 中年期は、幸福の追求を卒業し、たんに「楽しいこと」の追求を始める時期である。そのためには、人生のラットレースから降り、自分の好奇心をブーストさせ、人生でやってこなかった新しいことにチャレンジするのが重要となる。事実、「好奇心」と「新しい経験への寛容」という2つの要素は、その後の人生の幸福と相関する最大の変数として知られている。
- 年齢を重ねるにつれて、私たちの時間感覚は変化する。研究によれば、私たちは「記憶に残る出来事に」よって時間の長さを見積もっているため、印象深い出来事が多ければ多いほど、時間の経過は遅く感じられる。しかし、年齢を重ねると新たに思い出すことが少なくなるため、人生は加速するように感じられてしまう。そのため、中年を超えた人は、「いま学ばなかったり、行動しなかったりしたら、10年後に私は何を後悔するだろうか?」と自問してみるのが有効である。いわば、中年期においては、私たちは常に何かの初心者であるべきだといえる。人生で新しい「初めて」を経験することは、時間を引き延ばす。
- 若い時の人間は、たいてい「自分」をいくつかのアイデンティティに区分けしている。「仕事場での自分」「配偶者や子供と一緒にいる自分」「友人といる自分」といった感じである。しかし、中年期になると、私たちは自分自身を再認識し始め、場面ごとに異なる自分では無く、もっと自己に一貫性があるように感じはじめる。これにより、中年は人生にやすらぎを抱くようになり、より大きな楽しみを体験する回数が増えていく。
- 事実ミッドライフクライシスにハマる人は多いが、実際には、中年期は複数の可能性に満ちた時期でもある。中年期に自分の衰えを感じる人は多いかもしれないが、家族や友人の助けを借りつつ、少しずつ自分の人生に喜びを増やすプロセスをふめば、若い時期よりも人生の満足度は上がりやすくなる。