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集中力を壊滅させる最悪の原因ワースト4

 


 

前に「ヤバい集中力」って本を出して、「どうやって作業に集中するか?」みたいな話を書いたんですよ。

 

で、その頃のメモを見ていたら集中力に関する覚え書きが出てきまして、今でも参考になりそうな感じだったので、軽く手直しして掲載しておきます。本にも似た内容は入ってるけど、かなりチョップして使ったんで、また新たな視点から集中力を捉えられるのでは無いかと。

 

 

集中力を壊滅させる最悪原因ワースト4
  • 集中力を低下させる最も一般的な要因は4つ。ランダムな思考による思考のふらつき(自発的認知)、何かをすることに飽きてしまうこと(慣れ)、気が散りやすい環境要因(外発性注意)、疲れていること(疲労)である。

 

 

  • 1.自発的認知:頭に浮かんでくる不規則な思考のこと。その内容はいくつもあり、週末の買い物のような「ToDo」だったり、「締め切りに間に合わない……」みたいなネガティブ思考だったり、別の問題の解決策が急に浮かんだりもする。

    この問題は、おもにタスクの難易度によって変わる。タスクが現在よりも難しくなったり、面白くなったり、魅力的になったりすると、自発的な認知は減少する。なので、まずはいまのタスクを、自分にとってより難しくするか、興味深いものに変えられないかを考えるのが対策としては第一。

    それが不可能な場合は、マルチタスクを導入するのも手である。一般的にはマルチタスクは悪いものとされるが、場合によっては自発的な認知をブロックするのに役立つこともある。ある研究(R)では、コンピュータ作業のタスクの難易度をいろいろと切り替えたところ、難しいタスクを行っている人は、マルチタスクを行わないか、自分でマルチタスクのペースを選んだ場合には成績が上がり、中断によって強制的にマルチタスクをさせられた場合は成績が悪かった。

     一方で、簡単な作業をしているときには、強制的に作業を中断してマルチタスクを行った人の方が、マルチタスクをしなかったり、自発的にマルチタスクを選んだ人よりも良い結果を出した。

    要するに、いまの作業が難しい場合は、マルチタスクは避けた方がいい。しかし、いまの作業が簡単な場合は、マルチタスクをしたり、他の人や通知によって気を取られたり、中断されたりする方が良い。

    また、BGMも自発的な認知に効くことがある(R)。もちろん、ボーカルや歌詞の印象が強い曲は、私たちの注意を引きつけ、ワーキングメモリーを無駄に消費するため、集中力には良くない。ただし、ボーカルがないBGMであれば、慣れや退屈、単調さを軽減し、ランダムな思考を遮断し、脳を活性化させることが可能となる。なかでも低周波数で支配的なマイルドな電子音楽が良いと思われるが、これは趣味の問題も大きい。



 

  • 2.慣れ/単調さ:特定の作業を長く続けていると、私たちの脳は自動操縦モードで作業するようになる。このモードに切り替わると集中力の問題が発生し、間違いが見つからなくなったり、大きな変化を見逃したりといった状態になる。

    「非注意性盲目」はその典型的な例で、何かをすること慣れていると、とんでもない変化でも見逃してしまう。いわゆる「みんな大好き「見えないゴリラ」系動画まとめ」現象である。

    この問題をクリアするのにも、マルチタスクが効くことがある。一般に信じられていることとは異なり(R)、短時間の注意散漫、タスクの切り替え、無関係な情報に注意を向けることは、集中を長く維持するのに適していることがわかっている。

    また、1種類の作業に長く集中し続け、脳が刺激に慣れて無反応になり、細かい部分へ注意する能力が下がり、気が散りやすくなった場合には、短い時間でも散発的に別のことに集中するのがよい。それはスマホのゲームでもいいし、瞑想でもいいし、運動でもいい。このような短時間の別タスク集中は、私たちの実行機能をリフレッシュさせ、パフォーマンスを復旧させる働きを持つ。




  • 3.外発性注意:外部の環境からこちらの注意をひくようなシグナルが出されると、私たちの外発性注意が発動する。これは、カフェの客がケンカをはじめたり、店員が食器を落として割ったり、子どもが急に叫んだり、スマホの通知に気を取られたりといった問題である。

    私たち脳は、基本的に、危機や報酬を示すような情報に自動で反応するようにできているため、こればかりは発生したらいかんともしがたい。「スマホの通知を切れ」というアドバイスは、基本的に外発性注意への対策として使われるものだが、それ以外のトラブルが起きたらどうしようもない。

 

 

  • 4.疲労困憊:注意力は常に働き続けるものだが、集中力に関してはそうはいかない。集中力をキープするには労力と資源が必要であり、具体的には、神経の発火、栄養素、脳内の分子変化、水、ブドウ糖、空気の供給、感情状態などの生物学的メカニズムは、いずれもリソースに影響を与える。

    とはいえ、あんま難しいことを考えていてもしょうがないので、うまく休憩を取れとしか言いようがない。休暇、週末、仕事中の小休憩など、あらゆる種類の休憩は、ストレスを軽減し、リソースを補充し、仕事の集中力を向上させる(R)。

    研究によると、40秒間だけ自然の緑を見つめるだけでも、注意力を回復させることができる(R)。一般的に、自然との関わりは、注意力を回復させ、集中力を向上させる。

    また、本格的に集中力を回復させるためには、その休憩に没頭しなければならない点も重要である。本当に有効な休憩は、次の4つの条件のうち少なくとも1つを満たす必要がある。「魅惑的である(ぱっと見でモチベーションが上がる)」「距離感がある(仕事とできるだけ無関係なものを選ぶ)」「一定の時間続けて没頭できること(注意が散るような休憩はよくない)」「心理的な相性が良い(自分の好みに適している)」である。

     


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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