「最近、なんだか筋トレの成果が出なくなってきたなぁ」を 打破するにはどうすればいいのか?を調べた観察研究
筋トレで必ずぶち当たるのが、「あれ?前よりも筋肉が成長しないな?」って問題です。 筋トレを始めたばかりの時は、ガンガンに筋肉が増えて楽しいのに、誰でもある程度のところからは「ほとんど変化はなくないか?」 と言うレベルまで成長が遅くなるんですよね。いわゆるプラトーってやつで、 筋トレをやっていたら絶対に起きる問題ではあります。
そうなると、
- プラトーはどれぐらいのタイミングから起きるのか?
- プラトーを脱する方法は無いのか?
と言う問題が気になりますが、そのあたりを調べた観察研究(R)が出ておりました。 筋肉の成長が遅くなる問題は誰にでもあることなので、誠にありがたいデータじゃないでしょうか。
では、まずは研究の概要を簡単にまとめておくと、以下のようになります。
- 研究の参加者は男女14,690人。 全員を6~8年間ほど追跡して筋力向上の変化を調べている。男女の平均年齢は48±11歳。
- 参加者はみんな同じトレーニングプログラムを受けており、 トレーニングの頻度は週に1回だけ。
- 全期間(6~8年間)において、1エクササイズにつき 1週間あたり1セットという「最小量」の筋トレを行っている。
- トレーニングの負荷は4~6レップ後に限界が来るようなレベルに設定している。
- 筋トレのメニューは、チェストプレス、ラットプルダウン、レッグプレス、クランチ、バックエクステンションなど。
ということで、1回4~6レップ の筋トレを週に1セットだけという最小限の筋トレを 行った上で、筋肉の発達がどうなるのかをチェックしております。最小限のボリュームでいつプラトーが発生するかを調べれば、いつ、どのようにトレーニングを変更すればプラトーを打破できるかの指針が得られるかもしれませんからね。
でもって、研究の結果はこのようになりました。
- みんなすぐに 大きく筋力が向上したが、30週を過ぎると、その向上率は急激に減少した。 ただし、筋力の向上は全期間を通じて 確認されている。筋力変化のパーセンテージに、男女間の差はほとんどなかった。
- 若年者は高齢者よりもレッグプレスの筋力がわずかに増加する傾向があったが、 その他の筋トレについては、年齢による筋力差はごくわずかだった。
こんな感じで、 だいたい人は30週目あたりから 筋力の伸びががくんと小さくなるらしい。
で、この論文からは、プラトーを打ち破る明確な方法はわからないんだけど、本論で引用されている文献もチェックしてみると、だいたい原因ごとに以下のような対策が考えられるでしょう。
- 疲労感が強すぎた状態でプラトーが起きた場合:オーバーワークのせいで筋トレの効果が 出にくくなっていると考えられるので、筋トレの負荷を下げるか、1~2週間休養する。トレーニングに復帰する際は、すぐに元の状態に戻すんじゃなくて、 少しずつ量を増やしていく。1~2週間ぐらいであれば、 筋トレを休んだとしても、筋肉の低下はごくわずかなので心配はしなくても大丈夫。
- セット数が少ないせいでプラトーが起きた場合: シンプルに筋トレの総量が少ないパターン。 この場合は、 1つのエクササイズのセット数を10~20%ずつ増やしていけばオッケー。
- 1回のセット内で限界まで追い込みすぎている場合:1回のセットで「 もうこれ以上はできない!」って とこまで 筋肉をいじめている場合も、 うまく負荷が増やせない可能性がある。 この場合は 1セットの回数を「あと2〜4回はできる!」 と言うところで止めておき、 そこで生まれた余裕でセット数を増やしていく。 この場合は、同じ負荷をしばらくキープして、数週間はセット数かレップ数を増やすことを目指す。セットまたはレップの基準を満たしたら、負荷を上げる。
- エクササイズのバリエーションが少なすぎるせいでプラトーが起きている場合: いつも決まったようなエクササイズばかりしていると、これもプラトーが起きる原因になるかもしれない。1回のセッションで、 少ないメニューしか行っていない場合は、 いろんな筋肉を鍛えられるように、エクササイズの種類を十分に増やしてみるのもあり。たとえば、 いつもスクワットやっている人なら、 その代わりにレッグプレスを使ってみたりと、 また別のエクササイズを取り入れてみるのも良い。
また、 いつもスクワットしか 足のエクササイズをしていない人は、同じ週のなかで、レッグプレスやレッグエクステンション などの複数のエクササイズを導入してみるのもあり。
そんなわけでいろいろ書いてみましたが、プラトーが起きるのは当たり前のことなので、とりあえず心配しなくてもOK。 とはいえ、 ある程度までであれば停滞を打破することも可能なので、もし「 筋肉の成長が止まったなぁ」と 思ったら、 上のガイドラインを参考に、 いつものルーチンをちょっと書いてみると良いんじゃ ないでしょうか?
まぁ、プラトーの 原因は人それぞれ過ぎるので、 万人に当てはまる正解を出すのは不可能なんですが、 いつもの筋トレをいじってみるだけでも何らかの効果は出ると思うんで、あきらめずにお試しください。